交易と略奪。2つの異なるフェーズを上手く繋げて勝利を引き寄せる2人用ゲーム。(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
縁あって、ゲムマ新作を遊ばせてもらいました!前半要素てんこ盛りで、後半それを崩していく2部構成のゲーム。プレイ時間に反して、ゲーマー向けな印象かな。
前半で脳みそ沸騰して、後半楽しくギャンブルするゲーム。
リソース変換の前半とハンドマネジメントの後半とで、まるで別のゲームであるかのようなプレイ感がありますね。エンジンビルドを使い、リソースと勝利点に加えて「後半のハンド」を得ていくというアイデアを具現化した意欲作です。
NEZおすすめ度: | (5 / 10) |
えんづおすすめ度: | (4 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (6 / 10) |
Average: | (5 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
NEZのレビュー
前半組み立てたエンジンのピラミッドを後半崩していく事で陣取りを行う、2つの顔を持つ対戦ゲーム。
私掠船の船長になって、交易と略奪をしていく2人用のゲームです。
「交易」と「略奪」がテーマと言う事でゲーム自体も2つのフェーズに分かれているのが特徴ですね。ゲームでは異なるシステムの2つのフェーズを通して、場札を獲得していく事を目指します。
最初のフェーズは主にエンジンビルドです。手札からカードを2枚の場札の間に配置し、その後カードに書かれた資源変換を行います。そして、カードの下にある2枚の場札のうち、どちらか一方を選んで、資源を払うと場札を得点として獲得する事ができます。ちなみに場札を獲得できなくても、選んだ場札の上に置かれたカードが新たな手札となるため、どこにカードを配置するかは結構重要です。
このエンジンビルドでは、4段のピラミッド状にカードを配置していきます。つまり、手札を配置する時に既に置かれたカードの隣に置けば、次の手番ではさらにその上にカードが配置できると言うわけですね。そして、上段にカードが置かれるとそこから場札に向かって2択の資源変換を繰り返していきます。つまりピラミッドが出来上がってくるにつれて、連続して資源を変換する事ができるようになるわけです。「カードを配置して順番にルートを辿って資源変換をしていき、辿り着いた場札を資源を払って獲得」とやる事は簡単なのですが、どうやってシナジーのあるエンジンを作るのか、どの場札に辿り着くようにルートを作るのか(場札には次の手札となるカードが置かれているので、それも気になります)、後半に見据えてどこにカードを配置するのかなど、考える事が多くボードゲームに慣れた方でないとなかなか難しいのではないかと言う印象を受けました。逆に、この部分はエンジンビルドに慣れている方にとっては楽しいかもしれませんね。
また、場札を資源を支払って獲得すると、ランダムで次の場札が置かれるので場合によっては、それまでのエンジンがあまり役に立たなくなってしまう事もあるように思えました。
後半戦は手札と前半で作ったピラミッドを頂点から崩していく事で、役を作って各船の獲得を目指します。役はポーカーに似ていて、スリーカードやストレート、フラッシュなどがあります。
手番には手札とピラミッドから3枚を使ってどこかの場札に配置します。ピラミッドは頂点から崩していかなければならないため、せっかくスリーカードになるように(スリーカードが最強の役です)カード獲得しても、ピラミッドの底の方にカードを置いてしまうと、欲しいタイミングで使えなかったりします。この辺りは、手番に3枚一気に出さないといけないのが効いてますね。後半は前半の仕込みに対する回答の意味もありますが、相手との駆け引きがあるので、こちらは比較的シンプルに楽しめました。
前半と後半で場札の点数が異なるのですが、場札のデザインで前半では前半の得点しか見えなくなり、後半はゲーム終了に向けて後半の得点しか見えなくなるように工夫されているのは面白いなと思いました。
短時間で遊べるゲームですが、考える要素多めのエンジンビルドと答え合わせも兼ねた後半の陣取りと要素はなかなかどうしてモリモリな印象で、ゲームに慣れた方同士で遊ぶと面白いのではないかと思います。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (5.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (5.0 / 10) |
えんづのレビュー
じっくり考える前半戦。
ノリで進む後半戦。
まずは、一度しか遊んだことがないので、これは一度しか遊んでない人の感想だよーという前置きをさせてください。
で、一度遊んでみての感想ですが、前半戦の情報量が多くてアホな私には初見では処理しきれませんでした(笑)
このゲーム、前半と後半の2つのフェイズに分かれてます。前半では手札を獲得しつつ船(勝利点)を取っていき、更に後半に向けての手札の準備をします。後半では獲得した手札を使ってポーカーをして船を奪い合います。
前半では手札と船の獲得をめざすのですが、そのためには資源が必要です。資源を産むために手札をピラミッド状に出してエンジンビルドをしていくのですが、このときに使ったり獲得したりしたカードが後半のポーカーにも使われます(この辺ですでに情報が多い)。更に後半のポーカーでは手札から、もしくは前半でエンジンビルドに使ったカードをピラミッドの上から順に使って3枚まとめて(手札と場に出ているカードを混ぜて3枚にしてもよい)出さなければいけないという制約があるため、前半は後半に向けてなかなか考えることがおおいです。
後半は前半とはうってかわってテンポよく進みます。船の勝利点を賭けてお互い3枚ずつカードを出し合って役の強さを競います。このとき、手札から出すカードは裏向きで出す、場のカードはピラミッドの上から順にしか使えないというルールがとても後半をおもしろくしていました。
後半部分のテンポのよさに比べて、前半はちょっと情報過多に思えました。ゲームのプレイ時間的にはもう少しさくっと遊べてもう一回!!ってなるほうが個人的には好みです。
とはいえ、じっくり考える二人用のゲームをお探しの方、エンジンビルドが好きな方はぜひ一度遊んでみてください。
ルールの複雑さ: | (7 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6 / 10) |
運の要素: | (4 / 10) |
おすすめ度: | (4 / 10) |
自分は好きですけ度: | (4 / 10) |
やすやすのレビュー
今どきの海の荒くれ者は、慎重に狡猾に計算高く荒くれないとやっていけないそうだ。
このゲームはズバリ、ゲームが前半と後半の二つのピリオドに分かれており、その両者でゲームのルールがまったく異なることが魅力です。このピリオド間、つまりハーフタイムのようなタイミングでいったん盤面が刷新されルールチェンジが行われます。ただしルールチェンジと言ってもそれまでに獲得したハンドや得点などは引き継がれるので、ゲーム自体がリセットされるわけではありません。
こういうタイプのゲームは他にもありますが、その多くは「後半の得点獲得に向けて前半はひたすら布石の時間」になっているような気がします。しかしこのコルセイルでは前半からテンポよく得点していくことができるので、対戦相手に後半の布石をさせないようにプレッシャーをかける闘いも、開始直後から仕掛けることができます。
エンジンビルドの前半は、しっかり考えて仕組みを作るという楽しさがあります。狙った得点カードを得るためにリソース変換を連鎖的に行うので、資源を膨れ上がらせで高価で強力なカードを取得する、という気持ち良さをたった1手番で感じられますね。
ただしカードのめくり運もあるので1点集中するわけにもいきません。エンジンと場札と手札を上手に配置するために、広大な海を広く俯瞰する必要があります。考え始めると最適解の可能性はどこまでも広がるため、思考の海に溺れることを恐れない人に深く刺さる前半戦となることでしょう。
前半のエンジンビルドでは、得点と一緒に後半のハンドマネジメントで使うための手札も獲得していきますよ~。ここが無限に悩めるポイントになっていて、魅力であると同時に重さがあるので、苦手を感じる人がいるかもしれない部分になっています。
ハンドマネジメントの後半には、相手の思惑を推し量る楽しさがあります。それまでに入手した手札を使い、記憶力とブラフ力でライバルをいかに出し抜くか。前半で感じたであろうあの重さは、後半にはすっかり影を潜めますよ。半分公開された手札を使い、相手よりも強い役を作り得点するピリオドとなります。
ここではきっと、前半の自分の行動を悔やみ呪いの叫びをあげることになるでしょう。あのときあれを取っておけば…これはどうしようもない…どーすんのこれ…こんなセリフを言いたい・聞きたい人には心地よい時間が約束されています。
前半と後半とで体感密度が激しく異なります。そしてその前半の方に重心があるという、珍しいタイプのゲームではないでしょうか。開始直後の初手から非常に悩ましい状況に立たされることになります。ただしそれは、決してルールやシステムが難しいからではありません。万人向けとは言えないバランスとは感じますが、ゲーマーの方なら、コルセイルにはきっと光る部分を感じられると思いますよ。
ルールの複雑さ: | (6 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7 / 10) |
運の要素: | (6 / 10) |
おすすめ度: | (6 / 10) |
自分は好きですけ度: | (5 / 10) |