クローズドなドラフトからオープンなドラフトへ。2人用にアレンジされた名作ドラフト&拡大再生産。(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
あらゆるゲームの2人用アレンジはもうカタラに任せておけばいいのでは?
そう思わせてくれる素晴らしい2人専用・世界の七不思議!
クローズドなドラフトからお互いが交互にカードを取り合うオープンなドラフトに衣替えをしたセブンワンダー。複数の勝利条件を互いに睨み合う、見事なアレンジメント。
刺しゲーの金字塔。二人で遊ぶ機会の多い人はぜひ遊んでいただきたい。
ヒゲおすすめ度: | (7 / 10) |
NEZおすすめ度: | (7 / 10) |
開拓者おすすめ度: | (7 / 10) |
Average: | (7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
2011年KDJ受賞作品『世界の七不思議』をブルーノ・カタラが2人アレンジ。
プレイ人数は当然2人。2人専用だからね。
プレイ時間は30分くらいの印象。
アブストラクトを除いて、2人用ゲームでトップ3を選べと言われれば『世界の七不思議:デュエル』は入ってきます。つまり、このゲーム大好きです。
2011年KDJ(ドイツ年間ゲーム大賞エキスパート部門)受賞作品の『世界の七不思議』を2人用にアレンジしてあります。
多人数プレイが適しているドラフトゲームをどうやって2人用に落とし込むのかというのが大きな疑問としてあるのですが、ドラフトの種類を変えたということになります。
元ゲームのメインメカニクスはピックアンドパスドラフト(平行ドラフト)から本作『世界の七不思議:デュエル』は変則ロチェスタードラフトになりました。
(用語はゲームメカニクス大全を参照しました。ドラフトの名称は色々ありますよね。)
個人的にはピックアンドパスドラフトはあまり好きではないので、好みの方に変わったという感じですね。
2人用アレンジをしたのはブルーノ・カタラ氏。代表作は『キングドミノ』など。
ドラフト以外の変更点は特殊勝利条件を付けたこともあります。軍事勝利と科学勝利です。
どちらの特殊勝利も達成は非常に難しいですが、この導入によりケアすることが増えて、純粋に得点を伸ばすだけではいけないという適度な緊張感が生まれました。
いや~、このアレンジには脱帽ですね。2人用アレンジやらせたら世界一なんじゃないかな?
私の場合、ボードゲームを遊び始めて1年くらいの時に買ったので、自分のボードゲーム歴の中でも付き合いの長いゲームになるのですが、これはとてもいい2人用ゲームだと今でも感じます。
慣れたプレイヤー同士でやると、盤面で会話している感覚になれるのが好きなポイントです。
「この資源カードを取ると資源では優位になるが、見えている戦闘カードを取られてしまう…」
「黄色のカードを連続でとる金戦略プレイ!? じゃあ、茶色と灰色の資源を伸ばすか…」
「最初の七不思議カード、あれを取ったってことは科学勝利警戒だな…」
などなど、つい三点リーダーがついてしまう感じのやり取りができます。
またこのゲームのいいところは「適度な不確定要素がある」ということです。
変則ロチェスタードラフトと書いた通り、盤面上では裏向きになったカードがあります。
このカードが表になることによって大きく盤面が動くときがあります。
もしかするとここが苦手な人もいるかもしれないですね。
個人的には、この不確定要素があることで完全なアブストラクトではなくなっている気楽さが心地よいです。なんというかちょうどいいんですよね。
拡張についてですが、カードを表にすることに意味を持たせた『パンテオン』と特殊勝利が1つ増える『アゴラ』があります。どちらの拡張も持っておいて損はないでしょう。
特に『パンテオン』入りはかなりの回数遊びましたが、結論としては「慣れた者同士ならむしろ基本でこってり読み合ってやる」が一番面白いです。
書いてて気が付いたけど、拡張全盛りはやってないから今度やってみよ~。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
NEZのレビュー
対岸の火事では済まされないセブンワンダー。制限付きオープンドラフトでのカードの取り合いが絶妙に悩ましい!
アントワーヌ・ボウザ氏の名作ドラフトゲーム『世界の七不思議』を2人用にアレンジした作品です。デザイナーには、オリジナルのボウザに加えてブルーノ・カタラが加わっています。
ゲームとしては、オリジナル同様、ドラフトをメインシステムにした拡大再生産のゲームになっていますが、大きく変更されたのはドラフトのやり方です。オリジナルは各プレイヤーが手札から1枚カードを選択し、全員終わったら隣のプレイヤーにカードを渡すクローズドなドラフトが採用されていましたが、デュエルでは事前に場に並べられたカードの中から交互にカードを獲得していくオープンなドラフトに変更されました。
で、オープンなドラフトになったのは良いのですが、何でもカードを選び放題かと言うとそうではなく、ピラミッド型などのラウンド毎に決まった形にカードが並べられ、かつ、Aを取らないとBが取れないみたいな制限が設けられます。
つまりは「あの下に隠れてるカード欲しいけど、そのためには相手にこのカードを取らせて…」みたいに詰めて考えるゲーム展開になるわけです。お互いににらみ合い、相手の欲しそうなカードをカットしつつ、自分の欲しいカードを手に入れようと画策する。そんな感じにバチバチのインタラクションがあるゲームです。
また、勝利条件が複数あるのもポイントで、ゲーム終了時に得点が高い方が勝ちなのですが、それ以外に「戦力ポイントの綱引きで最後まで引ききる」や「文明を6種類集める」事で即座に勝利が決まります。
この即座に勝利が決まると言う点が非常に面白く、カードの選択に深みを持たせているように感じます。
オリジナルを遊んだ方であれば、すんなりと遊べるのではないかと思いますが、カードの選択に対する重さはこちらの方が大きいと思います。また、オリジナルを多人数で遊んだ時に、戦力が隣接プレイヤーにしか影響がなく、遠くで起こっている事は対岸の火事みたいに傍観するだけと言う事象がないので、常に緊張感があるように感じます。
個人的には緩くドラフトを楽しむオリジナル、バチバチに殴り合うデュエルと言った感じです。
ちなみに、拡張のパンテオンが入るとカード獲得以外の選択肢が増えるので、個人的にオススメですし、第2拡張のアゴラが入ることで勝利条件が増えたり、事前に準備することで後の手番の開始時に特殊アクションが打てるようになるので、慣れてきたら全部盛りでやっても面白いです。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (8.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |
開拓者のレビュー
二人でぐぬぬってなる七不思議
世界の七不思議の二人専用ゲームです。ヒゲさん同様私もこのゲームはボードゲームを始めて割と初期に遊んだゲームになります。なんなら本家の世界の七不思議よりかなり前に遊んでるので、個人的には本家よりもこちらの方が親しみがあります。
このゲームはすごくいい。とてもいい。何がいいって、二人で遊ぶのにこんなにちょうどよく面白いってのがほんとにいい。
2人用ゲームはどうしてもアブストラクト寄りになりがちなんですが、このゲームは見えていないカードが存在することでガッチガチ感を減らしてくれるので、程よいゆるさがあるのです。かと言って考えどころがないわけではなくむしろ複数の勝利条件があることによって悩ましくも面白いゲームに仕上がってます。
ゲームはⅠ〜Ⅲ世代にわかれていて、いづれかの世代で勝利条件を満たしたプレイヤーが勝利します。勝利条件は①武力で勝つ②科学で勝つ③得点で勝つのどれかです。
ゲーム開始時に並べられたカードを交互に取っていくことでゲームが進むわけですが、上記の3パターンのどの勝利条件を狙うかによって欲しいカードが変わってきます。自分は要らないけど相手に取らせるとやばい…このカード欲しいけどこれ取っちゃうと次のあのカードが相手に取られちゃう…といったジレンマが発生して、カードをめぐる駆け引きが楽しめます。また、最初にドラフトする七不思議のカード効果もいい味出してます。特にダブルアクションをどこで使うかはこのゲームのキモと言えるでしょう。
あとね、ほんとどーでもいい話なんですけどね、私がこのゲームの好きなところは「最初の所持金は7金」っていうところです。だって、七不思議だからね!!最初の所持金っていくらだったか忘れがちだけど、このゲームだけは忘れない自信がある。
ルールの複雑さ: | (6.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |