ウイングスパン / Wingspan

レビュー記事
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デザイナー: Elizabeth Hargrave
アートワーク: Ana Maria Martinez Jaramillo, Natalia Rojas, Beth Sobel
出版社Stonemaier Games(cited from)
, Arclight
参照 BoardGame Geek

鳥のカードが美しいボードゲーム(かや)

ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値

NEZ
NEZ

野鳥のイラストに癒されるエンジンビルド。コンポーネントがとってもリッチ!

かや
かや

美しい鳥たちを呼び寄せて効果を発動!エンジンが回り出すととても楽しいね。

やすやす
やすやす

牧歌的な箱庭的拡大鳥生産ゲームですね。ソロプレイ感があり、他者と激しくやり合わないことが雰囲気とよくマッチしていますね~。

NEZおすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
かやおすすめ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
やすやすおすすめ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
Average:6.7 out of 10 stars (6.7 / 10)

各レビュアーによる個別レビュー

NEZのレビュー

コンポーネントに目が行く癒し系エンジンビルド。

鳥の愛好家として自分の庭かなんかに鳥を集めるゲームです。

まずは、ストーンメイヤーゲームズらしい見事なコンポーネントですね。鳥の巣箱を模したダイスタワーまで箱に入ってるんですから、たまりません。

さて、ゲームは全てユニークな鳥カードをプレイしていくエンジンビルドのゲームとなっております。ここで一言断っておきたいのは、今回のレビューは基本セットのみになります。様々な大陸の鳥が出てくる拡張セットがウイングスパンには用意されていますが、僕は未プレイです。

ウイングスパンは基本的には鳥カードをプレイしていくゲームです。そして、鳥カードをプレイすることでアクション自体が強化されていく拡大再生産的な要素も持ち合わせています。

手番に実行できるアクションは「鳥カードのプレイ」「餌の獲得」「卵の獲得」「鳥カードの獲得」の4つになります。餌は鳥カードのプレイに必要なコスト、卵はプレイ時の追加コストになります。要は鳥カードを獲得して、コストを確保して、鳥カードをプレイ。この手順を繰り返していくゲームなわけです。アクションがシンプル、かつ必要な事しかないので、非常に見通しは良いのではないでしょうか。

このゲームの特徴は、鳥カードによるエンジンビルドの側面も持っている事ではないでしょうか。このゲームでは各アクションに対して、鳥の棲息地が紐付けられており、鳥カードを特定の棲息地にプレイすると、次からそこに紐付くアクションが強化されます。と、同時に鳥カードの中には、アクション実行時に追加で効果を発揮するものがあり、次回アクション実行時に、本来のアクションを行った後で、個人ボード上に置かれた紐付く鳥カードの効果を右から左の順に解決していきます。

例えば、本来「鳥カードを獲得する」と言うアクションだったものが、鳥カードをプレイしていく事で、「鳥カードを獲得する→餌箱から餌を獲得→任意の鳥の上に卵を1つ配置→山からカードを引いて全長30cm以下なら得点獲得」みたいな感じに連鎖して追加効果が発動していきます。このエンジンが発動するのを処理していくのは、非常に面白いです。

ただ、個人的には獲得できる鳥カードが数枚公開されているとはいえ、それほど選択肢は多くなく、少し運の要素が強すぎる気がしています。また、鳥カードの中で、その鳥が棲息可能な場所が指定されているので、思ったほど狙いどおりのエンジンが作れないように思われます。

ラウンドごとの目標やゲーム終了時の目標など、ゲームを進める上での指針やマジョリティ要素などがありますが、基本的にはそれほどプレイヤー間のインタラクションは強くないイメージで、どちらかと言うと他人に邪魔されず、自分の個人ボードでコネコネしていくタイプのゲームかなと感じています。

アクションなどが分かりやすく、コンポーネントもリッチなので、これから少し重たいゲームにチャレンジしたい方の興味を引くにはもってこいなのではないかと思います。

こんな人におすすめ

鳥が好きな人、少し重たいゲームにチャレンジしたい人

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:4 out of 10 stars (4.0 / 10)
運の要素:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
おすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
自分は好きですけ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)

かやのレビュー

たくさんの鳥を呼び込んで最強のエンジンを作ろう!

ウィングスパンは鳥の愛好家になって個人ボードに鳥を配置して、自分だけのエンジンを組むゲームです。全部で4ラウンドあり、ラウンドが進むごとに鳥カードの効果が起動していくので終盤にかけて鳥たちの効果が起動してうまく得点を稼げるととても面白いです。

特徴的なのは170枚全てがオリジナルという鳥カードたちです。鳥カードの絵は美しくて鳥が好きな人なら楽しいと思います。

手番でできるのは以下の4つです。

1:鳥カードをプレイする:手札の鳥カードを餌と必要なら卵を支払って盤面に出す
2:餌を獲得する:選べる餌は、ダイスロールで決定します。
3:産卵:卵は1個1点で、鳥カードをプレイする時にも卵が必要
4:鳥カードを引く:鳥カードをオープンされている3匹か山札から引いてきます。

ゲーム開始時に、カード5枚、餌5個、個人の目標カード2枚が配られます。

カードと餌は合計で5つになるようにしてどれを残すが決定します。個人の目標も2つのうち1つを選択してゲームを開始します。

勝利点は、以下の5つで稼ぐことができます。

1.鳥カードに書かれた素点
2.鳥カードに差し込まれたカード1枚につき1点
3.鳥カードに蓄えられた餌1つにつき1点
4.各ラウンドの目標達成の順位による点数
5.個人目標を達成に応じた点数

可愛い特別コマで遊ばせてもらったウィングスパン。デッキ下にカードたくさん差し込んで遊びました。

うまくラウンド目標と個人目標が噛み合ったり、欲しいカードが引けるか、欲しい餌がダイスロールで出せるかなどの運要素もそこそこあるのでガチゲーかというと「鳥さん可愛い!自分の中で最善手ができた!」というように楽しめる人でないとしっくり来ないかもしれません。

攻撃要素はカードの取り合いくらいしかないので、あまり他プレイヤーに妨害もされず平和的に遊べます。

こんな人におすすめ

鳥が好きな人、個人ボード上で自分の世界を広げたいけど一人では遊びたくない人

ルールの複雑さ:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:4 out of 10 stars (4.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
自分は好きですけ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)

やすやすのレビュー

インタラクション=軽 / システム=中 / フレーバー=重

フレーバーが重い?
と、よく意味が分からないことで書き始めてみました。そうです、ウイングスパン、フレーバーが重いんです。

自分の庭に鳥を呼び寄せて生態系を構築するゲームとなっており、その各鳥たちはカードとなっています。それぞれ餌や巣作りに条件があるので、プレーヤーはそれを整えてあげる必要があるのです。つまり上手に資源管理を行いながら、狙う鳥カードを集めていくのがウイングスパンの目的。開始時は1羽もいませんが、終盤には多くの鳥が庭を賑わすことでしょう。

ウイングスパン

このゲームはそういった鳥たちを主役に据えたフレーバーなのですが、その描写へのこだわりに際限ないのです。200枚ほどの鳥カードはすべてユニークで、そこにはデフォルメされていないまるで図鑑のようなクオリティの挿絵が描かれています。そして、和名・学名・生息地域・餌の種類・巣の種類・産卵の傾向・翼幅・豆知識が書き込まれ、各鳥の特徴を明確にして差別化し、1枚のカードへと落とし込んでいます。それを使ってゲームを進めていくわけですね。

ウイングスパン

単純にボードゲームとしてプレイするぶんには、プレーヤーはアイコンや数値だけを把握すればよく、鳥の絵すら見る必要もありません。しかしよくよく考えれば、これはかなり妄執的ではありませんか。鳥の特徴をパラメータ化しカテゴライズし、それをカード固有の能力へと置き換えているのです。

こういったフレーバーありきのゲームは、ややもするとパッと輝かないことが多いように感じます。ぼくはそれを、イメージという抽象的なものを削ぎ落す過程がいかに難しいか、という現れだと思っています。しかしこのウイングスパンは、それをボードゲームとしては珍しいほどにマッチさせ落とし込むことができた稀有な例だと思っています。

ウイングスパン

「鳥の生態」という現代人にはあまり馴染みのないフレーバーを、エンジンビルド・リソースマネジメントを活かしたカードゲームにキレ良く落とし込み、さらにプレーヤーに穏やかなイメージを想起させることに成功させたゲームだと思います。複雑すぎない仕組みで、ゲームとしても広く楽しんでいただけるはずなので、機会があれば遊んでみてください。

こんな人におすすめ

穏やかな中量級ゲームで遊びたい人。鳥が好きな人。

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
自分は好きですけ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
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