2022年エッセン新作&レビュアー・ヒゲの最も印象に残ったゲーム、エアメールの魅力やいかに。(ヒゲ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
古き良きユーロゲームの魅力をそのままに、華やかなコンポーネントとちょうどいいもどかしさを加えた素晴らしいゲーム。
航空路線を作って、郵便を配達するピック&デリバー。ドミノ形式のカードプレイとすごろくの組み合わせが適度に悩ましい!
ヒゲおすすめ度: | (8.0 / 10) |
NEZおすすめ度: | (7.0 / 10) |
Average: | (7.5 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
2022年で私がもっとも印象に残ったゲーム。そうそう、こういうのでいいんだよ!
2022年エッセン新作で注目していたゲームの1本でした。
出版社はルドノヴァ。スペインの会社ですね。
作者はトニ・ロペスさん。出版作品はBGGへの登録が確認できるのが3作で新しい世代のデザイナーっぽいですね。(2023年にChandigarhというゲームを発表予定とのこと。詳細はまだ不明。)
プレイ時間はおよそ75分。人数が変わってもそれほどプレイ時間は伸びません。
ベスト人数は3人あるいは4人。
3人なら狭いカナダマップ、4人ならアメリカマップをやりましょう。
あと、可能ならばプロモカード付のものをゲットしましょう。アルファベットM以降のカードです。
プロモカードには基本のカードにはない減点の概念が入ってきます。
これによってゲームがよりピリッとします。(〇〇をしていないと減点という具合のもの)
ゲーマーにはプロモカードで遊ぶことをお勧めします。
システムの根幹はルート構築とピックアンドデリバー。
ただし自由にどこでもできるわけではないのがポイント。
この辺のシステムはきっとNEZさんが書いてくれているからぶん投げるとして…
やってることは違うんだけどプレイ感はなんとなく『郵便馬車』に近い印象を持ちました。
『郵便馬車』が自分のルート構築に集中すればよいのでソロっぽいですが、そこを共通の盤面にカードを出していくことでほどよいインタラクションを持たせたという感じでしょうかね。
一応やろうと思えば、下家のプレイヤーを絞ることができなくはないですが、狙ってやるほどではないので気持ちよくプレイできると思います。
カードを出せない時はどうすんのという話ですが、出したカードの真ん中に書かれた特殊なアクションマスを進めていくことができます。この辺りが現代的で親切な設計になっている感じですね。
さきほど『郵便馬車』に例えましたが、北部マップ拡張みたいに気が利いている感じ。
あと特筆すべきはコンポーネントの良さです。
航空機コマの具合とか、得点を表す$マークの木ゴマとか…いい感じです。
ミニチュアがあればペイントする派の私ですが、これはこのままでいいかなと思います。
航空機コマがいい感じで、終了時の盤面が華やかなのがいいですね。
中間決算にあたるカードで短期的な目標を提示しつつ、基本的には航空網を広げて自分の路線を使って得点を稼いでいくという分かりやすさもあります。
強いてネガティブ要素を挙げるとすると、マップが大きいこと。
あとは一部の目的カードの色味が分かりにくいことくらいです。(アイコン化はされている)
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (5.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
NEZのレビュー
相手の路線を上手く活用できるかが鍵になるピック&デリバー。ドミノ+すごろくの二重構造が適度な悩ましさ。
航空路線を開拓して、郵便を届ける事を目的としたピック&デリバーのゲームです。このゲームでまず着目したのは、メインボードの大きさです。
デカい。とにかくデカい。外周にカードが並べられていくので仕方がないのでしょうが、大箱でもないサイズの箱から出てくるボードとは思えないほどデカいです。
さて、ゲームの目的ですが、目的地カードに示された場所に荷物を届けてお金を稼ぐ事にあります。正確には、ゲーム終了時に目的地が達成できていれば良いので、荷物を届けた後で目的地カードを引いてもOKです。
基本的なゲームの流れは、都市と都市の間の路線を確保し、エンジン性能の向上して、より遠くの都市へ荷物を運ぶ。これを繰り返していく感じになります。個人的にこの流れは『蒸気の時代』っぽさを感じました。もちろん、蒸気のような強烈なインタラクションはありませんし、全体的にかなり簡素になっているとは思います。
さてゲームの進め方ですが、基本的にはドミノのように半分ずつ異なる記号が書かれたカードをプレイする、または半分がオールマイティーになっているカードを獲得して、ダイスを使わないすごろくを行うか2択です。
何となくドミノでピンと来た方もいらっしゃるかと思いますが、カードをプレイするにはボードの外周に並べられたカードの両端と記号を合わせなければいけません。さらには、合致した記号はメインボードの各エリアと紐付いており、そのエリアがアクティブになる仕様になっています。そして、アクションはアクティブになったエリアを絡めて行う必要があります。
カードをプレイすることで、これらのアクションから3アクションを実行できるようになるのですが、航路の開拓以外は1手番に1回ずつしかできません。
航路の開拓は早い者勝ちですが、荷物の輸送では他のプレイヤーの航路を経由することが可能です。ただ、他のプレイヤーの航路を利用すると、そのプレイヤーには利用回数分の得点が入るわけです。つまりは、航路を開拓する際は相手の進める航路に割って入って利用料をせしめるようなプレイングができるわけですね。楽しい。
また、荷物は手元からキューブを届け先の都市に置く事になります。つまり、制約はあるもののどこからでも荷物を届ける事が可能です。制約と言いましたが、荷物の輸送はエリアを跨がないといけなかったり、自分の航路からスタートしないといけなかったり、エンジンレベル以上の距離の輸送は出来なかったりします。ですので、長い距離の輸送が出来そうだと思ってやってみたら、意外と距離が稼げなかったなんて事もあります。この辺りのちょっと緩めのもどかしさは面白く感じました。
もう1つ特筆しておきたいのが、オールマイティーカードを獲得した時に付随する特殊アクションのすごろくです。俗に言うダイスを使わないすごろくで、並べられたカードの上を飛行機が時計回り、または反時計回りに好きなだけ移動していきます(一度方向を決めたら、戻ることはできません)。
カードには真ん中に円が描かれていて、その中の様々なアイコンが描かれています。すごろくでは、この円から円へと飛行機が移動する事になります。そして、止まった円に描かれたアクションを実行することになるのです(基本的にはエリアに縛られないちょっと弱めのアクションになっているイメージです)。
後半になるとアクティブにしても美味しくないエリアが出てくる事があるので、いっそのことすごろくで特殊アクションを狙いに行く事も出てきます。この辺のカードをプレイするのか、すごろくを進めるのかはなかなか悩ましいところです。
手札に余裕があるゲームではないので、下家を縛るようにカードを選択するのはなかなか難しいですが、プレイヤーに与えられた選択肢には適度な悩ましさがあり、プレイ後に「今度はもう少し上手くできそう。」と思わせる魅力があります。プレイ時間も90分程度で、全体的な雰囲気から考えれば、意外と早く終わる印象です。コンポーネントも素敵なのも○ですね。
ルールの複雑さ: | (5 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (5 / 10) |
運の要素: | (6 / 10) |
おすすめ度: | (7 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7 / 10) |