デッキ構築にボード上でのダンジョン探検要素を加えた名作ボードゲーム。ドラゴンに見つからないようにお宝をゲット!(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
大好き!ドラゴンに見つからないように音を立てずに行動していく様子を、Clank!キューブで表現しているところが画期的!後半になるにつれて、加速度的にドキドキハラハラしてくる!
ドミニオンから続くデッキ構築ゲームの流れの行きついた先の1つ。
強いデッキを作るだけでなく、マップと袋引きの要素を交えた意欲作。
ドラゴンが棲むダンジョンを、モンスターや罠をかいくぐりながら大探索、っていうのは、全ヒューマンのロマンだよね。それに、上手く嚙み合うようなメカニズムを組み込んだ演出が備わり、もう大冒険となること間違いなし!
ヒゲおすすめ度: | (6.0 / 10) |
NEZおすすめ度: | (7.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (7.0 / 10) |
Average: | (6.7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
デッキ構築リヴァイバルの筆頭格。お宝盗んで、ドラゴンから逃げろ!
2009年のドミニオンの登場により、デッキ構築というジャンルが一躍メインストリームに登場した。程なくしていわゆるドミニオンクローンと呼ばれるゲームが国内外で大量に作られていく。もちろん、本家ドミニオンも拡張セットを出し続け、新しい要素を加えていくことで既存のプレイヤーを魅了しながらも、デッキ構築というジャンル自体が徐々にメインストリームからは外れていくことになる。
そして2016年、2017年はそのデッキ構築リヴァイバルの年であったと言っても過言ではない。本レビューのClank!(2016)、The Quest for El Dorado(2017)、変わり種でいえばユーロテイストのValletta(2017)やD&Dの世界観を組み込んだTyrants of the Underdark(2017)などなど。
これらのゲームは『盤面の導入によるインタラクションの増加』『デッキ構築+αのシステム』という要素を加えることでデッキ構築の新たな地平を開いたと言える。見方を変えれば、デッキ構築が主エンジンからいくつかあるうちの要素の1つとして使われ始めたともいえる。
その中で、とりわけClank!という作品は『ダンジョン探索というテーマとマップ』『カードのめくり/キューブの袋引きの運の要素』が非常に高いレベルでデッキ構築と融合した好例と言えるだろう。
システム的な面白さ/以降の拡張セットについてはNEZ氏が掘り下げてくれると思うのでボードゲーム史の観点からのレビューでした。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (4.0 / 10) |
運の要素: | (7.0 / 10) |
おすすめ度: | (6.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |
NEZのレビュー
ゆるめのデッキ構築に、ダンジョン探索を掛け合わせた名作。カードをプレイする事で溜まっていくCLANK!キューブはゲーム後半に向けて加速度的にドキドキさせてくれる!
デッキ構築にダンジョン探検を掛け合わせた男の子なら大好きそうなテーマのゲーム。ドラゴンに見つからないように、音に気を付けてお宝を取って戻ってくるまでがゲームなのですが、実はドラゴンがダンジョンの中に登場しない。
では、どうやってドラゴンを表現しているかと言うと、カード上に書かれた「Clank!」キューブとドラゴンアタック。カードの効果で躓いたり、走り抜けたりする事で騒音を意味するClankキューブを置くように指示されます。そして、カード補充のタイミングでドラゴンアタックアイコンのついたものが場に登場すると、貯められたキューブが全部袋に入れられて、そこから袋引きでダメージを受けてしまいます。これが、ドラゴンが騒音を耳にしてそちらの方向に炎を吐く様に感じられます。
このドラゴンアタックの袋引きにパーティ感があり、ゲームは後半に向けてどんどんワチャワチャしてきます。場札はランダムなのでデッキ構築は運の要素がありますが、そもそも「ちょっと移動が足りないから移動付きのカード買おうかなー?」くらいのゆるい感じでも何とかなるので、ガチガチのデッキ構築は苦手だなと感じている方でも楽しんで遊べるのではないかと思います。逆にデッキ構築に重きを置いている方には、この部分はあまり好ましくないかもしれません。
ダンジョンの奥深くで倒されてしまうと得点計算すらさせてもらえず、さらに誰かが地上に出ると、そこからゲーム終了までのカウントダウンが始まるので、前半は適当に「あそこのお宝を持ち帰ろうかなー。」とか遠足気分でゆるく進んでいきますが、後半になるにつれ、HPが少なくなり、ついには誰かが帰る素振りを見せると一気に緊張感が増してきます。
拡張セットも複数発売されており、さらにはレガシーゲームにまで発展していて、このゲームが如何に支持されているかを窺い知る事ができますね。
個人的にはデッキ構築の中で、一番好きなゲームかも。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (5.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
やすやすのレビュー
ミクスチャーにより生まれた、ヒップホップでメロコアなドラゴン退治(退治できない)。
デッキビルディング(以下、DB)というリズムに、ドラゴンとダンジョンというメロディを重ねたら、名曲ができました!
ドミニオンにも(拡張ごとに)仮の物語みたいな設定はあるけど、ぼくにとってはいずれも後付け感が強く、未だにゲーム中にそのフレーバーを意識することができないでいます。そのためドミニオンは「確率論で効率的にカード効果を適用するゲーム」という印象を拭えないままの状態、もちろんそれだけで既に最高のゲームなんですけどね。
しかしフレーバーがシステムに溶け込んでいないと、「どうしてそんなテーマにしたのかなぁ」と少しだけ興醒めしてしまう自分がいました。DBというリズムはそれだけで痺れるほどの刺激だけど、さらにそれを生かすメロディも乗せてくれたらなぁ、と願う自分もいました。
デッキビルディング×(ドラゴン+ダンジョン)÷チキンレース=おもしろい
DBのリズムそのものが、生身のまま剥き出しであるドミニオン。それにメロディをつけて欲しいなぁという(ぼくみたいな変な)層に対するアンサーソングとして、デザイナーのポール・デネンさんが、このクランク!というキャッチーな曲を書いてくださったのかもしれません。
彼は、デッキをビルディングして勝利点を得るという骨太のリズムに、入り組み歪んだダンジョンのリフとドラゴンブレスのシャウトで彩ることにより、DBをひとつ別のステージへと変化させた素晴らしいアーティストだと、ぼくの目には映っています。
また、終盤のテンポアップのタイミングが露骨で明瞭なドミニオンに対し、クランク!に取り入れられたメカニズムは、チキンレース。これがゲーム開始から聞こえないほどの音量でベースとして奏でられています。
神経を逆撫でするようなゾワゾワした加速感は、気が付いたときには飛び降りれなくなるほどのスピード曲線を描き出し、気持ちの良いエンディングまで真っしぐらです。
カードの強弱が明確にあるので、みんなで盛り上げながら楽しみましょう!
この「クランク!」は、あらためてしっかり遊んでしまうと、デッキビルディングとしてもチキンレースとしてもゆるく甘いところを感じるかもしれません。特に、カードやタイルが完全にランダム引きという部分は大きな要因で、いわゆる時代区分などのゲーム進行における区切りがないために、ローグライトゲームのように最初から(プラスもマイナスも)強カードが公開されることが頻繁にあるのです。
しかしこのフレーバーがゆえに、システムのゆるさが翻って魅力となるところが醍醐味。プレーヤーの阿鼻叫喚は、そのまま躍動感へと変換されていくのでしょう。遊び方としては、自分が本当の冒険者になったつもりで、リスクなんてそっちのけ、細かいことは忘れ限界までダンジョン探索に明け暮れるのが正解です。
ルールの複雑さ: | (6.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (8.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |