シャハトの代表作と言えば、これ!三人寄れば枢機卿。(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
This is ミヒャエル・シャハト。
マジョリティゲームの傑作。シャハトらしさ全開。ユーロゲームってこういうことだよ。
武骨なまでのエリアマジョリティに対して、カード運がちょうどいい味付けに。三人向けエリアマジョリティの傑作!
ぼくの思う「切れ味の良さ」を具現化しているゲームの1つですね。ルール量が少ないので、ゲーム初心者でも十分に魅力を感じられると思います。プレイ人数を変えて遊んでみましたが、やはり3人ベスト。
ヒゲおすすめ度: | (8.0 / 10) |
NEZおすすめ度: | (8.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (7.0 / 10) |
Average: | (7.7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
素晴らしき日本語版を出版/再販してくれたゲームフィールド様に…敬礼!
緑の狂信者をやっているせいで、大いに勘違いされることが多いのですが…私はしっかりした作りのゲームを好むボードゲーマーです。よって、本作の作者・ミヒャエル・シャハト氏の作品も非常に好きです。一番好きなのはParis Parisだけど、王と枢機卿も非常に好きなゲームです。
システム面の面白さは他のレビューアーがなんとかしてくれるので、まずはこのゲームの歴史についてでも話してみようと思います。2000年にゴールドジーバー社から発売された王と枢機卿は、2005年にChina、2014年にHan、そして2020年にkickstarter経由でIwariとしてリメイクされています。レビュー書いていて気が付きましたが、Chinaの背景の左側とHanの背景、全く一緒ですね。
比較的安価に手に入るのがChinaで、拡張マップもいくつか発売されています。リッチなコンポーネントでプレイしたければIwariを選ぶのもいいでしょう。しかし、2021年現在に再販がかかった本作の日本語版が一番入手性はよいでしょう。そして見てください。この日本語版のパッケージ。
それで私が声を大にして言いたいのは…この日本語タイトルのアートワーク最高すぎませんか?
元のドイツ語版の印象を崩さずに、全て日本語のタイトルにすることの難しさよ…それをやってのけてくれたゲームフィールド様には感謝です。
しかも、日本語版はマップが人数によって調整された両面仕様!2人プレイ用拡張も同梱!
シャハト愛に溢れた日本語版出版/再販に深い愛情を感じます…ボードゲーマー必携のゲームのうちの1つと言っていいでしょう。よほどの理由がなければ、日本語版1択です!
(なお、私はゴールドジーバー収集に憑りつかれているのでドイツ語版も持っています…)
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7.0 / 10) |
運の要素: | (4.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
NEZのレビュー
三人向けエリアマジョリティの傑作。相手の動きを睨み、出し抜け!!
ミヒャエル・シャハト氏の代表作と言っても過言じゃない傑作のエリアマジョリティです。よく3人で遊ぶと面白いゲームとして名前が挙がりますね(人数が増えると手番が回ってくるまでに盤面が変わりすぎてしまうので、確かに3人くらいが良いと思います)。
ヨーロッパを舞台に、修道院と枢機卿コマを配置していく事でマジョリティ争いを行います。手番には、手札のカードをプレイして、これらのコマをボード上に配置していきます。ボードは複数のエリアに分かれていて、1手番に複数のコマを配置する場合は同じエリアに置く事になります(置くエリアはプレイしたカードに書かれたエリアです)。修道院コマはボード上に修道院のイラストが描かれた場所に配置していき、枢機卿コマはエリアに描かれた紋章のところに置いていきます。
修道院コマの配置はエリアの空いている場所であれば、どこでも置く事ができますが、各配置場所は道で繋がっており、規定数以上自分の修道院コマが繋がっているとボーナス点が入る仕組みです。これはお仕事の予感ですね。
枢機卿コマは置ける数に捻りが効いていて、そのエリアに最も修道院コマを置いたプレイヤーの修道院コマの数だけ置く事ができます。例を挙げると、「エリア内にAさんの修道院が2つ、Bさんの修道院が1つならば、そのエリアに置ける枢機卿コマの最大は2つ」と言う具合です。枢機卿コマの得点は大きい事もあって、この配置できる上限は非常に悩ましいです。修道院コマを置けば置くほど、枢機卿コマのマジョリティが激しくなってしまうので、修道院のマジョリティにも勝てて、枢機卿でも勝負できるギリギリのラインを探っていく感じです。
決算はカードの山札が尽きたタイミングで発生し、最初の決算では修道院コマの得点を、そして山札を再構築した後で発生する2回目の決算で枢機卿コマと修道院コマの得点を計算します。
修道院コマの得点の計算では、エリア内で最も修道院コマを置いているプレイヤーはエリア内の全修道院コマの数だけ得点が入り、2位のプレイヤーには1位のプレイヤーの修道院のコマの数だけ得点、3位は2位の修道院コマの数だけ得点と言った具合に1つ上の順位のコマの数だけ得点が入ります。この修道院コマの得点があるので、1人でエリアにたくさんコマを配置していると、そこにちょこっと修道院コマを置くだけで1位と遜色ない得点が入ってきます。この如何においしいところを掠め取れるかの駆け引きが非常に面白いです。この駆け引きには前述の枢機卿コマの置ける数にも絡んでくるので、単純にたくさん置けばいいと言うものではないのがさらに悩ましいですね。
枢機卿コマは隣接した2つのエリアでマジョリティ争いに勝利していた場合に、2つのエリアに置かれた枢機卿コマの数だけ得点が入ります。隣接した2つのエリアと言うのがポイントで、隣接するエリアは複数あるので、1つマジョリティ争いに勝利すると、一気に複数のエリアが得点化する可能性が出てきます。一度、得点が入り出すと次々と得点が入るので、それを狙っての枢機卿コマの置き方がとても熱いですね。
カードをプレイして対応するエリアにコマを置くだけのゲームなのに、2つのマジョリティ争いがしっかりと絡み合っているので考えどころも多く、相手の思惑を読んだりする楽しさもあるゲームです。しかしながら、カードの引き運もあり思惑通りにならないところが程よい運の要素になっていて、1時間前後で濃密なエリアマジョリティが楽しめる傑作だと思います。確かに人数が多すぎると、次の手番が回ってくるまでにゲームが進み過ぎてしまう気がしているので3人くらいで遊ぶのがちょうどいいのかなと言う感想です。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7.0 / 10) |
運の要素: | (4.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
やすやすのレビュー
王と枢機卿って、どこにいるんだろう。どこにもいねーな。
のど越しとか切れ味って、よく分かんなくないですか?
ぼくもブログという他人に読んでいただくための文章なのに、ついついそういう意味不明な言葉を文中に使ってしまいます。ふわっとしてよくないですよね、反省。なので今回は、ぼくが考える「切れ味」の説明を通して王と枢機卿のレビューとしてみます。
ちなみに王と枢機卿の全コンポーネントには、その名の通りガッツリとした中世フレーバーのイラストが施されています。しかし実際のプレイ感には、その雰囲気がほとんど投影されていません。残念ながら「コマを置く・点数を入れる」という作業の最適解を探すゲーム、どうしてもそう認識しちゃいますね。日本語版のタイトルは王と枢機卿、(原語の)ドイツ語版もKardinal und König(王と枢機卿)となっていますが、それらよりは英語版のWeb of powerにこのゲームの本質を感じるかな~。
ゲームシステムが露骨に見えていて、自分の行動が盤面に対してどのように作用する(した)のかが分かりやすい、これが切れ味の特徴だと思っています。4に関しては、「今、自分はジレンマによる選択をしている」ということが感じやすいかどうか、がポイントです。近年のゲームももちろんジレンマたっぷりなんですが、それが分かりにくく感じることが多く、後になって「あの時の選択が岐路だったんだ」と判明しがちです。その点、王と枢機卿は切れ味が良い(というか切れ味しかない)ゲームなので、「おい、今おれジレンマじゃん」という刺激がビシビシ伝わってきます。
ゲーム時間はそれほど長くない(たぶんあなたが思ってるより早く終わる)ため、最序盤から終盤まで、気の抜けない闘いが楽しめます。もちろんカードの引き運がありますが、その塩梅が丁度良く、それがそのままこのゲームを傑作の域に高めた要因と言えますね。シンプルな仕組みに、絶妙なバランス調整が光ります。
秘匿情報はカードのみ、盤面や得点は見えているので、接戦を演出するために三国志的なトップ叩きをしていく必要があるとも言えます。そのため、実力が拮抗してるメンバー同士で遊ぶことが理想的。噛み合えば、繰り返し末永く遊べる定番3人向けゲームとして大活躍してくれることでしょう。
ルールの複雑さ: | (4 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7 / 10) |
運の要素: | (5 / 10) |
おすすめ度: | (7 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7 / 10) |