TCGをボドゲでやる!?1時間の中に、デッキ構築から大会までを凝縮した快作。(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
デッキ構築ゲームの新たなステージ。
デッキ構築から”プレイング”を引いたら面白くなったという不思議。
TCGのパック剥ぎ、デッキ構築、そして総当たりの大会をたった1時間にまとめ上げたゲーム。全てがスピーディーなのにしっかりTCGを遊んだ感がある!
ヒゲおすすめ度: | (7.0 / 10) |
NEZおすすめ度: | (8.0 / 10) |
Average: | (7.5 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
デッキ構築というシステムの進化形の1つ。
先に基本情報を。
ベスト人数は最大人数の8人。次点で4人かな。 奇数人数ではやらない方がいい。
プレイ時間は概ね45~60分ほどの中量級の部類だけど、ルールはかなり軽い。
プレイ人数が増えてもここはあまり変わらない。
ちょっとだけデッキ構築の歴史のお話を…
デッキ構築ゲームは『ドミニオン』(2008) で1つのジャンルとして確立され、『クランク!』(2016)『エルドラドを探して』(2017)などでマップの要素を加えてインタラクションを生み、『アルナックの失われし遺跡』(2020)『デューン:インペリウム』(2020)などでワーカープレイスメントとの融合を遂げて複雑化していった流れだと感じています。過去記事で少し触れているのでご参考に↓。
ここからデッキ構築って複雑化…というか他のシステムとの融合という道を辿っていくのかなと思っていました。
そこで出てきたのが、『リヴィングフォレスト』(2021)でした。ここがデッキ構築の進化の分岐の1つになるんじゃないかなと感じます。
『リヴィングフォレスト』が画期的だった点としては、デッキを構築する部分は場札ドラフトで戦略性を残しつつ、プレイに関しては坊主めくりにして「考えてカードを出す」という部分をごっそり削って軽量化したことにあると思います。
とはいえ、「どこでめくるのをやめるか」という部分がまだ残っていました。
これが更に進化すると本レビューの『チャレンジャーズ』(2022)になります。
もうプレイする部分はほぼほぼ自動処理。(一部テーマで山札コントロール系の能力はある)
正直にいえばルールを初めて読んだ時、「これホントに面白いんか?」とめちゃくちゃ不安になりました。デッキ構築の運要素×プレイ部分の運要素であまりにも運ゲーすぎると感じたからです。
私のようなシステムギークからすると、実際にやってみないと面白さが分からないゲームだなと感じました。
このゲームの面白さの本質は「隣の卓から聞こえてくる強カードの情報」に一喜一憂することだと思います。この点において、BGAでプレイしてもこのゲームの真価は発揮されないと思います。
ボードゲームのシステムとしてのデッキ構築がTCGのデッキ構築部分をゲームに組み込むことで面白さを提示したのに対して、2022年(日本語版は2023年)では、「あのカードが強い」「あいつのデッキがやばい」という”コミュニケーション”が面白く、それをシステムに落とし込む上でプレイングの複雑さをそぎ落とすという道を辿ったというのはとても興味深いと思いました。
カードのパワーバランスが調整されているか、狙ったデッキが作れるかはかなり運に左右されるので戦略性があるか、よくできたゲームを求めるとこのゲームは合わないかもしれません。
そんなことよりも、ゲームがもたらしてくれる楽しい空間とコミュニケーションの方が価値があるのかもしれませんね。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (3.0 / 10) |
運の要素: | (8.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |
NEZのレビュー
TCGから要素をギリギリまで削って、1時間に全てを詰め込んだ『体験』型ボードゲーム。
デッキ構築をして、他のプレイヤーとデュエルしていくゲームです。簡単に言ってしまうとTCGのデッキを作って大会に出るのを1時間でやるみたいな事です。しかも、デュエルは最大で8試合もする。
ゲームの流れはデッキの強化をまず行って、その後で他のプレイヤーとデュエル、それを繰り返していきます。最大の8人で遊んでいる場合は総当たり戦になります。
デッキの強化は毎ラウンド、カードを5枚受け取り、その中から自分のデッキに入れたいカードを決められた枚数選びます。気に入らなければ、毎ラウンド1回だけ引き直しもできます。
その後、いらなくなったカードをデッキから好きな枚数カードを除外してデッキ構築は完了です。毎ラウンド、5枚の中から1枚か2枚カードを選ぶだけなので、思ったほど長考が発生したりはしませんでした。しかし、デッキをどのような方向性にしていくのか考えるのは、ちゃんとデッキ構築している感があります。
その後は手元のカードに示されたデュエル会場に移ります。席に着いたら「対戦よろしくお願いします!」でいざ勝負!!
デュエルもシンプルな作りになっていて、手札はなくデッキのトップを公開していくだけです。
デュエルはフラッグと呼ばれるコマを最後に保持しているプレイヤーが勝利します。もしくはデュエルスペースの横にあるベンチと呼ばれる領域にカードが置けなくなったら敗北です。
デュエルが始まると、それまでの勝ち数の多いプレイヤーがデッキトップのカードをプレイします。そして、その上にフラッグを乗せます。次に対戦相手がデッキトップを公開します。特殊能力があれば、それを解決し、フラッグの乗ったカードの数値以上かどうかをチェックします。チェックの結果、下回っていれば、さらにデッキトップのカードをプレイして合計値を計算し、同様にフラッグの乗ったカードの数値とチェックします。これを繰り返して相手のカードの数値以上になったら、プレイされたカードをまとめて、その上にフラッグを乗せて攻守交代します。
ここで、攻撃時はプレイしたカードの合計値を使うのですが、フラッグが乗って守備に回ると最後にプレイされたカードの数値のみを参照する事に注意です!
守備側は負けるとそれまでフラッグが乗っていたカードの山が全てベンチに送られます。ベンチはスロットが6つあり、6種類まで送り込む(同じ名前のカードは同じスロット上で重ねられます)事が可能です。ベンチは置けなくなったら敗北になってしまうので、デッキ中のカードを上手く除外してベンチが埋まらないようにしないといけません。意外とベンチが埋まって負けることがあるので、ここの調整はデッキ構築する時のポイントの1つになりますね。
また、カードによってはベンチにいる時に、他のカードを強化したり、ベンチにいるカードを参照して自分自身を強化するかーどもあるため、ベンチを上手く利用していく必要があります。
デュエルは結局坊主めくりなので、ほぼ、山札をセットした時には勝敗が決まっているわけなんですが、フラッグが行ったり来たりを繰り返して攻守がビジュアル的に分かりやすくなっているので白熱します。「あのカードがここでめくれれば…!!」とかドローに全てを賭けるのもTCGっぽいですよね。さらには、横並びでデュエルをしているので、お隣で「うわ!それ、強くない!?」とか言われるとチラチラ気になっちゃったりします。
最後に上位2人による決勝戦が行われるのも、良い演出だと思います。周りでプレイヤー達に見守られながらの決勝戦!いやがうえにも盛り上がります。全てがスピーディーに進むため、総当たり戦でも全くダレませんし、坊主めくりなのにTCGのデュエル感は不思議としっかり残っています。
ボードゲームでありながらプレイヤーにTCGと言う『体験』を提供してくれるチャレンジャーズ!。是非、8人集めて遊んでみてください!
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (4.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (9.0 / 10) |