パパとママの遺産を引き継ぐことからワイン農場経営がはじまるワーカープレイスメント(かや)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
ややカード運強めのワーカープレイスメントながら、盤面がわかりやすくて楽しい
とにかくカードを引きまくるワカプレ。ワイン作るのめんどくさい人はカードを引こう!
フレーバーとシステムとが見事にマリアージュした、ミディアムボディなワイナリー(ワイン農家)経営ゲーム。ボードゲーム初級者にも安心して薦められる穏やかさ。
かやおすすめ度: | (6.0 / 10) |
えんづおすすめ度: | (6.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (7.0 / 10) |
Average: | (6.3 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
かやのレビュー
ワイン造りするかしないかで戦略が変わるワインゲーム
ワイナリーの四季を最初にプレイしたときは、ブドウ園を作ることだけでゲームが終わりました。序盤はワーカーも限りがあるので、ゆっくりとワインづくりが楽しめるかと思ったら全然そんなことはなく、思っていたよりも早くゲームが終わった、そんな記憶があります。
タイトル通り、春、夏、秋、冬の四季を通じて徐々にワイン農場を育てていきます。
このゲームでまず斬新なのは、パパとママの遺産を貰うことからスタートすること。それからルールによってはパパとママは選べます。悲劇からはじめるワイン造り、なかなかシュールです。
このゲームの面白いポイントは、以下の2つだと思います。
またブドウを植えるには植えるための施設を建設する必要があること、より価値の高いワインを醸造するにはセラーを拡大する必要があることなどテーマに沿った世界観があって楽しいです。
もちろん価値の高いワインやブドウほど高得点につながります。
資金を得るには畑を売却するアクションを踏むか、観光アクションといって観光客を呼んで資金を得ることができます。また、2ラウンド目以降、収入を上げていればお金が入ってきます。
得た資金で建築アクションを選べば好きな施設を建築できます。
もちろんワーカープレイスメント(以下、ワカプレ)なのでやりたいアクションを先にとられてしまうこともあるので順番が大切です。個人ボードと持っている手札は種類のみわかるので対戦相手が打ちたそうなアクションを自分も打ちたければ早めにやっておくほうがいいでしょう。
あとは、カードをどのタイミングで引いてくるかという問題と引けるのかという問題です。
これがこのゲームを楽しいと思うか、そうでないかの分岐点だと思うのですが、私はこの要素がなければこのゲームのリプレイ性も落ちてしまうと思います。ブドウカードを引いてきて、白ワインしか引けなかった時の悲しさ・・・!そして、出荷カードは赤ワインしかない・・・など。
でもこのゲーム、ワイン作らなくても勝てますからね。カード4枚捨てたら、2点とかそんな効果が発動するカードもありますんで安心してください。
うまくカードがコンボしなさそうだったら、戦略をシフトして20点まで別の方法で稼いでいくのみです。
訪問者カード、施設をどうやって回していくかカードを見ながら回していく、そしてワーカーを置いたり置かれたりして
そ、そこにワーカー・・・・置くよね~
と一喜一憂するのが楽しいし、どのカードを持ってくるのか、今やる必要があるのか、と考えるのが楽しいのです。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (6.0 / 10) |
おすすめ度: | (6.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
えんづのレビュー
遺産を駆使して点数稼ごう!程よい重さのワーカープレイスメント。
「ワイナリーの四季」の名の通り、春夏秋冬の季節を通してワインを作るワーカープレイスメント(以下ワカプレ)です。季節ごとに出来るアクションが決まっていて、季節の終わりに手番順を自分で選べるところが特徴的。
ワカプレではありますが、カードの引き運が結構物を言うゲームなので、ワカプレ初心者や計画性をもってワカプレやるのが苦手な人(わたし)にもおすすめできます。逆にきっちり戦術練ってやりたい人には物足りないかも。
そしてこちらのゲーム、2人プレイと3人以上ではだいぶやり方が変わります。プレイ人数によって使えるアクションが変わり、3人以上だとボーナスで点が入るアクションが増えるのでそこが結構プレイ感変わるなーと思いました。
プレイ感は変わるものの、何人でも楽しめる素敵なゲームです!ワカプレで5人以上でできるゲームというのもあまりないのでそこも高評価。
ルールの複雑さ: | (6.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7.0 / 10) |
運の要素: | (8.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8.0 / 10) |
やすやすのレビュー
華やかなワイン業界の裏側で、あくせく働く世襲農家の努力。
ワーカープレイスメントゲームで、疑似的農業を行うことはよくあると思います。しかし多くの場合、それは指定のマスにワーカーコマを置くだけ、たったそれだけで「食料」や「麦」や「ワイン」が手に入ってしまいます。これじゃ、ぜんぜん農業の辛さも楽しさも体験できないですよね。1資源を軽く考えるようなボードゲーマーに育ってしまいます。
しかし、このワイナリーの四季は、そういったゲームのリソースの1つである「ワイン」を作って出荷するまでをゲームにしています。農家の方が、たった1本のワインを作ることにどれだけ苦労しているかが垣間見えるのです。ボードゲーマーたちが次から次へと消費していく資源である「ワイン」、その裏側を舞台にしたゲームなのです。
ワーカープレイスメントゲームとしては比較的分かりやすく、終始プレーヤーが迷いにくくなっている工夫がされていると思います。複雑の大海に放り込まれて初心者がそのまま溺れてしまう、といった事故を減らす仕組みになっているかな。ゲーム終了までの見通しが良く、イラストの雰囲気やワイン造りというフレーバーも相まって、ワカプレビギナーにもおすすめできると思います。
かと言って簡単なゲームではありませんよ。資金やワーカーの管理は当然あり、カード引いて効果を適用したり設備を建築したり、もちろんメインとなるこだわりのワイン造りも行うため、構成要素は幅広いです。しかしそのメカニズムを「ワイン造り」というテーマに非常に上手く落とし込んであるため、どのアクションにも具体的イメージが伴い、お陰でシステムやルールがプレーヤーの頭にスムーズに入ってくるのです。
特殊カードの強弱に差があるので、運要素が高いと判断されることもあります。そのためボードゲームのベテランプレーヤーや、カード運を嫌う人には拡張セットを加えてプレイすることを強く勧めます。
しかしそうじゃない人にとっては、基本ゲームで十分楽しめるはずです。展開が遅めの牧歌的な雰囲気の中で、ワイン造りを楽しんでみてください。ワイナリーの四季は、幅広い層に受け入れられる和やかで分かりやすい定番ゲームのひとつだと思いますよ。
ルールの複雑さ: | (7.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (6.0 / 10) |
運の要素: | (7.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (7.0 / 10) |