レース・フォー・ザ・ギャラクシー / Race for the Galaxy

レビュー記事
この記事は約9分で読めます。

デザイナー: Tom Lehmann
アートワーク: Martin Hoffmann, Claus Stephan
出版社 ABACUSSPIELE, Rio Grande Games(cited from), Hobby Japan
参照 BoardGame Geek

トム・レーマン式ヴァリアブル・フェーズ・オーダーによる宇宙開拓競争。手札をプレイするのかコストにするのか、様々な選択に迫られる。(NEZ)

ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値

ヒゲ
ヒゲ

ヴァリュアブルフェイズオーダーの進化形…?
プエルトリコ→サンファン、そしてトム・レイマンによるアレンジはいかに。

NEZ
NEZ

手元のカードで、あーしてこーしてを考えていくタイプ。相手の行動を予測する要素はあるけど、基本セットだけはかなりソロプレイ感強めだね。

やすやす
やすやす

宇宙の覇権を競うというロマンあふれるフレーバーが、ぎゅっとカードゲームに詰め込まれています…います?世間には「スルメゲー」という言葉がありますが、これです、これ、それはここにあります。

ヒゲおすすめ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
NEZおすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
やすやすおすすめ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
Average:5.3 out of 10 stars (5.3 / 10)

各レビュアーによる個別レビュー

NEZのレビュー

手元のカードでの戦略の組み立てと相手の行動を予測してのアクションプロットが楽しい宇宙開拓競争。

宇宙開拓競争をテーマにしたカードゲームで、トム・レーマン氏による同一宇宙をテーマとした一連の作品群の記念すべき第一作です。と、言うことなんですが僕がレビューするのは、最近発売された第二版です。もちろん、拡張セットは含めていません。

レース・フォー・ザ・ギャラクシーでは秘密裏に5種類のアクションから1つを選択して、各プレイヤーが選んだアクションを全員で実行していく事で手札のカードを場に出していく事を目的としています。

プエルトリコに代表されるヴァリアブル・フェーズ・オーダーに似た仕組みですが、こちらの特徴はアクションの選択が秘密裏に行われる事だと思います。自分の選んだアクションにはボーナスがつき、誰も選択しなかったアクションは、そのラウンドではスキップされるため、相手が何のアクションを選択するかを予想しながら、自分のアクションを決定していくところが面白いですね。

1つ1つのアクションで出来る事は自分の手元にカードをプレイしていく事が中心になるため、非常にソロプレイ感は強いです。(拡張では早取りの目標が増えるそうなので、拡張入りであれば、ソロプレイ感は多少弱くなるみたいですね。)このソロプレイ感の強さは人によって評価が分かれそうです。また、各カードの効果がアイコン化されているため、慣れるまでは逆に分かりづらく感じるかもしれません。

カードをプレイするためには手札をコストとして支払う必要があるため、どの手札をプレイするのか、どの手札をコストとして支払うのかを考える必要があり、この部分を上手く構築していくのが面白いですが、上手く構築しすぎるとアクション選択が単調になってしまうところがあります。

考えどころがあって面白いゲームですが、ソロプレイ感は強いので人を選ぶところがあるかなと思います。一度、拡張を含めて遊んでみたいところです。

こんな人におすすめ

宇宙テーマが好きな人、手元でゲームを組み立てるのが好きな人

ルールの複雑さ:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:4 out of 10 stars (4.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
自分は好きですけ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)

やすやすのレビュー

深淵なる宇宙とは、我らちっぽけな人類にとって何とも壮大で華麗で不可思議で多様で、え?なんでそうなるの的な分かりにくいアイコンと難解なルールブックがなんてあふれているんだろう。ぼくは何を思えばいいんだろう。

えーと、ですね。(基本的に)カードだけを使ったゲームで、これほどルールやゲームの進め方が頭に入るまでに時間を要することになるとは思ってもみませんでした~、みませんでした~、みませんでした~。各アイコンや色の意味、カード名や説明テキストにあふれる専門用語、そのどれもが見事に他のボードゲームと一線を画していて、頭で分かるまでが大変。「なんだろ、これ」のオンパレード。そのため理解するのに時間と経験を必要としてしまいましたが、皮を剝いでしまえば実際は「シンプルなゲーム」といった内容で、そこのギャップを脳内で埋めるのに時間がかかりましたね。RFtG、難敵です。

ゲームにまつわるあらゆることが直感的でなく、そもそもすべてが後付けのフレーバーに感じます。いっそのことノンテーマでやってほしい、とはもちろん個人の感想です。しかし何というかこの全体を覆う恐ろしいほどの「とってつけた感」は、レース・フォー・ザ・ギャラクシーを楽しめるようになるまでの最高の障壁でありながらも、裏を返せば一度入ったプレーヤーを閉じ込める強大な檻でもあり、これこそが最大の魅力となっているという結論にたどりつきました。

RFtGの問題点
  • アイコンを理解するのに時間がかかる
  • おぉ…ルールブックよ
  • 独特の用語がありいちいち引っかかる
  • おぉ…ルールブックよ
  • ゲームの魅力が伝わるまでに時間と経験が必要

ところで採用されているバリアブル・フェイズ・オーダーは、当時、いろいろなゲームやシステムへテーマ替えして乗せられたようです。近縁種であげるなら、プエルトリコやサンフアン、ロール・フォー・ザ・ギャラクシーなどになりますね。これらのことからも、テーマとの一体感よりもシステムの面白さを重視した結果生まれたゲームなのかな、と感じます。だからフレーバーへの違和感みたいなものは折り込み済みなんですね、きっと。

RFtGの最高な点
  • 綿密に調整されたカード効果
  • プレイの果てにまるで世界を紐解いていく感覚になる
  • 繰り返しに適した短いプレイ時間
  • 拡張セットによる広がり
  • インタラクション量が調整された軽いプレイ感

さて。ゲームについて書くにあたり、このレース・フォー・ザ・ギャラクシーはかなりの回数を遊んでみました。というか、かなり遊ばないとぼくには全然理解できなかった、というのが本音ですね。その甲斐あってか、こうしてレビューのようなところまでやっとたどり着くことができました。先にあげた表現で言うなら、やっと最高障壁を乗り越え最強の檻の中へと閉じ込められることができたのです。

RFtGに正対し時間をかけ、カードの一枚一枚を把握するようになると見えてくる世界があります。それは、外から見ればとってつけたような世界に見えた場所にも、内側には道理があり、物事がロジカルに提起され解決されているということです。それはまるで宇宙から見た地球。着陸してみれば、万物が物理法則によって躍動してることに重なります。

カード一枚一枚に役割があり、それぞれに存在する意味があることが見えてきます。振り回されていた妙な色使いやアイコンの細かさは必然で、以降に発売されている拡張セットを加えることでひとつの世界(ワールド)を構成していたんだな、と感じられるようになっていきます。こうなるともう、RFtGという生物の体内に取り込められたのと同じです。プレイするたびに新しい発見をし、複雑に絡まった糸が解けていくような快感が待っています。

やすやす
やすやす

一度しか遊ばないと、おそらくほとんどの人が魅力に気が付かないことでしょう。リプレイ前提なので現代風ではないかもしれませんが、名作と呼ぶに相応しいゲームの世界と呼んで差し支えないと思います。

このゲームは、ぜひ繰り返し遊んでほしいと思います。繰り返しって、5回?10回?いえいえ、100回くらいは遊んでください。宇宙英雄ペリーローダンを訳も分からず読み進め、次第にファンになっていったときのような「世界観を楽しむ」という体験が待っているかもしれませんよ。

こんな人におすすめ

やり込み要素が高いカードゲームを探している人。同じメンバーで繰り返しプレイできる環境の人。ゲームの理解力が高い人。

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
自分は好きですけ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)

ヒゲのレビュー

レースフォーザギャラクシーとサンファン。お好みはどちら?

レースフォーザギャラクシーについて語る前に、このゲームが出版されるまでの経緯を少し整理させていただきたい。
2002年にAndreas Seyfarthによって生み出された名作プエルトリコ。そして、そのカードゲーム版として2004年にサンファンが発売されます。余談だが、サンファンはプエルトリコの首都。
それから3年後の2007年、ヴァリュアブルフェイズオーダーのシステムに一部変更を加え、Tom Lehmannによって生み出されたのがRace for the Galaxy。その後も関連作品は出版されていくが、これらについては今回は割愛させていただきます。

この2つのゲームの大きな違いは、システムの核であるヴァリュアブルフェイズオーダーのルールにあります。
サンファンにおいては、共通の場に置かれたタイルを順に取ってアクションをしていきますが、手番プレイヤーの選んだアクションを全員が行います。ただし手番プレイヤーだけは、そのアクションに特権がつく(コストが安い。生産が1つ多い等)。 現在のラウンドが変わるまでは、自分より前のプレイヤーが選択したアクションは実行できなくなります。
一方、レースフォーザギャラクシーにおいては、全員共通のアクションカードの手札を持っており、それを同時に公開する。いずれかのプレイヤーが選んだアクションは全員が行うが、選ばれないアクションが出たりもします。毎ラウンドのアクションの処理順は決まっているところもサンファンとは異なる点として挙げられますね。

少し前置きが長くなりましたが、サンファンの方が他プレイヤーとの濃密なインタラクションがありレースフォーザギャラクシーはどちらかといえばソロ感に寄せたチューンになっていると感じます。
これはどちらがいいというわけではなく、好みの問題。

いずれのゲームも、カード効果を知っているかどうかが大きくゲームプレイに影響を及ぼすので、ゲーム説明の段階でどこまで説明するかがプレイ体験に大きな影響を与えます。

ただ正直なところ、レースフォーザギャラクシーのカード効果やアイコンについてプレイしやすいとは言い難い。
また拡張セットが多く発売されており、カードプールも膨大。カードゲームにおけるリプレイ性の担保といえるので、これはプラスに感じる方も多いでしょう。
ただTom Lehmannは拡張でバランスを取っていくタイプのデザイナーなので、拡張を所持している人は混ぜてプレイしたいところ。そうなってくると、先ほど述べたようにプレイ前に全てのカード効果を説明するというのは現実的ではないでしょう。

サンファンの持つ一定の”古臭さ”現代的にアレンジしたレースフォーザギャラクシーであるが、カードプールの膨大さから生じるそのゲームに対しての知識量=明確な実力差に繋がるゲームは残念ながらノットフォーミー
全員が初プレイで、気に入ったメンバー同士で繰り返し遊んでいくのがいいと感じます。

こんな人におすすめ

現代的にチューンされたヴァリュアブルフェイズオーダーを楽しみたいプレイヤー。
または、ニュースパルタの方々。

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:4 out of 10 stars (4.0 / 10)
運の要素:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
おすすめ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
自分は好きですけ度:2 out of 10 stars (2.0 / 10)
タイトルとURLをコピーしました