平面で考える得点条件に、高さによる加点を取り入れた軽量級ドラフト&タイル配置。(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
オープンドラフト形式で行うナンバーナインのようなタイル配置ゲーム。シンプルながら、悩ましさがしっかりある軽量級。
メカニクスをタイル配置に絞った、抜群の小気味良さが生まれるライトウェイトゲーム。きっと誰もがルールを理解でき、ゲームの魅力をすぐに感じられることでしょう。
NEZおすすめ度: | (7.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (8.0 / 10) |
Average: | (7.5 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
NEZのレビュー
上書きする事がプラスに働く軽量級タイル配置。
ギリシアの建築家となって街を発展させていくタイル配置ゲームです。プレイした印象は『センチュリースパイスロード』+『ナンバーナイン』と言った感じでした。
毎ラウンドプレイヤー人数+1枚のタイルが公開され、手番プレイヤーはその中から1枚を獲得し、自分の街に隣接もしくは上に重ねていきます。タイルの獲得にはコストがあり、端から順番に0金、1金、2金…と言った具合にコストが上がっていきます。コストは相対的なので、誰かがタイルを持っていくとコストが安くなっていきます(例えば、0金のタイルを持っていかれると、1金だった物が0金に変わるみたいな感じです)。しかしながら、タイルの補充はラウンド開始時なので、だんだんと選択肢は狭まっていきます。
自分の欲しいタイルを獲得するのか、それとも相手の欲しいものをカットするのかと言うドラフトならではの楽しみに加えて、コストを支払ってまで獲得する意味があるのか?を考えるのが面白いゲームです。
タイルは自分の街に隣接するように配置するか、下にあるタイルと完全に一致しないように上に重ねるかの2択になります。
最終的に、1番上に見えているタイルの得点を計算する際に高さが素点になるため、可能ならば上に重ねていきたいのですが、当然下のタイルを隠してしまうため、どちらが得点効率が良さそうなのかを考える必要があります。また、タイルの中には上にタイルを重ねることでお金をもたらす鉱山が存在しているため、上手に鉱山の上にタイルを配置したくなります(お金は最後に点数にもなります)。
タイルは、その色事に得点方法が決められていて、「同じ色で繋がった一番広いエリアのタイル数」「周囲を他のタイルで囲っていたら得点」「外周に位置していたら得点」「同じ色が隣接してなければ得点」などがあります。
そして、得点化するためのもう1つの要素が☆の書かれたタイルです。これは各色存在していて、得点を計算する際には『タイルの素点×☆の数』と言う形で影響を及ぼします。☆を持っていなければ、その色は0点になってしまうため、☆が入ったタイルを集めるのも重要になってきます。これまた悩ましい。
全体的に軽めで、「えっ?もう終わり?」ってなる感じのゲームですが、タイルの獲得時の悩ましさと、獲得したタイルをどこに配置するのかを考えるのが楽しいゲームです。カスカディアなんかもそうですが、タイルが公開された時に「このタイル、今一番必要なやつじゃん!!」って分かった時に後手番だったりすると、心の中で祈りを捧げてしまいます(そして、無情にもカットされるのです)。1時間以内で適度に悩ましい物をお探しの方にはオススメできるゲームだと思います。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (4.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |
やすやすのレビュー
アクロポリスの丘は高ければ高いほど良い
歴戦のボードゲーマーにとっては、あまりにもシンプルに感じるルールなことでしょう、「え?それだけ?」と。ロチェスタードラフトのような形式で獲得したタイルを自分の手元に配置し、上手くできれば点数が伸びるというたった1つの仕掛け。なので2023年の今、新作ボードゲームのプレイ感としての新規性はないのかもしれません。しかしこのアクロポリスは、そういう定番ゲームの不変の内容を突き詰めてきた作品だとぼくは思っていて、これは見逃すにはもったいない秀作であると感じているのです。
ゲームのルールは、ジレンマがダイレクトに感じられる限界まで削ぎ落されており、遊ぶうえで不明確なことはほぼなく、誰もが初回から迷わずアクロポリスの世界に入っていけることでしょう。そしてぶ厚く剛健に作られたタイルが隙間なく並ぶ様子は見ているだけで気持ちよく、難解さや煩雑さで現実世界に引き戻されることを防いでくれます。インタラクションはタイルの早取りそれだけ。ドラフトゲームですし得点も丸見えなので、もちろんそれで十分な効果が得られていますね。初心者であってもゲームに慣れるまでの道のりは非常に短いので、きっと2回目からでも熱い闘いが繰り広げられることでしょう。
ぼくが昨今遊んだゲームの中では、ボードゲーム沼の入り口として最高のゲームのひとつ、と思います。おそらく多くの人が初回の途中からゲームのポイントに気が付くはずで、「もう1回やりたい」という気持ちが湧いてきやすいと思いますね。初心者と一緒に、ゲーム会のアイスブレイクに、終盤のクールダウンに、いつでも誰とでも遊んで楽しい大好きな作品となっています。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (7.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |