ファイユーム / Faiyum

レビュー記事ヒゲ好きなんですけ度☆8以上
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ファイユーム

デザイナー: Friedemann Friese
アートワーク: Harald Lieske
出版社2F-Spiele (cited from)
参照 BoardGame Geek

盤面上のコマは全員共有!? ワニがいっぱいの湿地帯を開墾せよ! 
全てはファラオのために‼(ヒゲ)

ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値

ヒゲ
ヒゲ

フレーバーもシステムも真面目できれいなフリーゼ作品。
特にカードの循環のシステムを理解して活用できるかがカギ。

やすやす
やすやす

なんといっても、箱も含めたコンポーネント全般の雰囲気や質感がとても好み!そしてインタラクションと戦略の幅が十分あって、「みんなでボードゲームをたっぷり遊んだ!」という印象が、強く残りましたね。

ヒゲおすすめ度:7 out of 10 stars (7 / 10)
やすやすおすすめ度:7 out of 10 stars (7 / 10)
Average:7 out of 10 stars (7 / 10)

各レビュアーによる個別レビュー

ヒゲのレビュー

ゲームの本質はエンジンビルド。必要なカードは出来るだけ後にプレイしたい。

このゲームは「フリードマン・フリーゼが作ったコンコルディア」だと例えられることが多い。
これについては半分当たっているが、本質はそこではないということをきちんと言っておきたい。

手番が来たら、
①カードをプレイする。
②カードを現在の市場から購入する。
③管理フェイズを行う。
この3つのうち1つを選んで実行するだけ。基本ルール自体は簡単である。
ただし、このゲームはフリードマン・フリーゼ氏のファストフォワードシリーズやフルーツジュースのように『ゲーム中に新しい要素が次々に登場する』タイプのゲームで、状況に応じた対応力が求められる。街道と入植地しかなかったのが、工房や都市やモニュメント…etcが徐々に登場していく。
このような新しい要素を初回プレイ時にはカードが出てくるたびに効果表を見ながら説明しなければいけない。これは、若干マイナスポイントではある。しかし、どんなプレイでも(ほぼ)全てのカードが登場し、(わかりやすいとは言い難いが)、アイコン化されているので、2回目以降のプレイではかなりスムーズにプレイできると思う。

システムの核となるのはやはり③管理フェイズでの『捨て札からのカード回収』にある。
捨て札の上から3枚は無料で回収できるが、それ以上手札に戻すには$1支払わなければならない。このゲームは(戦略にもよるが)お金はカッツカツである。
このことから、3枚~せいぜい5枚程度で自分のコンボをうまく組み上げていく必要がある。
コンボとは言っても、手番では1枚しかカードをプレイできないのでいずれかのプレイヤーが「ずっと俺のターン!」を繰り広げることはない点も、システムとしてスマートな印象を受ける。
他のデッキ構築では山札からの引き運があるが、このゲームに山札はなく、全て手札からのプレイになる。ここはやや好みが分かれるところかと思う。(もちろん私は好き。)

選択できる戦略の幅も多様で、だいたいどの戦略でも(大きなヘマをしなければ)かなりいい勝負になる。

オススメプレイ人数は個人的には3人。初回プレイで5人はかなり時間がかかると思うので、不適。
多人数プレイは2回目以降で。ちょっと慣れれば、プレイ人数×30分くらいで回せるよ。

こんな人におすすめ

他にはない形のインタラクションと緩やかなコンボ要素を楽しみたいプレイヤー。
あるいは、エジプトの宰相。

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
運の要素:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
おすすめ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
自分は好きですけ度:8 out of 10 stars (8.0 / 10)

やすやすのレビュー

デッキビルディングじゃないんですけど? ーあるデッキビルダーのつぶやきー

ファイユームプレイ画像1

「フリードマン・フリーゼさんがデザインする、デッキビルディングのボードゲームです」なんていう、どこかの触れ込みを信じ遊びはじめてみたら、全然違いました。気付くのに遅れたんですよ…開始して3手番目くらいに、「最初からやりたい~」と叫んでました。

ぼくは、戦略とか戦術とかを考えるのが苦手で、複雑なゲームほど最終的に負けてしまう、ということが多いのです…アホなのかな。でもたまに勝てるときもあって、そういうときは、超必殺技「神のドロー(手札補充)」を連発するからなのです。そうです、ぼくのステータスは、「ドロー運」に全振りされているのです。

ファイユームプレイ画像2

ということでドロー運も重要である一般的なデッキビルディングゲームはそれなりに楽しめているので、このファイユームもオレにまかせろ、とばかりに勇んで挑戦しました。しかし開始早々、これデッキビルディングぢゃない…エンジンビルディングなのでは感が、猛烈に押し寄せてきました。

デッキを構築して引き運を調整するのがデッキビルディング(と思っていたはず)なのに、なんとこのゲームのドローは、それとは対極の位置にいらっしゃいました。

ふつゲーのドロー
  • 「裏向きの山札」が山札。
  • 「山札」のトップからドロー。
  • 「山札」はシャッフル済みで運が絡む。
ファイユーム様のドロー
  • 「表向きの捨て札の山」が山札。
  • 「表向きの捨て札の山」のトップからドロー。
  • 不確定要素がドローにないので運は関係ない

という計画性大事、ってか計画性しか問わない鬼ルールにより、超必殺技の「神ドロー」を出すこともできず、結果めでたく安定の最下位。
つまりこれはドローではなく、「最近使った手札を戻す」という意識で正解です、カードゲーム的にはサルベージに近いです。ただし無制限にサルベージできるわけではないので、使用順を計画する必要性がありますね。

プレーヤーの手番ごとに盤面の様子や獲得できるカードの様子が変化したり、効果的な得点方法すらダイナミックに変遷していくので、終始、展開から目が離せません。そしてそれがファイユーム地方の開拓・発展というテーマに寄り添っていて、始めは淡白に映るコンポーネントが、最終的には血肉を備えるから不思議です。

やすやす
やすやす

入手するカードが点数の入り方を決めるゲームなので、初めて遊ぶ人がいるなら、カードプールの説明はザッとした方が良いかもですね。

それぞれのプレーヤーが各自かなり違う戦略をとっていたにも関わらず、最終的に僅差で決着がついたのは、デザイナーのバランス調整の為せる業でしょう。オールユニークカードで、しかも特殊効果ありまくりのゲームでこの結果は、神の仕業ですね。

ひとつ、個人的に残念に感じたのはプレイ時間です、インスト込み3人3時間。ゲームの内容とゲーム時間の長さが、体感的に少し釣り合わなかったです。盤面は常に共有するため、それが変化するに従い得点方法も移り変わることがゲームの最大の楽しさですが、もう少しだけコンパクトにまとめてあると、気軽にプレイできるのかなと思いました。

カード全体の構成や、アイコンの効果が分かりルール説明を省略できる2回目からが大本番ですね!

こんな人におすすめ

ボードゲームの雰囲気を満喫したい人。デッキビルディングが好きなのに飽きてきた人。計画的にご利用する人。

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
運の要素:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
おすすめ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
自分は好きですけ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
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