キーフラワー / Key Flower

レビュー記事
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デザイナー: Sebastian Bleasdale, Richard Breese
アートワーク: Juliet Breese, Jo Breese, Gemma Tegelaers
出版社: R&D Games, HUCH!
, Arclight
参照 BoardGame Geek

マストフォロー競りとワーカープレイスメントを同時にやる!?奇抜な発想ながら唯一無二の名作ゲーム!(ヒゲ)

ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値

ヒゲ
ヒゲ

数少ない“このゲームでしか味わえないプレイ感”を持ったゲーム。
キーシリーズの代表作。ブリーズデール&ブリーズコンビの名作。

NEZ
NEZ

ワーカープレイスメントとマストフォローの競りを同時にやる唯一無二のシステムが凄い!やみくもにやっても勝てない玄人向けのゲーム!

ヒゲおすすめ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
NEZおすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
Average:6.5 out of 10 stars (6.5 / 10)

各レビュアーによる個別レビュー

ヒゲのレビュー

競りとワーカープレイスメントを同時にやるという発想。

私の好きなゲームの傾向として、“そのゲームでしか味わえないプレイ感”を含んだゲームが好きです。それ故に、好きなゲームデザイナーはフリードマン・フリーゼなわけですが…

『キーフラワー』はそんな唯一無二のプレイ感を持ったゲームです。

ゲームの概要を話すだけでいかにぶっ飛んだゲームかが分かるのがすごいのです。
場のタイルを競ります。季節の終わりに最高額を入札したプレイヤーが獲得します。」←分かる。
「タイルの上にキープル(いわゆるワーカー)を置くとアクションを実行できます。」←分かる。
競りもワーカー配置も“マストフォロー”です。色が同じでないと置けません。」←ギリ分かる。
「以上のことを、同時にやります。」←分からない。
「あ、そうそう。他人が獲得したタイルと競りに掛かってるタイル、それも使えまーす。」←発狂。

普通ならこんなアイデアを合体させても崩壊するとおもうんですが、それが面白いゲームとして成立しているのがすごい。
このバランス感覚はさすがのブリーズデール&ブリーズ。彼らもまた天才ゲームデザイナー。

余談ですが、タイトルの「Key Flower」はアメリカへの初めての入植となった船「メイフラワー号」から取られている…はず!

2022年11月にアークライト社から完全日本語版が発売されました。
元のゲームは2012年。10年の時を経ての日本語版の発売となっています。

『アグリコラ』以降のゲームで特に2010~2013年くらいまでのゲームは個人的に相性が良いものが多いです。この辺りの時代のゲームって、荒削りながらも新しいシステムにチャレンジしている意欲作が多いように感じます。(それ故のバランスの危うさも内包している)
システムの組み合わせ的にもメインになるシステムが2つくらいでスッキリまとめている印象があります。今回のキーフラワーも競り×ワーカープレイスメントですね。

2010年代の面白ゲーム、もっと知っていきたい!

こんな人におすすめ

独特のプレイ感の競り×ワーカープレイスメントの中・重量級ゲームをお好みの方。
あるいは、新大陸発見者の方。

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
運の要素:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
おすすめ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
自分は好きですけ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)

NEZのレビュー

『マストフォロー』で繋がった2つのシステム。ルールの行間を感じ取ってからが本当の勝負。

競りとワーカープレイスメントをベースとしたタイル配置ゲームです。自分の村に様々な施設を配置していく事で村を発展させると言ったテーマでしょうか。

このゲームは何と言っても、そのシステムが斬新です。

ゲーム開始時に、手元にはいくつかの3色のミープル(ゲーム中はキープルが正式名称)が配られ、それを使ってゲームを進めていきます。ミープルには2つの使い方が用意されており、タイルの上に置いて、その効果を発動する、もしくはタイルの縁において、そのタイルを獲得するための競りのコストとして使用します。
つまり、競りとワーカープレイスメントを同時に行う必要があり、それら2つのベースとなるシステムがマストフォローで繋がっています

テーブルには、大きく分けて2つの区域があり、1つはそれぞれのプレイヤーが獲得したタイルを配置する自分の村エリア、もう1つはタイルを競り落とすための共通エリアです。共通エリアには毎ラウンド開始時に規定数のタイルが配置されます。この共通の場のタイルはラウンド終了時に、競り落としたプレイヤーの村に配置される仕組みです。

まず、ワーカープレイスメントの要素についてですが、タイル上にミープルを配置する事でその効果を発動します。ミープルの置ける対象は自分の村だけでなく、他のプレイヤーのタイル、共通の場のタイルも含みます。ただし、配置したミープルはラウンド終了時に、そのタイルの所有者のものになってしまいます。魅力的な効果のタイルを持つプレイヤーのところには、他のプレイヤーからミープルを差し出す代わりに効果を使わせてねとお願いされるわけですね。

1つのタイルに置けるミープルの最大数は6個と決まっており、6個以下であれば、何度でもミープルを配置して効果を発動できます。しかし、ここに1つ条件があり、直前にそのタイルに置かれたミープルの数より多くミープルを配置しないといけません。つまり、1つのタイルで効果を発動できる回数は最大で3回(1回目:1つ、2回目:2つ、3回目:3つ)となります。もちろん、あえて最初から2つもしくは3つ置く事で他のプレイヤーの妨害をする事も可能です。

続いて、もう1つの重要な要素『競り』についてです。
競りの対象は共通の場にあるタイルになります。こちらはタイルの縁にミープルを配置する事で競りに参加した事を表明します。こちらも、直前にそのタイルの競りに参加したミープルの数を上回るようにミープルを置く必要があります。まあまあ、こちらは競りなので当たり前と言えば当たり前ですね。ちょっと変わっているのは、競り落とせない場合にミープルが戻ってこないところです。代わりに、競り負けている場所のミープルを動かして他のタイルの競りの入札に利用したり、タイルのアクションで支払うコストにしてよいなどの言うルールがあります。結局、支払ったミープルは戻ってこない事が多いので、どこまで競り上げるのかの感覚が非常に難しいと思います。

で、ここからが問題なのですが、最初に申し上げた通りこのゲームは『マストフォロー』のゲームなんです。何がマストフォローなのかと言うと、ミープルの色です。すなわち、1つのタイルには1色のミープルしか配置できないのです。これは競りもワーカープレイスメントも共通なので、誰かが共通の場のタイル上に赤のミープルを置いて効果を発動したら、そのタイルを競るためのコストも、さらに効果を発動させるために置くミープルも全て赤でなければならないのです。

共通の競り場。タイル以外にもラウンド終了時に補充するミープルなども競っている。

と言うことは、相手の村にあるタイルを先に使う事で、相手が本来置きたかった色のミープルを置かせられなくするようなプレイングや、先に自分が多く持っている色で入札することで、有利な色に縛ってしまう事ができたりと、かなり戦略的に動く事ができます(ちなみに、タイルのアクションからしか発生しないレアな緑のミープルなんかもあります)

個人的には、このマストフォローの概念が異なった2つのシステムを繋ぐ潤滑油として上手く機能しているだけでなく、ゲームの難易度を大きく上げていると感じています。

もちろん、毎ラウンド手元にミープルは補充されるのですが、それ自体もラウンド開始時に見えており、競りの対象です。ですので、誰が何色のミープルをどれだけ補充したのかは推測できるようになっています。

全体的に見て、このミープルの管理が非常に難しく、そして面白いところです。こういったルールの説明だけではなかなか見えてこない「行間」を察する必要があるのが、このゲームが難しさであり、何度かプレイしていく事でだんだんと理解できてくる部分だと思います。難しいゲームの中には、「初回プレイまでがインスト」と言われるゲームがあります。キーフラワーもその典型ですね。

非常に独特のプレイ感ながら、かなり戦略的に遊べるゲームです。マニュアルには書かれていないゲームを進める上での考え方などを理解してからが本当の勝負と言った感じです。かなりゲーム自体の難易度は高いと思いますが、ゲームに慣れた方には是非この独特なシステムを体験してもらいたいです。

こんな人におすすめ

複雑なシステムのゲームをやりたい人、リプレイ派のボードゲーマー

ルールの複雑さ:8 out of 10 stars (8.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
運の要素:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
おすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
自分は好きですけ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
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