遅延解決型ワーカープレイスメント+セットコレクション、1960年代の音楽フェスを企画運営していこう!ギークならニヤリとできるフレーバーも◎。やったな、スヴェンソン!(ヒゲ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
2022年エッセン新作でのヒゲボドがもっとも注目していた作品。
今までエリフ・スヴェンソンに唯一欠けていたものを獲得した本作。
野外フェスの雰囲気を上手くゲームに落としこんだワカプレ。ワーカー配置と発動のタイミングが違うのが、ちょっと変わり種。
テーマが一風変わったワーカープレイスメント主体のゲーム。フェスにまつわる様々な雰囲気を、なんとかシステムに落とし込むような努力が見られる異色作。
ヒゲおすすめ度: | (7 / 10) |
NEZおすすめ度: | (6 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (5 / 10) |
Average: | (6 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
2022年のエッセンで一番注目していたデザイナー、エリフ・スヴェンソンの新作。
スヴェンソン作品に欠けていたものを得た作品。ヒットして欲しいぜ!
いきなりマニアックな話から。
エリフ・スヴェンソンといえばどんなゲームを思い浮かべますか?
個人的には『マングローヴィア』なんですが、近年でいえば『キャピタルラックス』とか『マグニフィセント』あたりの方がピンとくるかな?
これはごく個人的感想なのですが、スヴェンソン作品ってシステムは独特でいいんだけどアートワークとシステムが合致してないゲームが多い印象があります。
アートワークがよくないという話ではなくて、やってることとテーマのイメージが結びつかないという印象を持っていました。繰り返しますが、これらのゲームもシステムは好きです。
でも、テーマも含めて楽しめるかが総合的なゲーム体験だと考えれば、アートワークで損をしていたデザイナーだと思います。そう、スヴェンソンに欠けていたのはアートワークとシステムの親和性だと思います。
そこで2022年エッセン新作『Come Together』。自身の会社チリフォックスからの出版です。
いや~、アートワーク最高か。
システム面での特徴は他のレビュアーにいつも通り丸投げしますが、テーマ部分を除外して考えると実はやってること自体は、①セットコレクションの目標カード(出演者)の獲得、②ボーナス点カード(ステージカード)の獲得、③セットコレクションのコマ(観客)の獲得、④コマの所持数上限(キャンプ地)を上げるという組み合わせに過ぎません。
このセットコレクションを面白そうに見せるための音楽フェスティバルをテーマに持ってきた!
偉いぞ、スヴェンソン!
例えば、さっきの写真はラウンド終了時の得点計算の場面ですが、観客がキャンプから出てライブを聴いているような情景を盤面で作り出すことができます。
ごっこ遊びの満足感の高さって大事。
セットコレクションの商品をよくある「木材、レンガ、鉄、家畜」みたいにして同じシステムでもゲームの本質部分は変わらないのかもしれません。
ただ、今までのスヴェンソン作品は「いい感じなんだけどなんか地味」みたいな感じだったんですよね。
とにかくこの辺りがめちゃくちゃ噛み合ったのが本作『Come Together』だと感じました。
ここらでもう一段階、スヴェンソンに対しての注目度と評価が上がるといいなと思います!
そういえば2022年エッセン新作では音楽テーマがやけに目に留まりました。
ルールの複雑さ: | (6.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (5.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
NEZのレビュー
野外フェスと言うテーマを上手くゲームに落としこんだワーカープレイスメント。
1960年代の野外音楽フェスをテーマにしたワーカープレイスメントです。音楽フェスの開催をテーマにしたボードゲームって言うだけで、なかなか珍しいテーマだと思います。
システムの骨子はワーカープレイスメントで、目標達成と各種パラメータの上昇を目指します。要はパラメータを上げることで素点を上げて、目標達成することで素点を元にした得点を得る。そんな感じです。
ここだけ切り取ると比較的ありそうなゲームになるわけですが、テーマとシステムに一体感を持たせた作品だと個人的には思っています。
このゲームでは、フェスを開催するのに必要な要素として、出演者、ステージ、観客があるわけですが、その観客を宿泊させるためのキャンプ場も必要になります。プレイヤーが各ラウンドでこれらの要素を集めている間、観客は各々キャンプ場でテントにいるんです。そして、ラウンドが終了し、バンドが演奏を始めると個人ボードを横断して、ステージまでやってくるわけです。
また、素点を上げるパラメータはラジオ、テレビ、新聞と言う各種メディアとなっており、ラジオは新人アーティスト、テレビはスターの得点が上がり、そして新聞はパラメータによって、良い効果と悪い効果が発生します。ラジオでリコメンドされた新人アーティストが、やがてスターとしてテレビで活躍、そんなサクセスストーリーがかいま見えますね。ステキ。
記者の皆さんは各ラウンド毎に、パラメータをどこまで進めたかによってペナルティもしくはボーナスを与えます。フェスに対して好意的な意見を書いて欲しいので、しっかりと対応したい。そんな感じでしょうか。
システム面にも少し触れると、特徴的なのはワーカーの配置とアクションのタイミングが異なるところだと思います。
アクションは基本的にはアーティスト、観客、キャンプ場、ステージの獲得になります。ただ、ワーカーを置いただけでは獲得はできません。獲得するためには、いずれかのプレイヤーが手番に実行アクションを行う必要があるのです。
各アクションには複数のワーカーを置くアクションマスがあるわけですが、実行アクションを選択したプレイヤーはアクションを1つ選んで実行します。この時、アクションの実行と共に、埋まっているアクションマスの分だけ、先ほどのメディアのパラメータを上昇させる事が可能になります。
これにより、効率よくパラメータを上昇させるために相乗りをするのか、それとも自分だけワーカーを配置したアクションを取るのかの駆け引きが発生します。ラウンドの終了条件が、「一定回数アクションを実行したら。」と言うのもニクいです。
ゲーム自体は、見た目ほどの華やかさはなく渋めなゲームと言う印象ですが、やはりテーマとの一体感で楽しめるゲームではないかと思います。音楽フェスが好きな方には一度遊んでみてもらいたいゲームです。
ルールの複雑さ: | (6 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6 / 10) |
運の要素: | (6 / 10) |
おすすめ度: | (6 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6 / 10) |
やすやすのレビュー
野外音楽フェスってこんな感じだったけ?いや、そうは思わないぜ、ベイベー。
フェスなんていう抽象的な概念を、なんとかボードゲームに落とし込もうとした意欲作。アートワークで70’s 80’sの雰囲気を作り上げたこのゲームを、ハッピーもラッキーもいっぱいあるよね的なヒッピーであるぼくがソウルレヴューをしていきます。
さて…もしかしたらぼくは他のレビュアーたちと異なる見解なのかもしれませんが、気になったことを始めに書いちゃいますね。このせっかくのフェスゲー、フレーバーとシステムが一致しておらず、全体としてずいぶんとチグハグな印象を受けました。
プレーヤーは、フェスにおける運営側として集客をしたり設備を整えたりアーティストを招聘したりします。そのための手段として、ゲーム内でワーカープレイスメントを行いながらリソース管理をしていくのです。
やりたいことは分からなくもないのですが、そのワーカーがもたらす効果が直接的過ぎるため「何をやっているのか」が見えてこず機械的なのです。リソースやアクションを使っても波及効果があまり感じられず、非常にシンプルなインプットとアウトプットを繰り返してしまうように思いました。(もちろんこれはゲームに精通してくれば変化する感覚だとは思います)
また、ワーカーを使い獲得していく設備やアーティストカードなども、カードごとの差異をそれほど感じません。現実のフェスというものが生み出す高揚感・期待感とは真逆で、色を揃えるためだったり、数を合わせるためだったり、即時効果を得るためだけに獲得するという淡白さがあります。そのためカードのめくり運がダイレクトに響き、歯車がずれたときの修正は難しいように感じました。少々のバランスブレイクを許容して、もっとフェスらしい魅力的なギミックを組み込んでも良かったように思います。
プレイ前に描いたイメージと異なる部分が大きいゲームのひとつとなりました~。
ワーカーの効果が遅れて発動するというゲームとしては少し珍しい仕組みではありますが、全体として「ワーカープレイスメントゲームとしてしっかりさせよう」という方向に向き過ぎているように感じました。せっかくテーマとして掲げたフェスなので、もう少し派手な演出があっても良かったのかなと思いますね。もう少し言及すると、個人的にはお祭り的なイメージを持つフェスと質実剛健なイメージのワーカープレイスメントを結びつける必要はなかったのかもな、と考えています。
ルールの複雑さ: | (7 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7 / 10) |
運の要素: | (6 / 10) |
おすすめ度: | (5 / 10) |
自分は好きですけ度: | (5 / 10) |