1号線で行こう! / Linie 1

レビュー記事
この記事は約8分で読めます。

デザイナー: Stefan Dorra
アートワーク: Franz Vohwinkel
出版社: Goldsieber Spiele, rigoler(cited from)
参照 BoardGame Geek

遠くドイツの地で走り出した1号線は、日本で再び走り始める。(NEZ)

ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値

ヒゲ
ヒゲ

シュテファン・ドラのネットワーク構築&すごろくゲーム。
リゴレのリメイクにかける愛について感じたことを書きます。

NEZ
NEZ

前半で構築した路線を、後半実際に電車を走らせていく二部構成のゲーム。後半のすごろくは、新ルールでも若干やらされ感が出てしまうかな?

2部構成となっているゲーム展開なのに、どうしてもすごろく部分ばかりにスポットライトが当たってるなぁという印象でした。不思議に思っていたんですけど、遊んでみたら、その理由がよく分かりました~。

ヒゲおすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
NEZおすすめ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
やすやすおすすめ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
Average:5.3 out of 10 stars (5.3 / 10)

各レビュアーによる個別レビュー

ヒゲのレビュー

リゴレの愛を感じるリメイク。

「Line 1 is still running in our city.」

横浜中華街にあるボードゲーム専門店「リゴレ」が名作『1号線で行こう!』をリメイクしてくれました。

このリメイクに関して、とても愛を感じました。その際たるところが、先ほどの英文です。
これは説明書の最後と箱の側面に筆記体で書かれています。
訳すと「1号線は今も僕らの街を走り続けています。」くらいになるのでしょうか。

この一文を見つけた時、本当に感動しました。リメイクへの愛が詰まっているからです。
『1号線で行こう!』は1995年ゴールドジーバー社から発売されました。
日本語版が出ていなかったゲームながらも、愛好家の多いゲームと認識しています。
ご存知の通りゴールドジーバー社はすでに倒産しており、リメイクしないと再販は望めない状況でした。
そして、実に25年以上の歳月が経ち、リゴレからの再販です。

今まで存在しなかった日本語版として、現代によみがえって現在進行形で多くのプレイされている
そしてそれが他のどこかの国ではなくて、”僕らの”街であること。

めちゃくちゃいいフレーズじゃないですか。

アートワークデザイナーのフランツ・フォーヴィンケル氏とも連絡をとり盤面のデザインは一新しつつ、ゴールドジーバー版の箱絵を残したところは「分かってる」感がすごい。

1995年当時、僕はまだボードゲームをしていませんでした。当時のことも分かりません。
(ちなみに『カタンの開拓者』が色々受賞した年です。)
でも、2014年にボードゲームを始めてしばらくしてやりたいけど売ってないゲームのうちの1つでした。
それを、こんなにも素晴らしいリメイクをしてくれたことに感謝しています。ありがとう、リゴレ。

こんな人におすすめ

過去の名作に触れていきたい中量級ゲーム好きの方。
あるいは、路面電車の車掌さん。

ルールの複雑さ:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:4 out of 10 stars (4.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
自分は好きですけ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)

NEZのレビュー

前半路線構築、後半すごろくと言う2つの顔を持ったゲーム。

路面電車の線路を引いて、目的地へと繋いでいくゲームです。
特徴的なのは、目的地へのルートを構築した後で、実際に電車を進めていきルートを踏破すると言う、二段構えのゲームであると言う事だと思います。

プレイヤーにはゲーム開始時に担当する路線名と経由する駅が示されたカードが配られます。路線カードによって、スタートとゴールが決められ、もう1枚のカードによって経由駅が決められます。これらのカードの条件を満たすようにルートを構築していくわけですね。

前半は手番になると、手札からタイルを2枚配置してルートを構築していきます。この時、新規に線路タイルを配置するか、既に配置済のタイルを交換する事ができます。交換では、既存のルートから分岐を増やす形でのタイル交換になるため、突然ルートが書き換わってしまう事はありませんのでご安心を。

誰が、どういったルートを目指しているのかは、この時点ではまだ非公開なので他のプレイヤーが置いたタイルから何番線なのかを予想して、置かれたタイルに相乗りしたり、自分だけが得するような置き方をしてみたりするのが面白かったです。特に自分が考えていたルートに他のプレイヤーがタイルを置いてきて、それがあらぬ方向を向いていたりすると「それじゃないんだよねー!」と心の中で呟いたり、逆に自分も得するような置き方をされれば、思わずガッツポーズしたくなります。また、中盤くらいになると、俯瞰で見てルートの修正をしていったりする事になりますが、これは何となくですが得意不得意が出そうな感じがしました。
予定しているルートを構築するためのタイルが手持ちになかったりと言った事も出てきますが、その辺は手番を消費する事で、任意の枚数の手札を袋の中のタイルと交換する事が可能なので、ある程度許容できる気がします。

さて、ルートが完成すると、カードを公開して電車を実際にスタートからゴールまで進めていきます。
これは、実際にダイスを振って電車を進める「すごろく」となっています。リゴレさんから発売された日本語版ではゴールドジーバー版のシンプルなダイスによるすごろくに加えて、アニバーサリールールとして3つのダイスを使ったチキンレース的な要素を含むすごろくのどちらかを選ぶ事が出来るようになりました。
この後半のすごろくについては、個人的には多少なりとも「やらされてる」感を感じました。アニバーサリールールを選ぶ事で、デメリットを持つダイス目が発生し、どこまでダイスを振っていくのか?と言う考えどころが生まれるのですが、やっている事自体はシンプルなすごろくですので、そこまで強烈なジレンマとはなりえませんでした。
ただ、だからと言って前半のルート構築だけだと、それはそれで物足りない感覚もあるんですよね。実際に作ったルートを検証すると言う行為自体はあった方がいいんだけど、すごろくはシンプル過ぎるなと言う感想です。

評価としては前半のルート構築部分は☆7くらい付けてもいいのですが、どうにも後半のすごろく部分が気になるので☆5とさせてもらいました。

こんな人におすすめ

ネットワーク構築が好きな人、変わり種すごろくを探している人

ルールの複雑さ:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
自分は好きですけ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)

やすやすのレビュー

運ばっかりだってしょうがないじゃない、1号線だもの。

プレミア価格となっていて入手が難しかったり、自分の周囲に所有してる知人がいなかったりで、著名でありながら触れていなかったゲームがリバイバルされ、遊ぶことが叶いました!こういうのは、めちゃくちゃ嬉しいですね!非常にありがたいことだと思います。基本的なルールはきっと周知のことだと思うので、細かいところは抜きにして、さっそく感想だけ書いていきたいと思います~。

ゲームの内容が7割くらいわかる動画となっています。<リゴレさん公式>

ゲーム前半では全プレーヤー共通のボードに線路を敷いていきます。そして目的地をつなぎ終えたプレーヤーから後半戦であるすごろくタイムに突入。我先にと必死にダイスを振りまくり、早いところ電車を完走させたら勝利、というゲームですね。というわけで遊んでみると、この1号線で行こう!のポイントは大きく3つあると感じました。

1号線で行こう!を構成する3つの要素
  • 開始時に他プレーヤーへ非公開の目的地カードが配布される
  • 裏向きのタイル山から1枚ずつめくり手札に入れ、そこから自由に配置する
  • ダイス目を使いルートを完走させる

ゲームを構成するこれらの要素なんですけど…。ぼくはその3つともに「なんとも言えない・なんともできない運要素」がいっぱいだと感じてしまいました。まぁ…個人的にそう思っただけですよ…もちろんぼくなんかが解析できるわけでもないですし…あくまで個人のふわっとした感想ですよ…。

目的地カードの配布。これはもう、ふつうに配られるだけです。おそらくカードによる有利不利がないような組み合わせで、それぞれに3つの目的地が設定されていることだと思います、全員に同じ程度のプレイ感がもたらされるように。もしかしたらホントはカードごとに取るべき戦略のようなものが存在するのかもしれないです…ですが、それはちょっと想像しにくかったです。つまり(ぼくにとっては)どのカードが配られたところで一緒で、それよりも上家・下家のカードとの組み合わせが初手から重要であるように思うです。しかしそれらは非公開ですし、もちろん手番順を変える方法もありません。

一号線で行こう!

わりと線路が引かれないまま、すごろくフェイズに突入。

裏向きのタイルからめくることはゲームではよくあるので、一般的な運要素の1つだと思います。しかしこのゲームでは、盤面のうち自分に関係のある場所というのは実はかなり限られているため、自由配置かつ手札が5枚あるにもかかわらず、無為な手番が発生しやすい気がしました。そして後半で行うすごろくのせいで、この無為な1手番の差が非常に大きくなります。タイル配置ゲームとしては1手番を無駄にすることは甘受できますが、すごろくで1手番は勝敗を分けすぎます。

期待が高すぎたせいで、プレイ感とのギャップで少し不満が残ってしまいました。最近の調整が効いたゲームたちと、同じ土俵で比べるものでもないと感じましたね。

すごろく部分が運要素、というのは仕方ないですよね。そのためここで逆転劇が起こせるので良い、とか悪いという意見があるのは当然かなと思います。ただぼくの嗜好としては、「大勝しやすい・大敗しやすい運ゲーム」は好きではないため、現在順位による調整のようなものがなく、ここはかなり受け入れ難いポイントでした。順位による運補正がないことは現在のファミリーゲームとしては苦しいと思います。

正直なところ、システム的にもフレーバー的にもタイル配置後にすごろくをする必要性が見えないな、という感想です。ただ、必要性がないことと面白さはそれほど相関性は高くないと思っています。足し算としての楽しさは十分に担保されています。

こんな人におすすめ

クラシックにノスタルジーを感じる人。強運の星の元に生まれ落ちた人。

ルールの複雑さ:4 out of 10 stars (4 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:4 out of 10 stars (4 / 10)
運の要素:8 out of 10 stars (8 / 10)
おすすめ度:5 out of 10 stars (5 / 10)
自分は好きですけ度:4 out of 10 stars (4 / 10)
タイトルとURLをコピーしました