放棄された船を土台にして、港に町を作り上げよう!三次元で展開するエリアマジョリティ!(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
カードの使い方に妙があるエリアマジョリティ。カード捨てた時の効果が強いから悩ましいんだよね。
お金がカツカツなゲームってあると思うんですが、これはマジカツでしたね。「やることは簡単、カードを一枚プレイするだけ」とは、このゲームのためにある言葉ですね。
NEZおすすめ度: | (6.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (7.0 / 10) |
Average: | (6.5 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
NEZのレビュー
カードを使うのか、捨てるのか。それが問題だ。
ゴールドラッシュに湧くアメリカを舞台に、入植者達が乗ってきて、そのまま放棄された船を土台にして、港に街を作ってしまおうと言うゲームです。初めてこのゲームを知った時は、上に乗ってるのはコンテナだと思ってましたが、構造物だそうです。ツーバイフォー万歳。
ゲームは三カ所ある桟橋に隣接したマスでの構造物の数を争うエリアマジョリティになります。ここで面白いのは構造物は下の段に屋根が乗って完成する事で、上にさらに積む事が出来る事です。つまり、桟橋の隣接マスがいっぱいなら、上に乗せていけば良いと言う事ですね。桟橋自体も縦に伸びていくので、高さで勝負するのか、事前に桟橋が伸びるのを見込んで隣接するであろうマスを確保するのかが面白いです。
手番の流れは以下のように基本的にカードのプレイ(もしくは破棄)→カードの購入→次ラウンドの手札のセット→次のプレイヤーの手番と言う流れで進んでいき、5枚の手札を使い切るとラウンドが終了します。
カードはプレイする事で、土台となる船を配置したり、構造物の上に屋根を配置して建物を完成させる事ができます。これによって、資源やお金を得る事が出来るようになります。ここでポイントとなるのは、カードの破棄です。カードをプレイする、もしくは資源などが足りずカードをプレイできない場合は手札を1枚破棄する事になるのですが、カードによっては破棄する事で強力な効果を発揮するものがあり、能動的に破棄をしていきたい場面がたびたび出てきます(特に破棄効果で高さによる勝利点などの特殊勝利点が入るのは現代的な味付けだと思います)。このカードのプレイに使うのかそれとも破棄するのかの選択が非常に悩ましく面白いです。ただ、この悩ましさはゲームのプレイ時間を伸ばす要因となる気がします。
カードの購入は強制で、買うだけのお金がないのであれば、山札から強制的に引かされて、足りないお金は勝利点で払わされます。そうまでしてなぜカードを購入しないといけないかと言うと、その後で次ラウンドで使用するカードを1枚セットしないといけないからです。
このゲームでは、手番の終了時にその手番で購入したカードも含めて、次のラウンドに持ち越すカードを1枚セットする必要があります。これはつまり5枚の手札を使い切ると同時に、次のラウンドで使用する手札が選択されていると言う事になります。これによって、後半に使いたいカードを事前に購入しておいて、後半にカードを持ち越していくプレイングが出来るのも地味ながら良い味付けだと思います。
主な勝利点の獲得方法は先ほどのエリアマジョリティによる勝利点に加え、議会への影響力による勝利点やゲームごとに変わるプレイしたカードの種類による勝利点があります。議会への影響力は、何故だか分かりませんが、他のプレイヤーの構造物に隣接した場所に配置する事で得る事ができ、こちらは決算で勝利点が得られる他に一定数進む事で特殊な効果を発生させる事が可能です。
高く積まれていく構造物はなかなか壮観なのですが、後半は上手く積むのが難しくなります。そして、一度崩れたら多分やり直しが難しいだろうなと感じました。一応、船タイルや屋根タイルには構造物をはめるために2段レイヤー構造になっているのですが、それでもちょっと不安になります。
エリアマジョリティをメインに据えつつ、様々な方法で勝利点を提供する現代的なゲームと言う印象(クラキンコンビの「パリ」もこんな印象でした)ですが、カードのやりくりの部分が特に面白いポイントかなと感じました。
ただ、特定の条件を満たすことで公開され、誰でも建築可能になる特殊建物があるのですが、ランダムかつ強力なので、これに振り回される事があるのは好き嫌いがでそうです。
ルールの複雑さ: | (6 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7 / 10) |
運の要素: | (4 / 10) |
おすすめ度: | (6 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7 / 10) |
やすやすのレビュー
ゲーム開始時にやたらお金があり、余裕があるように見えるのは罠。
「やることは簡単です、〇〇するだけ」という勧誘文句、聞いたことありますよね?要するにこのセリフって、フラグなんですよ、「やること(動作)だけ簡単」という。左クリックするだけの仕事だってあるだろうし、ハンコ押すだけ、とか、他人とおしゃべりするだけ、とか。絶対にそうじゃないのにね(遠い目)。
(物理的にも)建設をしながら勝利を目指していくので、資源を得たり支払ったりを繰り返し、より勢力を拡大していくという定番のリソース管理ゲームでもあります。ただし、その資源のやりくりの部分は、それほどシビアとは感じません。ゲーム開始後、わりとすぐに「木」や「石」みたいなものは足りてきます。
資源が足りてきた中盤くらいになると、「建物の建て方=構造物の積み上げ方」で悩まされ始めます。他人の建てたものに対して、いかに対応していくか、というエリアマジョリティや市場カードの早取りに意識が向きます。このインタラクション部分は今風と呼べる作りになっているように見え、直接攻撃要素は控えられていますね。マジョリティ争いもカード争いも、強引に物事を進めることはできないし、進めたとしてもカード運などで徒労に終わるようにもなっていますが、客観的に「お仕事」をする人は必要かもしれませんね。
そして中盤以降は、お金を使っていかに点数に結び付けるのかという思考へ強制的にシフトさせられます。単純な盤面勝負では点数に限度があることに気が付くため、それまで積み重ねてきた計画をいかに点数化していくのか、というマネジメントの様相を呈してきます。
ゲームは5ターン×3ラウンドで15手番しかありません。途中で盤面がリセットされることはなく、変化が積み重なっていきます。つまり、たしかに15枚のカードをプレイするだけなのですが、流れにしたがい思考すべきことがスライドしていくため、考えどころはたくさんあります。カード運もあり、ある程度の逆転劇も起こり得ると思いますので、テンポよく遊ぶこともできるでしょう。
ルールの複雑さ: | (7.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |