フリーゼ初の鉄道ゲーム!線路を繋いでヨーロッパを駆け巡れ!(ヒゲ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
フリーゼ初の鉄道ゲーム!
線路敷設のルールを読んでピンと来たあなたは、なかなかのユーロゲーマー。
目的地の決め方が独特で面白いレースゲームと言った感じ。これは、とても良いフリーゼ。
ヒゲおすすめ度: | (7 / 10) |
NEZおすすめ度: | (7 / 10) |
Average: | (7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
フリーライドと類似ゲームとの比較。
2021年、フリーゼ新作『Free Ride』のご紹介です。
フリーゼ作品の中でいわゆる鉄道ゲームというのは今までありませんでした。このゲームのパッケージがアナウンスされた時には「ついにフリーゼが鉄道ゲームを⁉」とかなり驚いたのを覚えています。
というのも、鉄道ゲームは古くからあるゲームのジャンルでピックアンドデリバリーや株の要素などを含んだものが多くあります。
言い方を変えれば、すでにたくさんの手垢のついたジャンルです。(ちなみに私はそんな鉄道ゲームも大好きです)
これをフリーゼがどうアレンジしてくるのかが楽しみでもあり不安でもありました。
ルールが公開されると、まぁこれはフリーゼ作品にはよくある話なのですが、既存のゲームと似ているという話が必ず上がります。
今回も例に漏れず、『トランスヨーロッパ(アメリカ)』、『チケットトゥライド』辺りが挙げられています。類似点を述べた上で、Free Rideの独自性について触れていきます。
線路の引き方はトランスヨーロッパそのもの
まずは線路の引き方です。この部分については明確にトランスヨーロッパとほぼ同じです。
建設ポイントが2ポイント与えられており、これを消費して線路を引く。通常の線路は1ポイントで引けるがトンネル/フェリーの線路には1本引くのに2ポイントかかるという具合です。
どの線路を伸ばせるかについても、全く同じ。自分の列車コマがいる都市から伸びる任意の線路に接続している先に引くことができるという具合です。
出発地と目的地を繋ぐという目標はトランスヨーロッパ、チケライと同じ
トランスヨーロッパもチケットトゥライドも「A地点とB地点(+α)を線路で結んだら得点」という要素が含まれていました。Free Rideで目指していくことも基本的には同じです。
Free Rideの独自性
それでは本作Free Rideはどのような点が他と違うのかというと大きく分けて2点あります。
①線路で繋いだ上で、目的地まで列車コマを進める必要があること。
②出発地と目的地の組み合わせが固定ではなくランダムであること。
①の要素がFree RideをFree Rideたらしめている核になります。
ここで手番の説明をすると、プレイヤーは毎手番でA.線路を引く、B.列車コマを動かす、C.線路トークンを無料で5個獲得するのいずれかを選択します。線路を繋ぐところまでだった他2作品に対して、目的地まで列車コマを動かす必要があることで、効率のよい線路引きだけでなく列車コマの位置取りも重要になりました。Bの列車コマの移動の際に、他人の所有する線路を使うと1コインをそのプレイヤーに払わなければならないのも悩ましいです。
また詳細は省きますが新しい出発地‐目的地のカードを取るためにも出発地の都市に列車コマを移動させる必要があります。ここが他人とのインタラクションを増やした部分であり、非常にアブストラクトっぽく感じる部分でもあります。対戦相手の列車コマの位置を把握しておかないと、うっかり自分が取ろうと思っていたカードを先に取られてしまうこともあり得るでしょう。
つまり、①の要素によってプレイヤー間でのインタラクションと読み合いが発生します。ここがゲームシステムの柱となっていると言えるでしょう。
②の要素はランダム性の担保です。
チケライでは出発地と目的地が1枚のカードに書かれており、その距離や難易度に応じて得点が振られていました。トランスヨーロッパでは5つの地域のカードを1枚ずつ引くのでチケライと比べるとこちらの方がFree Rideに近い感じがあります。しかし、Free Rideの場合、出発地に行ってから目的地に行くというように順番が決まり、また新しいカードを取る場合にも縛りがあります。詳細はルールをご参照ください。
適度な運要素の追加とも言えますし、この要素がないとかなりアブストラクト寄りになっていたでしょう。
①、②の点を入れたことでどうなったかというと「手番での最大効率化を目指すゲーム」になったと言えます。前述の無料で線路トークンを獲得するというのは一見するとコインのコストがかからなくていいように思えますが、1手番をコストとしてかけていることになります。実はAの線路を引くアクションの中で1コインを支払うことでCと同じく線路トークンを獲得することができ、手番の圧縮になります。ただし1コインはゲーム終了時3点になるので、このバランスの見極めが重要になります。
何度かプレイして、他にも気が付いたことはありますが、これは戦略に関わる部分なので是非ご自身でプレイしてこのゲームの独自性を感じて欲しいと思います。
ベスト人数は4人。
欠点を挙げるとすると、慣れればサクサクなのですが、ヨーロッパの地理を知っている(都市名を聞いて大まかな場所が分かる位)かで初回プレイの時間は大きく変わると思います。 ある程度ヨーロッパの地理が分かっていても線路がどう接続しているかは確認しなきゃいけないですからね。実際、初回プレイは3人で2時間ほどかかりました。(箱の公称は55分)
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (5.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
NEZのレビュー
スタートとゴールが完全にランダムなのが新感覚な鉄道ゲーム。フリーゼが桃鉄作ったらこうなるのかも。
奇才フリードマン・フリーゼが送る鉄道ゲームです。ヨーロッパを周遊するのが目的です。奇才と言いましたが、フリーライドは至極全うでした。
ヨーロッパ周遊と言うテーマだけあって、ゲームの骨子は目的地カードに示されたスタート都市からゴール都市まで機関車を進めていく事です。ここで、フリーライドの面白ポイントなのですが、通常このスタートとゴールはあらかじめ1枚のカードで表現されていることが多い(チケット・トゥ・ライドなんかがいい例ですね)のですが、このゲームでは1枚のカードには1都市の名前しか書かれていません。では、どのようにスタートとゴールを決めるのかと言うと、ゲーム中に都市カードが3枚セットでいくつか公開されており、その中の上段と中段、または中段と下段のセットをピックする事でスタートとゴールを決めます。
さらにこの目的地の獲得はスタートとなる都市を通過したタイミングでフリーアクションとして獲得が可能です。目的地のセットは常に公開ですので、他のプレイヤーの位置取りや思惑を読む事が重要になってきます。「あれ、さっきまでロンドンあったよね?」「Aさんが目的地取った時に捨て札になったよ。」「えー!!狙ってたのにー!!」みたいな状況もよく生まれます。
さて、手番に出来る事ですが、基本的には線路を2本引く、もしくは機関車を決められた数だけ移動するのどちらかです。線路は都市と都市を繋げる事で専用路線となります。専用路線はそのプレイヤーであれば、無料で機関車が移動出来ますが、他のプレイヤーが通る場合は通行料を支払う事になります。一度、通行料が払われるとその路線は公共の路線に変わり、以降全てのプレイヤーがお金を払う必要が無くなります。お金自体も勝利点なので払いたくはないのですが、誰かが支払いをしないと自由に路線を使う事ができないままと言うのが辛いですね。
線路の中にはトンネルやフェリーなど、1手番で2本分の線路を要求される個所もあり、自分で路線を引くのか誰かが引いた路線を使うのかがとても悩ましいです。
ゲーム序盤では確保できる目的地は1カ所だけなのですが、ゲーム中盤になると2カ所の目的地を確保する事が出来るようになり、こうなると読みあいが加速します。「あそこの都市に行くから、途中でこの都市によって目的地確保して、その後ここに行って・・・」みたいな感じです。
勝利点は達成した目的地カードやお金がありますが、目的地カードは同じ都市は1枚目5点、2枚目以降は2点となっており、なるべく多くの都市を回るほうが得点効率がよくなっていますが、ゲーム中はなかなかここまで意識しながら動くのは難しかったです。
アクションもシンプルでやる事も明確なので、非常にゲームに入り込みやすく、それでいて考えどころやインタラクションもあるため非常に面白いゲームだと感じました。
ひとつネガティブな要素なのですが、やはりヨーロッパの地名だけだと、場所が分かりづらいですね。ここら辺は地域ごとに色を変えたりと言った場所を分かりやすくする工夫があると良かったなと思います。
LWIWってどこよ。
ルールの複雑さ: | (5 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6 / 10) |
運の要素: | (5 / 10) |
おすすめ度: | (7 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7 / 10) |