カードでルートを構築していく古き良きネットワーク構築ゲーム。勝利点を目指して、郵便局を建てていこう!(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
アンドレアス・ザイファルトの名作ネットワーク構築。
この時代のユーロゲームがちょうどいいんすわ。
ザ・ネットワーク構築。カードを引いて出すだけなんだけど、プレイヤーの思惑が見える事で、駆け引きが生まれるね。ボードも雰囲気があって○。
シンプルで美しいルール。遊ぶ楽しさの原石のようなピュアユーロ。
ヒゲおすすめ度: | (7 / 10) |
NEZおすすめ度: | (7 / 10) |
あんおすすめ度: | (7 / 10) |
Average: | (7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
2000年代のユーロゲームの持つ“ちょうど良さ”。
2006年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作品。
デザイナーはアンドレアス・ザイファルト。
先に1つだけ好きじゃない点をいうと得点タイルが小さくてバラバラになりやすく、セットアップの時イラっとします。些細なことですが…
個人的にめちゃくちゃ好みのゲームです。
手番が来たらやることは①カードを引く、②ルールに従ってカードを出す、③(可能なら)郵便局を建てる。これをゲーム終了条件を満たすまで繰り返していくだけ。
得点タイルの早取りの要素はあるものの、他のプレイヤーとのインタラクションは薄目。
カードの巡り運が絡む部分も大きいが、基本的には相手の邪魔をするというよりは自分の最善手を打っていこうという気持ちのいいゲーム。(邪魔できなくもないけど、自分の手番を犠牲にしてまでやるほどではない)
なんでこのゲームがこんなに好きなのかは、実はうまく言語化できないんですが…
・運と戦略のバランスが(個人的には)ちょうどいい。
・複雑すぎないルール分量。
・各都市のカードは3枚ずつというカード構成の明瞭さ。
この辺りが好きな理由なんだと思います。なんというかちょうどいい。
1ゲーム目から戦略を考えて楽しく遊ぶ上での情報は全てきちんと提示されている感じです。
最近の流行りのゲームはカード効果とかが多くて、1プレイではゲームの全貌を把握できないまま終わってモヤっとしがちです。
複数回プレイが前提で作られているのでしょうが、私は初回からしっかり考えられるゲームが好きってことです。
さて、システム面については他のレビュアーに任せるいつもの他力本願スタイルで…
個人的にお勧めしたいのは、拡張セットです。(まぁ入手難なのですが…)
特に第1弾拡張セット「Thurn&Taxis:Power&Glory」。通称北部マップ拡張です。
これの拡張は郵便馬車の勝ち筋の幅を広げてくれたり、カードの巡りが悪くてどうしようもないという事態を起きにくくしてくれる拡張です。『郵便馬車』好きな方は、買えるチャンスがあれば買うことをお勧めします。それか、どこかのメーカーさん。郵便馬車ビッグボックスの日本語版を!
ルールの複雑さ: | (5 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (4 / 10) |
運の要素: | (6 / 10) |
おすすめ度: | (7 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8 / 10) |
NEZのレビュー
カードでルートを設計する事で、透けて見えるプレイヤーの思惑。ネットワーク構築の楽しさをダイレクトに味わう古典的なユーロゲーム。
ドイツの各都市に郵便局を建てる事で勝利点の獲得条件を達成していく事を目指すネットワーク構築ゲームです。
基本的には各都市名が書かれたカードを獲得し、その後手札からカードをプレイする事でルートを構築していきます。プレイされたカードはメインボード上で一筆書きになるように、手元に配置されていきます。カードのプレイは常にルートの最初または最後に追加する形になっており、間に入れ込む事はできません。このゲームのいやらしいところは、もし、手札からルートを伸ばすようにカードをプレイできないと、それまで手元に作り上げたルートを破棄しないといけないところです。
カードをプレイした後は、手元に並べられた都市に対して条件を満たすように郵便局を建てて、手元のカードを捨てる事が選択できます。この条件というのが、なかなか曲者です。
郵便局は勝利点を獲得するために必要不可欠なものなので早く建てたいのですが、場札や手札とにらめっこしながら、どういうルートが効率良く郵便局を建てる事ができるのかを考えていかないといけません。また、ルートは特定の長さを達成する事で1ランク上の馬車を使用する事が可能となり、ゲーム終了時にはこの馬車のランクによってボーナス勝利点が貰えるので、徐々に構築するルートを長くしていく必要があります。こう言った事を考慮しながら、「今回はどういうルートにしていこうか?」と考えていくところが、ネットワーク構築の面白さをダイレクトに感じる事ができます。
よくネットワーク構築を採用したゲームとなると、相手のネットワークの分断するなどの比較的攻撃的な要素を含んでいますが、このゲームはそういった事はなく、他のプレイヤーが郵便局を建てた場所に遠慮なく自分の郵便局を建てる事ができます。しかしながら、相手のルートは見えているので、欲しがりそうなカードはカットする事は可能です。さらには、条件を満たしたプレイヤーから高い勝利点チップを獲得できるため、相手との競争意識が生まれます。
さらにこのゲームを面白くしているのが手番に1回選んで使える特殊能力です。「カードを追加で1枚引ける」「カードを追加で1枚プレイできる」「場札を全て捨てて、新しいカードを補充」などの特殊能力があり、これを上手く利用する事で、さらに効率良くルートを構築できるようになります。そして、この特殊能力は時に「この手番はカードを2枚プレイしたいけど、場札に2枚欲しいカードがある・・・」と言ったジレンマを生み出します。
非常にシンプルなゲームなのですが、勝利点の早取りやカードを獲得したりリフレッシュする事によるキツすぎない他者への妨害など、ネットワーク構築の楽しさをダイレクトに感じる事ができる良作だと思います。ただ、古いゲームなのでなかなかプレイする機会自体あまりないのが残念なところです。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (5.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |
あんのレビュー
2000年代らしいユーロゲームを楽しみたいのなら…
2006年SDJ大賞作でありながら、発表当時はソロプレイ感が強いというレビューが散見され、随分評価を下げられたゲームという印象です。
2000年代のSDJ大賞作を見ると現在でも定番を張っているゲームがずらりと並びます。カルカソンヌ、チケットトゥライド、アルハンブラ、ドミニオン…。キラ星のようなゲーム群に埋もれる郵便馬車、ある意味不幸なタイミングで産み落とされたゲームといえるかもしれません。
しかし、ソロプレイ感と酷評されたインタラクションの薄さも、発表から15年ほど経過した現在にプレイすると程よく感じられます。
年々、強インタラクションや他プレイヤーへの攻撃性のあるゲームは嫌われる傾向にあり、そのような現在の視点で見ると十分に受け入れられる素地があるとともに、作者であるザイファルトに先見の明があったとしか思えません。(当然、このゲームに赤ポーンを与えた審査員にも!)
他人と同じ目的を持ちながらボード上で抜きつ抜かれつをするレースゲーム。最初に遊んだ時、そのプレイ感に「軽やかさ」や「疾走感」を感じました。
手札ゼロで始まるのも潔い。ゼロから集めたカードでネットワークの計画を組み立て実践していきます。カードのめくり運と他プレイヤーのアクションがランダマイザーとなり、一人で走っていると思ったら、ふと他プレイヤーの息遣いが感じられます。正に盤上での会話です。
難点を挙げると、ドイツの地名でプレイアビリティを若干下げているのがもったいないです。ただ、ボードのアートワークは雰囲気満点で最高。まさにゲーマー向けの渋いゲームですね。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (5.0 / 10) |
運の要素: | (5.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |