Krammer&Stöhrの初タッグ作品。2022年エッセン小箱新作での注目作!(ヒゲ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
2022年エッセン新作もこれで締めかな?
最近のカードゲームの中ではかなりいいと思う!
からそうで辛くない少し辛い…いや、辛いわ!
手札の改善に専念する前半戦と勝利点を争う後半戦の二部構成。遊んだ後で、ジワジワ面白さがやってくる。
ゲームタイトルどおり辛いゲーム。手札でのプレイヤー同士の絞りあいが痺れる!
ヒゲおすすめ度: | (6 / 10) |
NEZおすすめ度: | (6 / 10) |
あんおすすめ度: | (6 / 10) |
Average: | (6 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
ハンドマネジメントと手番の取り合い。アブルクセンっぽさはそれほどない。
2022年エッセン新作のリスト作成時に中量級ゲームがいい感じだけど、軽いゲームは少ないかな…と思っていたら出てきたゲーム。
デザイナーはみんな大好きWolfgang KrammerとChristian Stöhr。
Stöhr氏はピンとこない方もいらっしゃると思いますが、ピクチャーズの作者さんです。
ピクチャーズの作者はご夫婦で旦那さんの方。
ベスト人数は…辛さレベル次第な印象。
4人なら真ん中のレベル辛口(Hot)。
3人なら一番難しいレベル激辛(Scorching)。
どのレベルでもおおよそ30分ほどで終わります。(カードのめくり次第なところもあるけど)
一番簡単な甘口(Mild)は飛ばしてもOK。すぐ終わってしまってこのゲームの真価を体感する前に終わっちゃうかも。ぜひHotから挑戦してみてね。
このデザイナーの組み合わせを見た時にはピクチャーズのイメージが強かったので、
「たぶんパーティーゲーム的なワイワイ遊ぶ感じで、トウガラシのテーマだからピリっとしたアイデアでも入ってるんだろう」くらいの認識でした。実際、そういう風にも楽しめます。
ですが、このゲームの真価はゲーマー同士での手番順の取り合いと手札管理がアツい…いや、辛いゲームです!いつも通り、ルール部分の説明は他のレビュアーに丸投げ。
ルールを読んだ時にクラマー&キースリングの『アブルクセン』っぽい感じの動きだなと感じ、実際手札の出し方のシステムは流用されています。しかし、その後のアクションが全く違い本質はそこにあるので完全な別ゲームと言っていいでしょう。
まぁプレイ感の渋さは『アブルクセン』に似てはいます。
プレイ人数のところでも書きましたが、辛口(Hot)からで大丈夫です!
なんならいきなり激辛(Scorching)に挑戦してもいいでしょう。
ルール理解した上で、激辛のタイル(8枚セットや9枚セット)本当に取れるの!?…と思うでしょうが、なんとかなるんです。
そういう意味でよくできていると思うのと、「ゲーマー諸君ならこのくらいでの大丈夫でしょ?」とデザイナーが言ってくれているみたいな信頼さえ感じました。
全部説明すると楽しみを奪ってしまうと思うので一言だけ、激辛では「捨て札」のこともよーく考えてくださいね。(個人の材料デッキじゃないよ)
ルール読む前の印象は桃屋の食べるラー油くらいの辛さを想定して…
ルール読んだ後は「これはデスソースみたいなヤバいやつでは…」と戦々恐々として…
プレイしてみたら「確かに辛いが、流行りのスリラチャソースみたいなちょうどよさ」を感じました。…相変わらず、伝わらない例え話。
カードゲームにしては箱が大きいという些細な欠点はあるものの、とてもいいゲームだと思いました。
2023年2月現在日本流通はありませんが、この出来栄えならそのうちどこかが取り扱ってくれるでしょう。→更新:メビウスゲームから日本語訳付きが流通するようです!
ルールの複雑さ: | (5 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7 / 10) |
運の要素: | (5 / 10) |
おすすめ度: | (6 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7 / 10) |
NEZのレビュー
なんか後からジワジワ面白さが込み上げてくる手札改善系ゲーム。
唐辛子を調合してホットソースを作るテーマの手札改善系のゴーアウトです。
通常のゴーアウトは早く手札を出しきる事を目指す事が多いわけですが、このゲームではそれが目標ではありません。と言うのも、勝利点タイルが存在しており、手札を改善しながら、これらのタイルを獲得していく必要があるのです。あくまでもゴーアウトは終了フラグです。
基本的な流れは順番に各プレイヤーがカードをプレイして手番順の競りを行い、強い役をプレイしたプレイヤーから場札のスロットから1つ選んでカードを個人の材料の山に加えるかプレイした役に応じて得点タイルを獲得するかを選びます。もしくは、もう1つの選択肢として、パスして材料の山を手札に回収があります。
『役』と言うと、取っ付きづらく思われるかもしれませんが、要は同じ数字を複数枚プレイすると言うことです。カードの強さについては、『枚数が多い方が強く、同じ枚数なら数字の大きい方が強い』と言うオーソドックスなもので、ここでプレイした枚数によって獲得できる得点タイルが変わります。つまりは後半になると、手番順競りをしながら得点タイルの獲得を行う事になります。
これを繰り返し、得点タイルを5枚集めた上で手札と材料の山を全て出しきるとゲーム終了。得点タイルの合計から手元のカード枚数をマイナスして、得点を競います。ちなみに使った手札は材料の山に加えてもいいし、捨てても構いません。
では、ゲーム開始時からこの手順を行うのかと言うとそうではありません。まずは準備フェーズがあります。
ゲーム開始時にプレイヤーには何枚か手札が配られいて、それを使いきるまでは手番順競りの結果に従って、スロットからのカードの獲得を行います。複数枚カードをプレイして、先に手札が無くなると全プレイヤーが手札を使いきるまで待ちになります。準備フェーズで材料を集めつつ、誰が何を持ってったのか探っていく感じですね。
手元を改善していくゲームですが、あまり制限がなく獲得でくるカードの幅も広いため、シンプルに手番順でどうにかするところに駆け引きがあるように思えます。得点タイルの構成によって難易度が変わるため、プレイ人数によって、ゲームが簡単になってしまう事は少ないように感じますね。終わってしばらくしてから、ふと「あ、なんかアレ面白かったな。」と振り返ってしまうゲームです。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (5.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (6.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |
あんのレビュー
新旧デザイナーの共作により古く新しいプレイ感が味わえる快作
ゲームは前半と後半に分かれています。前半では、手札による一巡競りで手番順を決めて、並べられたカードグループを獲得して後半用のデッキをつくっていきます。プレイしたカードの強さはカード枚数の多さ、もしカード数が同じなら数値の大きさとなります。一度にカードを使いすぎると獲得する回数が減ってしまうため、いかに少ないカード枚数で良いカード群を手に入れるかが重要です。後半では、前半で作ったデッキを手札として、得点タイルを獲得していきます。残った手札はマイナス点となるため、上手く手札を使い切ることも大切です。
手札のコントロール感が秀逸。どの手番順でどのカードを入手するか、どのタイミングで得点タイルを獲得し手札を無くしていくのか。計画性をもちつつ他プレイヤーの動きを踏まえて対応を変えていかねればなりません。
強インタラクションかつ相手の思惑の探り合いのゲーム。モダンではないちょっとオールドなユーロ。今時ではないちょっと古いプレイ感のゲームなので人を選ぶかもしれません。
しかし、これが数字とワイルドカードのみで行われていることに一種の感動を覚えます。当然、特殊効果は皆無。どのカードやタイルが出てくるかは運ですが、それも手札のマネジメントで一定量コントロールできるところが、素晴らしいところです。
競りとデッキビルドといった新旧のシステムの混ざり具合がこのゲームの魅力です。それはクラマーとストアという新旧のデザイナーの共作の賜物でしょう。
カード構成はトランプ2デッキとほぼ同じ。クラマーの作品では同じようなカード構成で異なるシステムのカードゲームがいくつか存在します。バンパイアクイーン(ウシとロバ)ではクライミングゲーム(大富豪)が、アブルクセンではメルドで自分の得点カードを守るというシステムが採用されています。そして本作ではデッキビルド。
トランプゲームの新作が生まれ続けるように、このデッキでまた新しいゲームが生まれるかもしれないと思うとわくわくします。
ルールの複雑さ: | (5 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7 / 10) |
運の要素: | (5 / 10) |
おすすめ度: | (6 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7 / 10) |