バッグビルディングの金字塔。Engamesから日本語版が再販!(ヒゲ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
大好きなゲームのうちの1つ。
版によって色んな違いがあるゲームですので、私からはそのご紹介を。
まぁ、結論はEngamesの再販版を買え、Engames万歳ってこと!
バッグビルドと言う概念を世に知らしめた名作!引いたチップをどこにどうやって配置するのかが悩ましいー!
インタラクションと運の要素。その両輪のバランス取りの素晴らしさで幅広い層へアプローチした、ボードゲーム史に燦然と輝く名作ですね。さまざまなプレイスタイルを受け入れる懐の深さが魅力かなと思います。
ヒゲおすすめ度: | (8.0 / 10) |
NEZおすすめ度: | (8.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (7.0 / 10) |
Average: | (7.7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
版が変わればルールも変わる…というお話。
先に結論を…Engamesの日本語版を買えば間違いないです。
ボードゲームが増刷されるときに、例えばエラッタが修正されたり明確化がされたりというのはよくありますよね。
『オルレアン』はそんな修正が加わった…というレベルではないほど版によっての違いがあったりします。
海外版をお持ちの方はそこで困ったこともあるのではないでしょうか?…かくいう私もその1人です。
浴場タイルの効果
オルレアンはドイツではdlpゲームズが、アメリカではTMG(現在はゲーム出版事業から撤退…)で発売されていました。アメリカではその後、Capstone Gamesが版権を引き継いだようですね。
まず版によってルールが大きく違うのは「浴場」(Bathhouse/Badebaus)のタイルの効果です。
dlpが出していた初期のルールではこうなっていたようです。
フェイズ5(アクションフェイズ)で、3枚引いて2枚を即アクションスペースに配置、1枚は袋に戻す。
これをTMGが販売する時に、さすがに強すぎるということで調整が入ります。
フェイズ3(配置フェイズ)で、追加で2枚タイルを引いて1枚を袋に戻す。
そもそも発動するフェイズが違うので全く効果が違います。この版のルールだとパッシブ効果ですね。
TMGの配慮で、dlp版ルールも併記されており、発動効果になるので農民タイルを置くアクションスペースがタイルに薄く描いてあります。(親切ながら、混乱を招きそうではある…)
これが最終的にはdlp版ルールを弱くした形に落ち着きます。
フェイズ5(アクション)で、2枚引いて1枚をアクションスペースへ、1枚は袋に戻すという効果になりました。版を経て、つまり世界中のプレイヤーからの意見を取り入れて調整が行われたという感じですね。
見方によっては、コロコロとルールが変わって不確かだからいやだという意見もあると思います。
ただ、プレイヤーの意見が集まりルール調整が行われるほどプレイされているゲームだ、とも言えます。
この浴場タイルが一番変わったところですが、他にも砂時計タイルにA,B,Cが書かれているかどうか/他のプレイヤーの配置をみていいかどうかなど細かい部分のルールも追加/変更されてきました。
そんな色んな調整を経たものをEngamesが日本語版として出版してくれました!
しかも拡張、プロモタイルまで!
実はこのプロモタイルセットがやばいんです。世界的にも入手困難だった「クリスマスマーケット」とかまで入ってるんですよ。元々はプロモタイル3枚で€5とかしてましたからね?マジかよと思いましたよ…色々お察しください。
とにかく、めちゃくちゃ面白いゲームだから買って損はないぜ!
ルールの複雑さ: | (6 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (3 / 10) |
運の要素: | (5 / 10) |
おすすめ度: | (8 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8 / 10) |
NEZのレビュー
バッグビルドと言う概念を世に知らしめた名作。チップ配置によるアクション選択が悩ましい。
地方の有力者になって、発展に寄与していく事を目指したゲームです。
個人的には、ドミニオンで脚光の当たったデッキ構築システムから派生して登場したバッグビルドと言う仕組みを世に知らしめたゲームなのではないかと思っています。『バッグビルド』の名の通り、オルレアンは自分の従者と呼ばれるチップを獲得して袋に放り込み、それを引くことで様々なアクションを実行していきます。ちょうど、自分の山札が袋になった感じです。
各アクションには袋から引いたチップを置くスロットがあり、全てのスロットを埋めると該当のアクションが実行できる仕組みです。アクション自体は難しいものはなく、チップをさらに増やしたり、マップを移動して交易所を建設したりと言った具合です。
チップを増やすアクションをする事で「袋引きの数を増やす」「自分だけのアクションを増やす」など、追加で特殊効果も発動するため、どのチップを増やすかと同時に、追加効果を目的としてアクションを選んだりもします。このアクション選択は袋からチップを引くワクワク感も相まって非常に楽しい部分だと感じます。
ドミニオンのようなデッキ構築は使い切れないカードを捨てていく事で山札全体を循環させていきますが、オルレアンでは引いたチップはスロットを全て埋めてアクションを実行するまで、個人ボード上に残り続けます。そして、アクションを行ったチップと追加したチップが袋に戻ります。
ですので、チップが循環すると言うよりかは、常に部分的にチップが袋に入っている形になります。全てのチップが袋にある事は少ないので、バッグの中に何が残っているかが予測を立てやすく、また手に入れたチップをすぐに引く可能性もあるため、次の行動をある程度計画しやすいのではないかなと感じます。
インタラクションはそれほど強くありませんが、地図ボード上に交易所を建てる要素は早取りだったり、デッキ圧縮も全プレイヤーで規定の数チップを圧縮するとそれを達成したプレイヤーにボーナスが入ったりと、プレイヤー間で睨みあう要素はしっかりと入っています。
何と言ってもバッグからチップを引いてくるのはワクワクしますし、お目当てのチップが次は引けるだろうと予想していたのに引けずに頭を抱えたりするのは盛り上がります。デッキ構築好きだけど、ちょっと変わった形のデッキ構築系ゲームをやってみたいなと思ったら是非遊んでみてください。
ルールの複雑さ: | (6.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (4.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
やすやすのレビュー
カードシャッフルから解放された後の人類ってこんな感じ。
デッキビルディングゲームが、好きなんです。開始時のシンプルで高すぎる運要素が、ゲームの進行につれてコントローラブルになっていく過程に楽しさを感じます。思い描いた通りのコンボが発動したり、もしくは想定外の事態が発生することにすら、ぼくは胸が高鳴ります。運に一喜一憂したいし、そこに少しだけ介入できるこのシステムを愛してやみません。
しかしっ、だがしかしっ!
そんなアナログデッキビルディングゲームには、「カードシャッフルが激烈に面倒である問題」がどうしても避けられず、常に付いて回りました。ご多分に漏れずぼくもこれが大の苦手、シャッフル上手くないし、手間だし、カードに傷がつくしで、ゲームが上手くいっても滑っても、「シャッフルのせいだな」という気持ちが最終的に湧いてきてしまい、感情的なところでは運要素に責任を押し付ける始末になっていたのです。
オルレアンを初めて遊んだときは、ゲームの「快適さ」に驚愕しました、打ち震えましたね。このゲームがお好きな方には申し訳ないのですが、その時のぼくには、そして今でさえ、ゲームとしての面白さはあまり感じていません。ソロプレイ感が強く、早取りを繰り返す、大きな波がなく破綻しない無難なゲームという印象です。
それよりも、バッグビルディングによるプールシャッフルの快適さ=気持ち良さに驚いたのです。バッグビルディングでは、シャッフルの手間軽減や精度向上だけでなく、ドローの楽しさをも高めてくれるという効果がありました。カードの山札では、(裏向きで未知ではあるものの)カードをドローする前にすでに順列が決まっています。
一方バッグドローでは、引く直前までまさに未確定な状態なのです。これらは同じことだ(と分かっています)けど、プレーヤーの感情面の昂ぶりに大きく寄与するように思いますね。暗闇の中に手を突っ込み、願いながらお目当てのチップを引けたときには、まさに運をつかんだ感覚を演出してくれるのです。
オルレアンは、盛り上がりに欠ける(とぼくが思っている)ゲーム展開に、大胆にもこのバックビルディングのシステムを組み込むことによって非凡な性質へと変身した、稀代のボードゲームと言えるでしょう。
ルールの複雑さ: | (7.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (5.0 / 10) |
運の要素: | (7.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |