地形タイルの繋がりと、動物コマの配置による二重得点構造に悶えるタイル配置ゲーム(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
毎回、「それお願いだから、残しといてー!」って祈りを捧げるゲーム。そして、祈りは大体届かないゲーム。
動物集めてタイル配置して点を稼ぐゲームです。
とにかく動物かわいい!!
気軽に遊べるタイル配置ゲームです。自然がモチーフになっていることもあり、きっとものすごーく幅広い方が楽しめると思います。
NEZおすすめ度: | (8.0 / 10) |
開拓者おすすめ度: | (7.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (8.0 / 10) |
Average: | (7.7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
NEZのレビュー
袋引きの瞬間が、とにかく熱い。
地形の描かれたタイルと動物の描かれたコマを得点条件を満たすように配置していくゲームです。
地形タイルは同じ地形が繋がった広さが得点になり、動物コマの得点条件はゲーム毎に毎回変わります。例えば、「円環にする」「2~4匹の群れを作る」「一筆書きで繋げる」みたいな感じです。
ゲーム中は常に、地形タイルと動物コマのセットが4セットディスプレイされており、毎手番プレイヤーはこのディスプレイから、1セットを選んで獲得し、手元に配置していきます。セットなので、「この動物は欲しいんだけど、地形がこれじゃないんだよねー!」とかなってしまいます。シンプルに悩ましいですね。
さらにこの地形タイルには動物のイラストが描かれており、そのタイルの上には描かれた動物コマしか置けないようになっています。これによって、先ほどのシンプルな悩ましさが、「地形も繋げたいけど、この地形にはクマが置けないとやばい。」と言った具合に余計に縛りがキツくなるわけです。
地形の繋がり、獲得できる動物コマに加えて、地形に乗せられる動物はなんなのかも見ながら、ディスプレイから選択していく事になり、たまに「あのセット、僕にとって最高のセットじゃないですか!!」と言う組み合わせが出てくると、神に祈りを捧げながら手番を待つ事になります。
さらに、もう1つ熱い要素があります。それが、松ぼっくりトークン(多分、松ぼっくり。。。)です。
これは、1種類しか地形が描かれていない地形タイルの上に動物コマを置く事で獲得ができるトークンで、使用する事で特殊なフリーアクションを実行する事ができます。
はい、悪い。書いてある事がもう極悪。
ただでさえ、最高のセットを相手に取られるかどうかをドキドキしながら待つ事になるのに、なんですか?「エルクいないじゃーん。エルク欲しいからトークン使って引き直ししまーす。」じゃないですよ。僕はそこにいるクマがいいのであって、隣に置かれたクマには興味ないんです。何てことをしてくれたんですか。
と、まぁこんな感じでディスプレイがどんな組み合わせになるのかが非常に盛り上がるゲームです。やる事はシンプルで、二重構造のタイル配置は考えどころが多く、ディスプレイがどうなるのかハラハラドキドキするので、ボードゲームの基本的な楽しさが詰まっているのではないかなと思います。色んなシーンで活躍するスタンダードなゲームだと思います。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (5.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |
開拓者のレビュー
ボードゲームのよさが1時間にギュッと詰まった優等生的良作。
カスカディアは、場に出ている4組のタイルとディスクから1組を選んで自分の土地に配置していくゲームです。
タイルには5種類の地形があって、なるべく繋げて配置したほうが点になります。ディスクも5種類あって、こちらは毎回得点方法が変わります。得点方法はカードをランダムに引いて決めます。タイルは置き方に制限はないのですが、ディスクはタイル上にその動物の絵が描いてある場所にしか置くことができません。
やることとしてはタイルとディスクの組み合わせを選んで置いていくだけです。が、これがまぁシンプルに悩ましくて面白いんです。
ゲームが進んでいくにつれて、各自ほしいタイルやディスクが出てきます。なのでディスクを袋引きするときについつい熱が入ります。そして最高の組み合わせが場に出ているときは、自分の番が来るまで他のタイルとディスクがもらわれていくことをひたすら祈るのです。
地形タイルには通常ニ種類以上の地形が描かれていますが、一種類の地形だけのものもあります。そこにディスクを配置すると松ぼっくりがもらえます。これがまた悩みを増やしてくれます。
松ぼっくりを使うとディスクの引き直し、もしくは出ているディスクとタイルを好きな組み合わせで持っていくことができます。しかし、使わずにゲーム終了時まで持ってると1個1点なのです…!!
松ぼっくりを使ってベストの組み合わせをとるか、松ぼっくりを使ってガチャるか、得点として取っておくか…無限に悩めます。
悩みどころはたくさんあるけどやることとしてはシンプルで、終わってみるとけっこう僅差になるのでゲームのバランスがいいなと思える作品です。
1つ苦言を呈するとすれば、シンプルに思えて細かいところのルールが少しわかりにくいです。私は今のところ他の人とプレイするたびにルールが変わっています(苦笑)。松ぼっくりでのリシャッフルの個数、ディスクが3枚揃ったときのリシャッフルの個数、動物ごとの得点の仕方はゲームを始める前に同卓する人とルールのすり合わせをしたほうがいいかもしれません。
ルールの複雑さ: | (6.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
やすやすのレビュー
可愛い顔した、恐ろしい底なし(ボドゲ)沼への入り口ゲーム。
軽めの中量級ゲームとして思考と運のバランスが絶妙、インタラクションも軽いギリギリの範囲に抑えられたタイル配置ゲーム・カスカディア。誰にとってもプレイしやすく、等しく悩ましく、笑顔で一喜一憂できる、そんな「素敵ボードゲームで遊んでいる感」にどっぷり浸れるゲームです!動物かわいい!タイルとディスクがキレイ!で、華やかな盤面が楽しい気分をいっそう盛り上げてくれますよ!
さて…と言いつつも。
タイル配置ゲームの古典には、言わずと知れた名作「カルカソンヌ」がありますよね。最初にこのカスカディアのネガティブ点を炙り出すため、*あえてプレイ感を比較しますが、カスカディアにはカルカソンヌほどの高いリプレイ性や要求される思考の深さはないように思いました。
*別システムのゲームと比較することの無意味さを筆者は理解しています
カスカディアでは遊ぶたびに得点方法が選択されそれにより細かい展開が変化するので、最低限のリプレイ性はもちろん担保されています。しかしそれを「戦略」というレベルで俯瞰すると、誤差の範囲にしか過ぎないように思ってしまいました。タイルやディスクを袋引きするゲームのためゲーム毎の進行の違いが大きいように捉えてしまいそうですが、実際のところカスカディアは手番での選択肢が驚くほど少なく、展開の多様性に乏しいゲーム性だと感じています。現実的な手は2~3択しかなく、それを短期的な視野で繰り返さざるを得ません。いっぽう中長期の視野については、自分で構築せずとも自然にシステムがガードレールとなってくれるような印象です。
カルカソンヌにあってカスカディアにないもの、それは言うなれば自由。ライオンのいる平原のど真ん中に寝転んでも良い自由さと、荒々しい大自然にある整備されたトレッキングルートほどの違いがある。
カスカディアは、名作と呼ばれるほどの完成度を誇るタイル配置ゲームだと感じました。対象はほぼすべてのボードゲーマー、さらには全非ボードゲーマーに及ぶまで薦められる大定番作品になり得ると確信しています。このゲームを入り口として、深淵なるボードゲーム沼へ沈みゆく人も現れるのではないでしょうか。
沼の底に沈んだとき、ふと見上げてみてください。そのときのあなたの目に、このゲームがどんなふうに映ることでしょう。この作品の愛し方は、ひとりひとりできっと異なるんだろうなぁ、という気持ちでいっぱいのやすやすでした。
ルールの複雑さ: | (6.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (7.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |