負けても補填がある独特な競り+エンジンビルドで産業革命!(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
エンジンビルドと競りのゲーム。
初回プレイで事前に知っておいた方がいいことを2つほど挙げてみます。
軽めのエンジンビルドとして優秀!競り部分は補填のおかげで、ワーカープレースメントとのハイブリッドみたいな感じ。
エンジン剥き出しの機関車かな。黙々と、目指す先に向かって列車を走らせていく感じ。どんどん自分のエンジンを作り上げていって、インフレの気持ち良さを感じよう。
ヒゲおすすめ度: | (6.0 / 10) |
NEZおすすめ度: | (7.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (7.0 / 10) |
Average: | (6.7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
制約付き競り+エンジンビルド。現代的な中量級の優等生な感じ。
競りゲームは現代(2021年現在)のトレンドではないということを散々書いてきておいて、それでも競りゲームの持つ『弱点』を克服するためのひねりを加えたゲームはたまに登場します。
記憶に新しいところで話題になったゲームでいうと『Q.E.』と今回のレビュー作の『ファーナス』あたりでしょうか。『ニダヴェリア』とかも近いプレイ感かもしれませんね。
競りゲームの弱点として、『入札するときの選択肢の幅が可変で難解』というのがあると思います。
例えば、手元に$100あり、競りの対象物に対していくらまで入札するか(あるいはそもそも入札しないか)を考える場合、選択肢は$0~100まであります。もちろん、ある程度の適正値は考えれば導けるのですが、選択肢が多い=ゲームが面白い、となるとは限りません。
そういう意味で、『ファーナス』の競りのシステム、制約付き競りはこの選択肢を狭めつつ、競り負けた側にもボーナスがあるという救済を設けることでこの競りでのわずらわしさをうまく取り除いたと言えます。現代的な中量級として優秀だと感じます。
初回プレイ時に知っておくといいこと
初回プレイ時の2ラウンド目くらいで気が付いたのですが、知っておくといいのは資源の得点効率と獲得しやすさの違いです。これはどのカードを取るかという見通しをよくする上で重要だと思うので、インスト時に言った方がいい気がします。(ここに気が付くのが楽しみの1つともいえるが…)
石炭(1個2Pt)<鉄(1個3Pt)<石油(1個4Pt)
カッコ内は、得点を変換するときのレートです。また右に行くほど入手難度が上がります。
初期から持っているカードにはこれよりも1Pt少ないレートで描かれています。
初回プレイの1ラウンド目は、毎ラウンド資源を変換していった方が強いかなと思ってプレイしていたのですが、2ラウンド目に得点辺関係のカードを見て「あ、そういうバランスか。失敗したな」と思いましたので、初回プレイからガッツリ考える上で重要な情報だと思います。どのカードが自分にとって都合がいいかを見極める上で、ある程度の指針になると思います。
最後に1つだけネガティブ要素を。プレイ人数が何人でも必ず4ラウンドとはいうのはバランスが悪いと思います。3人プレイだとスタートプレイヤーだけ2回初手が回ってくる。
4人だと1回ずつなので、できれば4人でプレイするといいと思います。
なんか最近こういうラウンド数の調整放棄してるゲーム多い気がする…?
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7.0 / 10) |
運の要素: | (5.0 / 10) |
おすすめ度: | (6.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (5.0 / 10) |
NEZのレビュー
ベーシックなエンジンビルドに、ワーカープレースメントとのハイブリッドのような独特な競りを組み合わせた軽量級の優等生。
ロシア産業革命をテーマにした競りとエンジンビルドのゲームです。全4ラウンドでお金を一番稼いだプレイヤーが勝利します。
各ラウンドは競りフェーズと生産フェーズに分かれており、競りでカードを競り落として、生産フェーズでカードの効果を順番に起動していきます。
このゲームの特徴は何と言っても競りの部分でしょう。競りにはお金などを使用するわけではなく、各プレイヤーに配布された強さの異なる4つのチップを使用し、これを順番に場札の上に置くことで入札となります。
通常、競りゲームでは他のプレイヤーの提示額よりも大きい提示額を示さなければ入札とはなりませんが、ファーナスでは問題ありません。
なぜなら、競りに負けたプレイヤーにはカードに示された資源を置いたチップの強さに応じた量、補填として貰うことができるからです(補填には資源変換もあります)。
これによって、「カードはいらないけど、補填は欲しい」ため、わざと負けるような入札をする事が発生します。チップの配置ルールとして、「同じカード上に同じ強さのチップは置けない」「同じカード上に同じプレイヤーのチップは1枚まで」があるため、何でもかんでも置けるわけではありません。これらの独特のルールによって、競りをやってる感覚はあまり強くなく、ワーカープレースメントを遊んでいるような感覚に近いものを感じます。
集めたカード効果を解決していく生産フェーズでは、資源の獲得と変換、カードを裏面にして効果を増やす改良が行えます。
この部分は非常にベーシックで、特にルール上難しいところはありません。ただ、カードが増えてくると、やはり時間はかかりますね。生産フェーズは同時進行が可能ですので、慣れてないプレイヤーがいる場合を除いて、なるべく同時進行した方が良いと思います。
総じて、1時間程度で納まる軽めのエンジンビルドとしてとても面白いゲームだと思います。これくらいなら、広く色んな方に楽しんでもらえるのではないでしょうか。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |
やすやすのレビュー
実業家って奴は、これでなかなか自分の仕事が忙しいんだよ。仲間とは年に1回、オークションで顔を合わすだけさ。
エンジンビルド+オークション、という触れ込みのゲームです。ロシアの産業革命をモチーフにしているそうで、箱絵もカードイラストも世界観を彩り美麗ですね。ファーナスと言うと、つい映画作品の方を思い出してしまいますが、同じように鉄鋼業がイメージとなっているようです。
さて、遊んでみると、オークション要素はほとんど感じませんでした。なぜなら、全プレーヤーはゲーム開始から終了に至るまで「1・2・3・4」という硬貨それぞれ1枚ずつしかもっておらず、(特殊能力以外では)資本に差がつかないためです。
システム上、(原則として)等価値の値付けはできないため、初めに「4」を使ったプレーヤーはそのカードの獲得が確定します。これだと競りというよりは、ワーカーに強弱のついたワカプレなのかな、という気がしました。
さらにこのゲームの特徴として、「落札できなかった場合でも、代わりとなる資源が得られる」があり、それを有効活用しつつゲームを進めていきます。この効果が発動すると、ますますワーカーを配置して資源を得ているような雰囲気が一層ありますね。一般的に悔しいことが多い競りタイプのゲームとしては少し嬉しい部分で、これは救済措置にもなっています。
エンジンビルド部分については、まさにその言葉通りですね。まずエンジンをビルドして、次にビルドしたエンジンをビルドし、その後ビルドしたエンジンビルドをビルドし、最後にエンジンをビルドします。エンジンビルドの、エンジンビルドによる、エンジンビルドのためのファーナスです。
そしてゲームが進行し、エンジンが成長にするにつれ生み出す資源が急増するため、それを得点へと変換することになります。いわゆるリソース管理のフェイズですね。この間は、他者に干渉されず自分の場札の中で完結するため、脳内でひたすら効率の良い変換フローを探す旅に出ることになるでしょう。
ちなみに各カードには、フレーバーとして美しいイラストがしっかりと添えられているのですが、ぼくにとってはそれを鑑賞するどころではなかったですね。脳がファーナス(溶鉱炉)によりドロドロに融解させらており、資源を生み出すアイコンにしか思えなくなっていました。そのため、せっかくフレーバーが訴えてくれている「産業を成長させる」感は、皆無でした。
本来なら、競り部分にインタラクションがあり、対戦相手が欲しそうなカードを横取りしたり邪魔したりするのでしょう。しかし中盤からはとてもじゃないですが、相手のエンジンの解読をすることはできませんでした。もともとリソース変換ゲームが苦手なこともあり、終始ソロゲームの感覚から逃れることはできなかったですね。ゲームシステムやリソースの種類、エンジンの種類や運用などに難しい点はないので、何度かプレイを繰り返すと、少し見えてくる世界があるのかな、とは思いました。
システムを正面からしっかり楽しませるノンテーマに近いゲームであり、リソース変換の巧みさだけが問われる感じがします。どちらも苦手なタイプのジャンルなので、ファーナス(溶鉱炉)なのに煮え切らないレビューとなってしまいました。しかし、一般的にはお手軽で初心者でも楽しめる良いゲームだと思います。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (5.0 / 10) |