拡大再生産+パズルと言う斬新な組み合わせ。マスターアクションを極める者がゲームを制す!初めての方にもうってつけの新定番。NEZ
ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値
『宝石の煌き』+『ウボンゴ』と評される期待のライトゲーム。
果たして定番になりうるか?
これでもかと言うくらい、パズルを前面に押し出した拡大再生産。新たな定番ゲームとしてのポテンシャルは充分!
たしかにこれは、すごくすごい定番ゲームになり得そう。テーマ性を廃してることにより、老若男女ワンニャン問わず手に取れるゲームになっていますね。
ヒゲおすすめ度: | (5.0 / 10) |
NEZおすすめ度: | (7.0 / 10) |
やすやすおすすめ度: | (8.0 / 10) |
Average: | (6.7 / 10) |
各レビュアーによる個別レビュー
ヒゲのレビュー
色々と”2021年のゲーム”的な要素が多い。これからの定番になるか?
ルールやシステムについてはあとの2人に任せるとして…
このゲームの持つよくも悪くも“2021年のゲーム”っぽい感じというのを自分なりに言語化してみます。
前提として、いいゲームだと思いますが、ちょっと私の好みとは違うかな、という感じ。
まずはコンポーネントについて。ここは良い点。
パズルで使用するピースはカラフルなプラスチック製で、見た目の華やかさに一役買っている。
パズルをするボードの方も黒を基調とした”すっきりとしたデザイン”。箱絵も潔い。
このあたりはキックスターター発のゲームであることが1つ大きな要素として働いていると思う。
コンポーネントが地味なゲームは、キックスターターでは好まれない。(主観です。)
木製キューブで全てを表現しているひと昔前のゲームとは満足度が違いますよね。
次にゲーム性。ここは好き嫌いが分かれる点。私は嫌いというほどでもないけど、好きではない。
ゲーム性において、2021年のゲームっぽいと感じるのは”インタラクションの薄さ”です。
ゲームプレイにおいて基本的には自分の前にあるパズルを解く/考える時間が大半を占めると思います。
もしかして、慣れてくると他の人のパズルの状況をみてプレイするなんてこともできるのかもしれないですが、他人のパズルに干渉するようなインタラクションはほぼありません。
2021年現在、インタラクションは薄いゲームが好まれる傾向にあると感じるので、トレンドにあったゲームと言えるでしょう。(私はオールドユーロ好きなので、もうちょいインタラクションが欲しかった)
最後に、ルール。ここは悪い点だと感じるところです。
日本語版が発売されましたが、どうやらこれは原語の初版ルールだそうです。
原語の2版からはバランス調整が入ったルール、および様々なヴァリアントが記載されたルールに改訂されています。
入稿の関係、印刷のスケジュール関係など色々な事情はあると思います。ただ発売からさほど時間が経っていない間に、ルール改訂が行わるという点に版元の“デベロップ不足”を感じます。
細かいことを言い始めれば、現在流通している日本語版におけるゲーム終盤のタイル獲得ルールや
”最後の仕上げ”ルールに粗さを感じます。この終盤のルールがごちゃごちゃしてて、せっかくここまでのゲームプレイはアートワーク同様スッキリしてるのにもったいない。(2版ではここは改訂。)
プロジェクトLに限らずですが、データで改訂ルールを出す/拡張出すときに改訂ルール&タイル付けるという対応で済んでる気がします。あえて言葉を選ばずに言えば、未完成品を買わされている気持ち。
誤解のないようにいいますが、翻訳を出版している日本のメーカーを責めているのではなくて、ゲームの出版元に対しての話です。ここは残念に思ったところですので厳しく書かせてもらいます。
プロジェクトLは、ありそうでなかったアイデアのパズルゲームの新しい形だとは思います。
それ故に、もっと練り上げてからの出版をしてほしかったという思いを込めて現状評価は低めです。
ルールの複雑さ: | (5.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (3.0 / 10) |
運の要素: | (5.0 / 10) |
おすすめ度: | (5.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (5.0 / 10) |
NEZのレビュー
ノンテーマでパズルを前面に押し出した拡大再生産と言うちょっと珍しい作品。シンプルなデザインでコンポーネントもグッド!
パズルをメインに押し出した珍しい拡大再生産ゲームです。
通常の拡大再生産のように、パズルを完成させる事で、資源やお金の産出量が増えるわけではなく、使えるパズルのピースが増えていくのは面白い発想だと思います。
常に「このパズルを完成させたら、あのピースが手に入るから、それをここにはめて…」と考えながら、次を見据えてパズルを選んだり、ピースをこねくり回していくこと感じになります。
パズルがメインなので、ソロプレイ感はありますが、場に並んだパズルは早取りなので、全くプレイヤー間のインタラクションが無いわけではありません。
このゲームの面白さの1つにマスターアクションがあると思います。
マスターアクションは、手番に1度手元のパズルに1つずつ手持ちのピースをはめる事が出来る特殊なアクションですが、これが上手く決まるととても気持ちいいです!
ルール量、プレイ時間共に、初めてボードゲームに触れる方が最初に遊んだり、家族で楽しむにはちょうど良いのではないかと思いますが、逆にボードゲームを良く遊ぶ方にはちょっと物足りなく感じるかもしれません。個人的には、ゲーム勘のある方なら、何回か遊ぶ事で最適解を導きだす事が出来るのではないかな?と感じました。
ちょちょいと気軽に遊ぶ分には面白いですよ。
ルールの複雑さ: | (4.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (5.0 / 10) |
運の要素: | (5.0 / 10) |
おすすめ度: | (7.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (6.0 / 10) |
やすやすのレビュー
『L知っているか パズルしか 遊ばない ゲーマーは 頭がいい』
もしかしたら、自分史上、最大級に幅広い人に薦められる無難なゲームが登場したかもしれないです。全人類に対して「とりあえずやってみようか」って言える(わけない)。
多くの方を楽しませている「宝石の煌き」というゲームがあります。拡大再生産というジャンルに位置し、初心者から上級者まで幅広い層に受け入れられた、数多のファンを獲得している名作です。
しかしぼくにとって「宝石の煌き」は、進んで遊ぶほどの楽しさを持っていませんでした。その理由の一つが、「獲得したカードに描かれた宝石は、その後の支払いで減らない資源として使えるようになる」というルールです。もちろんこれが拡大再生産の基本であり、よくあるシステムということは分かります。
しかし頭で分かってはいても、ぼくは「後から支払いに使える減らない資源?」「それは何?どういうこと?」という疑問が駆け巡り、どうにも抽象的な行為に感じてしまうみたいです。どうやらぼくは、ゲームのテーマで説明されにくい現象を見つけると、世界観に没頭できなくなる症候群の世界初の患者のようです、とんでもねー奴だな。
テーマ上の役割を説明されていない資源を頭の中だけで数えることになぜか違和感
一方、このプロジェクトLは、初めからテーマを持たないパズルです。「宝石の煌き」のように、『パズルじゃないです』っていう顔はしていません、パスポート用の写真からして、堂々とパズル。
「獲得したカードに描かれた宝石」に該当するものは、このゲームでは現実のパズルピースという形で、手元にやってきます。目標として組み上げるべきタイル図形もピースを物理的に動かして検証できるため、ここの(自己満足上の)納得感みたいなものがぼくの探知機をすり抜けさせ、プロジェクトLは楽しむための理解までのスピードが、飛躍的に速かったのです。
ということで、できること・やるべきこと・楽しみのポイントが明示的であり、ボードゲーム初心者さんや、パズル系のゲームを苦手と感じる方にとっても、ほぼ間違いなく受け入れられ楽しめる作品になっていると思います。これほどの幅広間口ゲーは、なかなかないのでは…。
ただし、パズルゲームとしてはかなり厚みが薄いように感じますし、拡大再生産のボードゲームとしてもシンプルで物足りないと思いますので、ヘビーゲーマーを満足させたり、深い達成感を得たりすることは難しいでしょう。
ルールの複雑さ: | (3.0 / 10) |
プレイヤー間の駆け引き: | (4.0 / 10) |
運の要素: | (4.0 / 10) |
おすすめ度: | (8.0 / 10) |
自分は好きですけ度: | (5.0 / 10) |