エカテリーナ2世: 皇后の都市 / Catherine: The Cities of the Tsarina

レビュー記事
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デザイナー: Johannes Schmidauer-König
アートワーク: Claus Stephan, Antje Stephan
出版社dlp games
参照 BoardGame Geek

2022年dlp新作。独特なアクション選択+「良い中量級ゲームとは何か」の1つの解答。(ヒゲ)

ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値

ヒゲ
ヒゲ

箱絵のインパクトオブザイヤー受賞。
適度なやりごたえを感じる中量級の優等生。

NEZ
NEZ

手札を『使う』『置いとく』『支払う』の3つに分けて進めていくゲーム。同時処理と引き換えに、インタラクションを失ったネットワーク構築は…

やすやす
やすやす

言語依存なし・インタラクション軽め・ダウンタイム少なめ・収束性良好など、ストレスと悩みどころのバランスをとった現代風ボードゲーム。

ヒゲおすすめ度:6 out of 10 stars (6 / 10)
NEZおすすめ度:6 out of 10 stars (6 / 10)
やすやすおすすめ度:6 out of 10 stars (6 / 10)
Average:6 out of 10 stars (6 / 10)

各レビュアーによる個別レビュー

ヒゲのレビュー

ちょうどいい中量級ゲームを作ることの難しさ。

2022年7月の段階で今年遊んだ中量級ゲームの中でかなり好きなゲームです。
ベスト人数は3人。4人だとただでさえ薄いインタラクションがより薄くなってしまうので、軍事力が他全員と絡むくらいの方がいいからです。
プレイ時間は概ね60分くらいですが、手札運的に悩むともう少しかかることもあります。

このゲームの良さを一言で表すなら「ちょうどいいゲーム」だということです。
裏を返せば、物足りないと思うところもありますが、それはこの「ちょうどいい」のためには切捨てなければならなかったものなんだと感じました。これについて詳しく話していきます。

終了時の盤面はこんな感じ。

まずこのゲームはかなりソロ感の強いゲームです。
早取りの要素も、ルート構築システムの中で他人を邪魔することもありません。
「ソロ感が強い」というとネガティブに聞こえますが、これはプレイ時間短縮及びやりたいことができる気持ちよさのためにあえてインタラクションを切り捨てていると感じます。
早取りの要素を入れると手番順の概念を入れねばなりません。
そうすると「手番順を取るためのアクション」などの要素を増やす必要が出てきます。
これを入れなかったというデザイン面での勇気を讃えたい。
ルート構築部分には1番乗りにボーナス(1ドロー等。同時に達成したら該当者全員)くらいあってもよかった感ありますが…考える要素を減らすためのデザインだと思います。

同時公開でアクションを実行というのも賛否あるでしょう。
ただこれも上記のようにインタラクションを切り捨てたおかげで導入できています。
プレイ時間の短縮につながるのはいいことです。

数回プレイして分かりましたが、カードのバランスはかなりよく考えられていると感じます。
軍事が多い/文化が多い/資源が多いという上段のバランスと下段アクションのバランスが良くできています。

序盤に欲しいのは両脇のカード。真ん中はゲーム終盤にこそ欲しいカードだけど、資源はない……ジレンマよ!

欠点として、序盤のカードの引きでどうしようもない時もありそうなこと最初に配られる目標カードの得点が低く様々な得点源でこれだけやたら効率が低いことがあります。(あまり積極的に狙う必要がない)
あと初回プレイ時に、本のシンボル=文化力の重要性は全員共通認識しておく必要があるかな…?

なんにせよ、個人的にはおススメです

こんな人におすすめ

ちょっと変わったシステムの中量級ゲームでインタラクションが薄めのものが好きな方。
あるいは、帝政ロシアの末裔の方。

ルールの複雑さ:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:4 out of 10 stars (4.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
自分は好きですけ度:7 out of 10 stars (7.0 / 10)

NEZのレビュー

効果を発動するのか、永続効果を維持するのか、コストとして支払うのか。それが問題だ。

エカチェリーナ2世の顧問となるべく色々頑張るゲームです。基本的には手札をプレイする事で、ネットワーク構築をメインに様々な方法で得点を得ていきます。

このゲームの特徴は手札の使い方にあるかと思います。ラウンド開始時点で各プレイヤーの前には3枚のカードが公開されており、プレイヤーは毎回そこに手札を2枚加えていきます。カードは上段と下段に分かれていて、上段と下段に1枚ずつ置かれます(元々公開されているカードは上段扱いです。)

上段に置かれたカードは永続効果として、アクション発動に必要な資源、両隣のプレイヤーとの戦闘に使う大砲、マジョリティ争いをする本を与えます。

下段に置かれたカードは特に何の効果もありませんが、上段にあるカードと色が一致させる事で、上段のカードに書かれたアクションを発動させる事になります。

上段に配置されたカードのアクションを発動するために、下段に同じ色のカードを配置する。

アクションが発動したカードはラウンド終了時に捨て札となるので、効果を発していた永続効果も失います。

手札を永続効果、アクションの実行、コストのどれに充てるのかをウンウンと唸りながら毎回考えていくところが面白いところです。手札はこれ以外にもアクションのコストとして追加で捨てられたり、大砲や本は相手の場札を見ながら追加していくことになるので、考える量は多めかもしれませんね。

こうなるとダウンタイムが気になるところですが、このゲームではインタラクションを排除する事で、各プレイヤーが同時に処理を進めることが可能になっています。ネットワーク構築も都市の早取り要素などはないため、相手の行動を阻害する事はできません。

個人的にはネットワーク構築の醍醐味は取るか取られるかの争いだと思っているので、この部分は少しフワッとした感覚を覚えました

勝利点の獲得はネットワーク構築×寵愛トラック、ネットワーク構築×目標カードと言った具合に、ネットワーク構築+αをメインにしていますが、カードのアクションによる即時勝利点や、ラウンド毎に行われる両隣との戦闘などもあるので、いくつかの得点要素を組み合わせていく形になると思います。

ダウンタイムとインタラクションが少ないため、比較的自分の手元に集中できるゲームだと思いますが、ソロプレイ感や相手の妨害が難しい部分は、好き嫌いがあるかもしれませんね。

こんな人におすすめ

ダウンタイムの少ないゲームが好きな人、手元で唸りたいゲームをお探しの人

ルールの複雑さ:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:4 out of 10 stars (4.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
自分は好きですけ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)

やすやすのレビュー

思わせぶりな箱絵の彼女が、まったく出てこずにクレーム。*イラストはイメージです

このゲームの特徴を表すとすれば、ぼくは「ハンドマネジメント」を筆頭にあげます。鮮やかで立派なボードが付随しますが、内容的にはカードゲーム寄りの仕組みになっているかなと思います。自分が目指す得点方法を強化するために、手元でカードがサイクルするような構築をしていく感じです。他プレーヤーとの絡みは、決算時に行われる「世界の七不思議方式のパラメーター競争」です。理想のサイクルを組み上げていく途中にこの決算が何度か差し込まれるので、両隣の様子を見ながら上手くいなしていくわけですね。

エカテリーナ

箱絵にあまり意味はありません

もうひとつこのハンドマネジメントに関した大きな特徴をいうと、それは拡大再生産性が弱い、ということです。ゲーム終盤に向かうにつれアクションが増えたりその効果が強力になるゲームが多いですが、このエカテリーナでは前述した「決算」のたびに構築したサイクルを強制的に縮小させられてしまいます。決算後は、そこでいったん仕切り直しになるんですね。

唯一ハンドサイズ(手札上限)の上昇が永続効果として残るものの、なんとこのゲームではハンドサイズを超えてドローしたカードは点数化されるシステムになっています。そしてこれは、(計画的じゃないと)わりと頻繁に起こる(起こすことができる)のです。一般的に、プレイできる手札の選択肢を増やすことは大変重要ですが、このゲームではそれを超えて引き過ぎた場合は点数になるという設計となっているのです。しかもプレイできるカードの枚数は全プレーヤー毎ターン1枚のみ、それはゲーム終了時までずっと同じなので、ハンドサイズを増やすことが絶対的というわけでもないのです。

エカテリーナ

この「決算時に縮小が入る」「オーバーフローしたカードは点数となる」によりゲーム中に何度かリセッションが行われ、最後まであきらめずに闘えるゲームになっているように思います。またそれにより効果やアイコンの解決が後半でも複雑になり過ぎず、自分のプレイを自分でコントロールしていくことが容易になっています。

中級者入口・中量級の入り口として、かなりオススメです。手札・手元・盤面などゲーム全体が見渡せる程度の情報量であり、コントローラブルな要素が大半を占めます。ベテランゲーマーには物足りないプレイ感ですが、遊びやすさは格別かと思います。

こんな人におすすめ

ボードゲームの初級者あたりの人。インタラクションが強いゲームに忌避感がある人。

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:6 out of 10 stars (6 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6 / 10)
おすすめ度:6 out of 10 stars (6 / 10)
自分は好きですけ度:6 out of 10 stars (6 / 10)
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