ドラフト&ケーキの切り分けで富を分配。プレイヤー間の思惑が交差する中量級ゲーム。(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
ケーキの切り分け問題にドラフト要素を絡めたパラメータ上げのゲーム。プレイヤーの思惑がぶつかり合う中量級。
シンプルなやり取りだけど、お手軽に悩ましい気持ちになれます。
隣プレーヤーとドラフトを繰り返し、両者ともが上手く得点効率を上げられるように画策するゲームです。感覚は両隣との協力ゲームに近く、そのため自分たちと異なる陣営が出現する5人以上プレイを、個人的には推奨しますよ~。
NEZおすすめ度: | (7 / 10) |
かやおすすめ度: | (7 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (7 / 10) |
Average: | (7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
NEZのレビュー
ずっと、Fact or Fictionしてるゲーム。
皆さんはマジック・ザ・ギャザリングと言うTCGをご存じでしょうか?僕は学生の頃にやっていたのですが、当時よく『Fact or Fiction』と言うカードを対戦相手に使われて、悩ましく思ったものです。
さて、なんでこんな話からスタートしたのかと言うと、このゲームを初めてプレイした時の感想が「これ、Fact or Fictionじゃん!」だったからです。ちなみにカードの効果は次の通り。
嘘か真か / Fact or Fiction (青)(3)
あなたのライブラリーの一番上からカードを5枚公開する。対戦相手1人はそれらのカードを2つの束に分ける。あなたは一方の束をあなたの手札に加え、もう一方をあなたの墓地に置く。
前置きが長くなりましたが、そんなケーキの切り分けをするのが、グレートスプリットです。
このゲームでは、規定のラウンドを行い、勝利点を競います。各ラウンドでは、手札を2つに分割して下家に渡します。下家は内容を確認後、どちらかの束を手元に残して選ばなかった束を上家に返します。下家にカードを渡すのと同時に上家からカードの束を渡されるので、同じように手元に残す束を選んで残りを返します。結果として、下家が選ばなかったカードの束と上家から回ってきた中で自分が選んだカードの束が自分の獲得したカードになります。
獲得したカードはどうなるのかと言うと、カードに書かれたアイコンの数だけ対応するパラメータを上げていきます。パラメータは大きく分けて2種類あり、上半分がパラメータの種類(本、宝石、彫像など)で、下半分のパラメータが各種類のゲーム終了時の素点となります。つまり、上×下で各種類の勝利点が決まるわけです。本や彫像は倍率も高めに設定されているので、ガンガン進めたいですね。
決算のタイミングは複数回存在しており、最終決算以外はどの要素で決算が起こるかはランダムです。さらに、ゲーム終了時とは少し異なる決算方法となります。例えば本は指定された場所の得点。2種類の宝石は、より進んでいない方の宝石の位置の2倍みたいな感じです。
さて、ラウンド毎の手札なんですが、前のラウンドで自分が獲得したカードと、山札から1枚追加が貰えます。山札のカードは初期札よりも強いカードになっていて、ラウンドが進むとさらに強いカードになっていきます。
カード分ける→戻ってくるを繰り返すため、比較的プレイヤー毎に集めるカードが固定化されてくるような印象で、それを見越して相手に取って欲しい分け方をしたりと、プレイヤー同士の思惑が交錯するゲームです。「このカード欲しいでしょお?じゃあ、少しばかりこっちにお得な感じでもよくないっすかー?」としてみたり、価値を限りなく同じようにして、相手を迷わせたりが面白いゲームです。得点要素をシンプルなパラメータ上げにしたことで、切り分けの部分に集中できるようなデザインも引き算の美学を感じます。しかしながら、勝利点その物もカードに描かれている事もあって、1枚が何点くらいの価値があるのかを考えないと、なかなか均等に分割するのは難しいのではないかと思います。
あと、一応富豪が様々な富を収集するようなテーマはありますが、あまりゲームには影響しないので、いっそのことテーマが無くてもいいんじゃないかと思いました。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (8.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |
かやのレビュー
WIN-WINの形をずっと探すゲーム
グレートスプリットは、手札を2つに分けて左隣に渡し、2分割したうちのどちらかを左隣の相手が選び残った方を自分が取る。右隣からは2つに分けられた手札がくるのでどちらかを選択して残りを相手に戻す。すると手札は右から選んだ半分と左から残された半分が手元に来るので自分のカウンターボードをすすめていく、これを繰り返すゲームです。
途中で得点の中間精算もあるのでこまめに点を稼ぎたい、けど欲張ると欲しい手札は相手に取られてしまうというジレンマを楽しんだり、そもそも欲しいものが回ってこない、というヒリヒリ感を味わえます。点数計算がちょっとだけ難しいのと、キャラクターの能力でラストの計算が変わるのがわかりにくいかもしれません。
コンポーネントもカウンターがしっかりしていて、ボードの上のコマを動かしていくのが楽しいです。
デザインもおしゃれで、箱の見た目とは裏腹にサクッと遊べました。最大7人まで遊べるので大人数で遊ぶと楽しそうですね。ラスト5点のカードを引いてしまった時は、「ああ〜!どっちも欲しい〜〜!」と声を出してしまいました。
私的には左右の人との駆け引きだけでなく全体でカードがドラフトできるのが好きだけどサクッと終わるので席替えして何回か遊んでも面白いかなと!
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |
やすやすのレビュー
ドラフトからのドラフトからのドラフトからのドラフト
いわゆるドラフトをメインに据えたゲームでは、「いかに自分は得をしつつ下家を縛るか」というところに主眼が置かれることが多いと思います。しかしこのグレートスプリットでは、下家を苦しめるための「お仕事」はあまり上手く機能しません。下手を打つと、それがそのまま自分に跳ね返ってくるからです。この感覚はまるで協力ゲーム、即座にぼくの大好きな「ふたつの街の物語(Between two cities)」を思い出しました。
自分の盤面(パラメーター)はもちろん、両隣の様子をうかがいながら、お互いが得となるようなドラフトを行うところはまさにそのもの。ゲームの性質上、自分の下家だけがゲーム内で唯一インタクションを持てる明確な敵でありながら、そこへの敵対行動をとると全体の中では自分が不利になっていくという、なんとも言えないジレンマがこのゲームの特徴です。
良くも悪くも終始両隣のプレーヤーとしか接点がなく、全体のインタラクションは低いと言わざるを得ません。そのためカードの引き運や両隣プレーヤーの判断力などで、雑な展開になる可能性は多分にあります。緻密なパラメーター上げを好む方には、ものすごい勢いで向かない可能性があるのでご注意ください。
自分とは関わりのない対岸のプレーヤーたちが騒ぐ様子が見れるのも、他にはないこのゲームならではの楽しさかなと思います。
展開に多様性はあまりないゲームですが、そのぶん皆でわいわい楽しめるパーティーゲームとしては非常に出来が良いと思います。ゲームは同時進行同時解決で、ダウンタイムが少ないことも個人的には特にポイントが高いです。冒頭にも書きましたが、5人以上がオススメかなと思います。ゲーム終了後に、みんなの「本当はこうしたかったのに話」に花を咲かせましょう~。
ルールの複雑さ: | (6.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7.0 / 10) |
運の要素: | (7.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |