建物を建てて頂上を目指すアブストラクトゲーム。カードを使う事でゆるく遊ぶ事もできる優等生。(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
アメリカAmazonから輸入するゲームといえば、これだったよな!
素晴らしきアブストラクト。
立体コンポーネントが映える2人用。バチバチのアブストラクトにもなるし、カードを使えばワチャワチャにもなる間口の広さ。
2人用アブストラクトの雄だと思っています。誰でも臆せず気軽に遊べる作品かなと感じますね。
ヒゲおすすめ度: | (6.0 / 10) |
NEZおすすめ度: | (6.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (7.0 / 10) |
Average: | (6.3 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
kickstarterで新たなPatheon版のプロジェクトが上がってた『Santorini』の比較。
5,6年前にアメリカAmazonを使って個人輸入をし始めた頃に買ったのが『Santorini』でした。
ベスト人数は2人。
プレイ時間は30分くらいかな?まぁどれくらい悩むかによる。
神カードはない方が好みです。
当時は\2,000くらいで買えたような記憶があります。(送料除く)
これより前に木ゴマのバージョンもあるそうですが、こちらは見たことがありません。
ついでに『Santorini New York』(2020)ってのもありましたね。
こちらは一部システムをサントリーニから流用したゲーム。
かなり別のゲームと思ってもらっていいでしょう。コマの造形がかなりいい。
そんな『Santorini』が2023年にkickstarterで「Pantheon Edition」として出資を募っていました。(執筆時には終了。)
細かい変更がかかっているみたいなので、そこの比較でもしてみようかなと思います。
まずは箱絵ですね。
以下の点が主な変更点です。(kickstarterページより引用)
主な変更点は…
・島のマスにフレームがつく
・建物と労働者コマの造形がよくなる
・神カードの追加
・コンポーネントを整理できる内箱
・ボードがついた(旧版の拡張で似たものはあった)
この中で特にいいのが、内箱の導入ですね!
旧版にはこのような内箱はなく、ジップ袋に入れて保存していました。
この内箱なら、プレイ中にも役立ちそうですね。
実際に旧版をやったことがある方なら分かると思うのですが、2階のコマかと思ったら1階のコマだった経験ありませんか? これが仕分けされているだけでだいぶ遊びやすくなると思います。
他にもコマの造形がよくなっている点も個人的にはうれしいです。
労働者コマの造形がそれぞれ固有のものになったのと、建物コマのディテールが増えたのがいいですね。
これはおそらく3Dプリンターやフィギュア造形の技術が上がったからできるようになったのが大きいかな。
ゲームとしては神カードなしでプレイするとガチなアブストラクト。
ゲームの収束性も高いので、割とサクッと遊べます。
神カードを入れてやると勝利条件が増えて勝ち筋が増える一方で、考えることが増えるので大変かな。個人的には2人用アブストラクトのゲームとして捉えているので、神カードなしが好みですね。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (9.0 / 10) |
運の要素: | (2.0 / 10) |
おすすめ度: | (6.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |
NEZのレビュー
ガチガチのアブストラクトと、特殊能力でドーン!ってするの、どちらがお好き?
ギリシアのサントリーニ島を舞台にしたアブストラクトゲームです。お互いに職人を操って、移動→建築を繰り返していき、建物の頂上にたどり着いたら勝ち、もしくは移動→建築が出来なくなったら負けと言うシンプルなゲームです。
もうね、コンポーネントが素晴らしい。白いプラスチック製の建物と青い屋根。まさにギリシアのサントリーニ島のそれじゃないですか!さらにはボードの下にも立体の岩場が表現されています。すごない?
さて、もう少し細かくルールを説明すると、ゲーム開始時は建物がない状態でスタートします。各プレイヤーは2人の建築士コマを持っており、手番には周囲8マスのどこかにどちらかの建築士を移動させ、その後、移動した建築士の周囲8マスに建物を1段建築します。
これだけ。
なお、両方の建築士がこの手順を踏めない場合は負けになります。
移動する際はコマよりも1段高い場所に乗ることができます(降りる時は何段でもOK)。これによって1段目、2段目と階段を昇っていくように移動し、最終的に3段目にコマが到達すれば勝利となります。
建築は周囲のどこかに建物を建てるわけですが、元々の高さは関係なく、1段高い建築物を配置します。建築時は3段の建物に対して屋根を置くことも可能です。屋根が置かれた場所は建築士が移動できない場所になります。つまりは相手が移動しそうな場所に先に蓋をするわけですね。
非常にシンプルなゲームなのですが、実は山のようにギリシア神話の神様カードが入っています。要は特殊能力です。これがなかなかブッ飛んでいて、2回移動ができたり、相手をノックバックできたり、自分の真下に建築できたり、勝利条件を変えたりと多彩です!これが入ることでガチガチのアブストラクトだったのが、バリエーション豊かで少し緩くなったアブストラクトになります。
特殊能力無しのガチガチのアブストラクトとして遊んでも面白いし、カードを入れてバリエーションを楽しんだりと様々な遊び方ができる2人用ゲームだと思います(しかも2vs2のペア戦にも対応!)。ゲームの面白さもそうですが、コンポーネントもリッチなのも好印象です。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (8.0 / 10) |
運の要素: | (3.0 / 10) |
おすすめ度: | (6.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |
やすやすのレビュー
神と神による遊びのない崇高な遊び
さて。
個人的にアブストラクトは苦手。弱いからとかではなく、勝っても負けても基本的に相手を張り倒すということが好みではない、というぬるゲーマー目線なので、そこを差し引いてお読みください。
アブストラクト(完全情報公開の意)ゲームは古今東西に数多ありますが、中でもこのサントリーニは、インスト5分の簡潔さとコンポーネントの必然性、限られた選択肢と収束性に優れ、(ぼくも含め)多くの方がプレイできる頭ひとつ抜けたライトアブストラクトの名作となっているかなと思います。
一般的にアブストラクトでは実力差が露骨に反映され、場合によっては殺伐とした雰囲気が漂うかと思います。そこを雰囲気だけでも緩和させようと、コンポーネントを豪華にしてみたりイラストを可愛くしてみたりもしくは逆に無機質にしてみたりと、多くのゲーム開発者が苦心し挑戦している様子はうかがえます。にもかかわらずそのほとんどが蛇足や無味さになっているな、と個人的には感じてしまっているのです。
しかしサントリーニでは、その豪華な立体コンポーネントが非常な説得力を持っており、特に圧倒的な分かりやすさを演出してくれています。このコンポーネントでなければ、サントリーニというゲームとしての成立が難しいほどです。ルールによく沿っており、ゲーム展開も一瞬で頭に入ってくるため、ボードゲーム自体が不慣れなプレーヤーであっても「詰めろ」や「必至」の状態がひと目で確認できるため、ゲーム内で知らない間に蹂躙されてしまってそのまま嫌気がさす、というケースが少ないように思いますね。
一方で戦況や最善手っぽいものが分かりやすすぎるため、戦略性や戦術の多様さについてはそれほど期待できない雰囲気を感じます。アブストラクトゲームとしての深みはそれほどでもない可能性があるため、同じ相手と繰り返し遊ぶには物足りないことがあるかもしれませんね。
軽い2人用アブストラクトとしてかなりオススメです!
気軽にさわりの1〜2回をプレイする程度なら、付属の神カードを使う必要はないかもしれません。それだけで十分に面白く、テンポの良いアブストラクトゲームを遊んだ雰囲気を存分に感じられることでしょう。そうではなく同じ相手と繰り返しプレイする環境にあるようでしたら、ぜひ神カードを導入してみてください。これら個人カード能力も完全開示されているので、非アブストラクトになるわけじゃなく、勝ち筋(もしくは負け筋)を多様化させるだけなのですから。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (8.0 / 10) |
運の要素: | (3.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |