モーツァルト未完の楽曲をめぐる弟子とパトロン達の2時間ドラマ。(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
2022年エッセン新作最後の刺客。
事前のBGGでの注目度もかなり高かった作品。
なるほど、こいつぁよくできてる!
この面構えで90分級。手札をアクションとリソースに分けて使うのが悩ましいけど、比較的サクサク進む。
ヒゲおすすめ度: | (7.0 / 10) |
NEZおすすめ度: | (6.0 / 10) |
Average: | (6.5 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
見た目よりもスッキリした現代的なユーロゲーム
2022年エッセン新作、(個人的)最後の刺客!
『Lacrimosa』です。
テーマとしてはモーツァルトの未完の遺作ことラクリモーサを完成させる弟子…を支援するパトロンになって遺作を完成させたり、足跡を辿ったり、曲を演奏したり権利を売ってお金にしたりするゲームです。まぁフレーバーとシステムが噛み合っているかというと微妙ですが、魅力的なテーマであると思います。
余談ですが、2022年のエッセン話題作は音楽テーマのものが目立った印象でした。
『Come together』とかね。あとポストアポカリプスものも何故か多かったですね。
上記の『Come Together』と『Air Mail』そして今作『Lacrimosa』が2022年エッセン新作の当たりだったな、と感じています。(フリーゼは除く。フィンドルフも面白いぞ!)
さて、買ったはいいものの箱や盤面の見た目が複雑そうなこととルールブックの厚さ的にプレイするのを後回しにしていた『Lacrimosa』ですが…めちゃくちゃ面白いです。
プレイ時間は90分ほど、慣れれば60分で終わる位の中量級ゲームです。
ベスト人数は4人かな。意外と2人でもしっかり面白いです。
ただレクイエムのマジョリティ争いが人数少ないとインタラクションが弱い感じがします。
デザイナーは新進気鋭の2人組。
アンドラ公国出身のジェラルド・アセンシとスペイン出身のフェラン・レナリアス。
近年、話題作を出している感じで、『種の起源(原題:On the Origins of Spiecies)』や『1998ISS』(Loopingの2022年エッセン新作)があります。
あと先に3点だけ欠点を挙げておきます。
・準備と片付けが面倒くさい。(4人ベストの理由の1つ。3人以下だと割と細々と抜くものが多い。)
・ルールライティングがよくない。(基本の流れ→各フェイズの詳細が離れたところに書いてある)
・スリーブに入れるとカードがボードに差し込みにくい(頻繁にシャッフルしないからスリーブなしでよかった…)
システムやルールの細かいところはいつも通り他のレビュアーに丸投げして…特にいいなと感じたところを書いていきます。
まずは、見た目よりもプレイ感はずっと軽いことです。
これだけのコンポーネントや盤面の情報の多さから複雑な重量級ゲームを想像するかもしれませんが、先述の通り、90分くらいで終わる中量級ゲームです。
このプレイ感の軽さの理由は、「選択肢を絞っていること」だと感じました。
手番では4枚のカード(3枚の時もある)から2枚を選んで1枚はアクションとして、もう1枚は次のラウンドの資源として使います。実質、4枚から1枚のアクションを選ぶみたいなプレイ感。
これなかなかよいのです。他のデッキ構築でありがちなコンボ的な動きはなくてダウンタイムの軽減につながっているし、悩む選択肢の幅が狭いので割とすんなり決められます。
また、今作のポイントとしては「デッキ構築だけどデッキは常に9枚」というのが画期的です。
デッキ構築ゲーム特有の自分のデッキ内容を暗記しながらのプレイというのも楽しいとは思うのですが、暗記が得意かどうかでプレイの印象って変わってくると思います。
私は暗記苦手なので、ドミニオンやってもふんわりしか覚えられません。
9枚ってのがほどよくて、それほど労力をかけなくても覚えられるレベルです。
また、毎ラウンド9枚のデッキは必ず引き切るのでタイミングの問題こそあれど「引けなかったからこのアクションが出来なかった」は起きません。
そういう運に振り回されるストレスは限りなく少なく、快適にプレイできます。
昨今の新作ゲームは色々な要素を盛り込みました~!ドドン!…みたいなゲームが多く、ゲームのキメラ化、システムの複雑化がトレンドとしてあります。
私個人の意見では、もっとシンプルでいいのに…と思うことが多いです。
『Lacrimosa』もそういうタイプのゲームかなと思いつつ買ってみました。
しかしこれは現代的な要素も含みつつ、ゴチャゴチャした印象がない優等生なゲームだと思います。
弟子タイルや都市タイルの出方でちょっとした味変も楽しめて、リプレイ性も高いと感じています。
実際、2時間くらい時間あるけど何する?となると『Lacrimosa』しよう!となるくらいには好きです。
大変オススメ!
買った方がいい!
だからどこか日本語版を!(まぁ出るでしょう。知らんけど。)
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (5.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
NEZのレビュー
9枚のデッキで紡ぐ2時間ドラマ。
モーツァルトの死によって、未完の楽曲となったレクイエムを完成させる弟子達とそれを支援するパトロンがテーマのゲームです。プレイヤーはパトロンとなって、弟子に肩入れしてレクイエムを作らせたり、既存の楽曲を買って演奏会をしたり、モーツァルトの足跡を辿ったりします。テーマいいですね。
ボードもダブルレイヤーの個人ボードに大きなメインボードがあるしで、ここまではどう考えても3時間はかかりそうな面構え。しかし実はこの子、こう見えて90分クラスなんです。
ゲームは手札をプレイして、それに応じたアクションを行う形で進んでいきます。5回アクションしたら1ラウンド終了。手札の枚数は4枚で山札はゲームを通して9枚しかありません。手札をプレイする際は必ず2枚プレイされ、1枚はアクションとして使用し、もう1枚は次のラウンドに与えられるリソースの量になります。
なので、カード自体が上下で分かれていて、プレイする際は個人ボードの上側と下側にあるスロットに納めていきます。カードの選択は悩ましいのですが、手札は4枚で選択の幅が限られるので、「まぁ、しゃーない。」となる事もあります。
アクションの内容は、それほど複雑な印象はなく、目的に対して手段が明確になっているので、「お金が欲しいから演奏会アクションやるか。」とか「演奏会したいけど楽曲がないから、楽譜買うアクションやろう。」などのように比較的アクションを決めやすく感じました。ただ、比較的どのアクションでも早取りの要素があるため、インタラクションは発生します。
このゲームではカードを購入して、アクションやリソースを強化するデッキ構築の要素があるわけですが、デッキの総数は9枚なので、カードを購入するとリソース用に差したカードを1枚ゲームから除外して、そこに買ったカードを差し込まないといけません。ですので、デッキの強化はしたいけど、除外するカードをどれにするのかがなかなか悩ましくなっています(捨てるカードによっては一時的に特定のアクションが出来なくなるリスクもありますね)。
やることが多いため、重たいゲームになりそうな印象がありますが、手札の枚数が絞られているため意外と選択肢が少なく、サクサクと進みました。アクション自体が簡単な事もそれを後押ししている感じです。しかしながら、早取り要素やマジョリティ争い、デッキの改良と考えるべきところはしっかりとあります。ただ、ゲーム時間に対して少しインストに時間がかかるイメージがあるように感じました。
ルールの複雑さ: | (6.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (5.0 / 10) |
おすすめ度: | (6.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |