シンプルなルールでありながら、二重に仕掛けられたエリアマジョリティと収入のバランスに頭を悩ませる名作中量級ボードゲーム。(NEZ)
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
ラウンド収入と得点化のバランスを如何に取っていくかが悩ましい中量級エリアマジョリティの名作。リメイク元の胡椒袋も気になっちゃう!
マジョリティ争いを、上手くフレーバーに落とし込んだ出色のゲームですね。「胡椒袋」は未プレイで比較できませんが、「フランチャイズ」はインターフェイスに気が利いていて、プレイして小気味良いゲームだと感じました。
NEZおすすめ度: | (7 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (7 / 10) |
Average: | (7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
NEZのレビュー
都市と地域が奏でるエリアマジョリティの二重奏。収入を捨てて得点化に踏み切るタイミングが悩ましい中量級の傑作。
アメリカを舞台に各都市への企業のフランチャイズ展開がテーマのゲームです。
ゲームのシステムはエリアマジョリティとネットワークビルディング。
特にエリアマジョリティは各都市のエリアマジョリティに加えて、地域ごとのエリアマジョリティも競う事になる二重のエリアマジョリティ争いとなっています。
都市でマジョリティ争いに勝利すれば、その都市の得点を獲得できますが、地域でのマジョリティ争いでは少しだけ不利になるようなデザインがされているため、最後まで気の抜けない展開になります。
各都市の役割はマジョリティによる得点に加えて、収入も担っており、都市に店舗が少なければ少ないほど手番開始時の収入が増えます。大都市にいち早く進出し、しばらくは高めの収入を維持しつつ、他のプレイヤーの店舗が進出してくる気配を感じたら、店舗を増やしてマジョリティを取り、得点化にシフトしていくと言った具合で、したたかな戦略が求められます。
基本的にはお金がカツカツのゲームなので、収入を捨てるのは本当に惜しいんですけどね!
ネットワークビルディングに関しても、相手の通りたい場所を事前に押さえる事で、その先への進出を妨害する事ができるので、毎手番、どこへ進出するのを優先していくのかが悩ましいです。
手番に出来る事も、収入を得る→隣接都市に店舗を作る→店舗のある都市に追加で店舗を置く→決算くらいのシンプルさ。資源もなく、必要なのは隣接都市への展開や追加で店舗を置く時に必要なお金だけ。
ゲーム自体も2時間かからず、それでいて非常に考えどころの多い傑作です。ただ、準備の段階で都市の得点をランダムにする選択ルールを適用した場合に、若干配置の運はあるかもしれませんが、ゲームが始まれば運の要素はほぼないところは、好みが分かれるかもしれません。
ルールの複雑さ: | (5 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (8 / 10) |
運の要素: | (2 / 10) |
おすすめ度: | (7 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8 / 10) |
やすやすのレビュー
マジョリティゲームのマジョリティ争いに勝ち残るであろうマジョリティ界の名作の予感。(再販してないからマジョリティとれてない)
このゲームについては、先にネガティブなポイントを書いてみます。マジョリティゲーム全般に対しての印象なのですが、「フランチャイズ」はその他の部分の出来が素晴らしいように感じているので、特に気になってしまった、というポイントです。
それは、「上位プレーヤーにとっては見通しが良く、下位は中盤からの逆転が難しい(っぽく見える)」です。見通しが良くないとマジョリティゲームはやってられないし、コツコツ積み立ててマジョリティを獲得したのに後出しで逆転されたらガックリなので、これはもうシステム的に当然のことではありますよね。
「拡大非生産」とでも呼べるほど、拡大するたびに苦しくなる展開が持ち味のゲームです。つまりこれが、ゲーム的に盤面を支配している(トップの)プレーヤーの足枷として機能するわけですね。このこと加えて、得点化すると収入が下がることや、エリアマジョリティを決定させる一手にはボーナスが付くこともあり、ゲームの収束性が抜群に良いのも「フランチャイズ」の大きな特徴でしょう。
つまり「得点化」をしたい上位も、「おこぼれ」が欲しい下位も、おおよそのマジョリティが決まり始める中盤以降に、慌ててゲームを終わらせにいくことになるわけです。そのため、ぬるプレーヤーが「よし、ここから追いついてやる」と気を引き締めた頃に、すでにゲームが終わる直前になっている、ということがあり得るわけですね。まぁ…ぬるプレーヤーは自分が悪いので、ゲームのせいではないぞ。
マジョリティシステムを上手くテーマに落とし込み、ポップなアートワークと気の利いたインターフェイスで、切れ味抜群のゲームとなっているように感じました。インタラクションがしっかりあり、勝って嬉しく負けて悔しく、勝因も敗因も明確で気持ちの良い体験ができるゲームです。ボードゲームを遊び始めてしばらく経過したプレーヤーたちで卓を囲んだら、きっと記憶に残る最高のせめぎ合いができることでしょう。
ルールの複雑さ: | (6 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (7 / 10) |
運の要素: | (2 / 10) |
おすすめ度: | (7 / 10) |
自分は好きですけ度: | (8 / 10) |