第019回
~フィステーラより~
「再生の道、0㎞地点の大陸の果て」
・サンティアゴ・デ・コンポステーラから85㎞先の「地の果て」
・雨と風の中、何もない道をただひたすら歩く
・巡礼を始めてから、初めて目の前に広がる海を望む
・フィステーラで行われる巡礼者の行いとは
・サンティアゴ・デ・コンポステーラからの道はポンチョが大活躍!
・ひっそりとしたフィステーラへの道、カミーノを振り返る道
・こじんまりとした恐怖のアルベルゲ
・ゆきーたのフィステーラへの想い

2014/06/30 ゆきーた
昨日は、Santa Mariña (Maroñas)のアルベルゲに泊まった。
最初に見つけたアルベルゲは新しかったけど12€。
同じ村にもう一軒アルベルゲがあると知っていた私たちはそちらの宿の方が
安いのではと考え、更に進んだ。
村はずれに、信号もない1本道の道路。
そこに1軒の大きくて古いバル。
私たちが「ここかなあ」とのぞいていると、バルから女性出てきたので
聞いてみた。値段は10€。
じゃあここにしよう、ということでチェックイン。
そのバルが受付になっていて、アルベルゲはそのすぐ隣にある一軒家。
どうやら空き家をそのままアルベルゲにしているみたい。
なんだかカビ臭いけど、掃除は行き届いていてキレイ。
1階に2段ベッドが2台ある部屋が1室。
2階は屋根裏部屋みたいな感じ。
でも1段のベッドが6台。バスルームもある。
バスルームの前に大きくて重たそうな木箱が1つあり、ふたがあいていた。
私たちは2階を選び、その後、顔見知りのドイツ人青年が一人来て、巡礼者は3名となった。
0時過ぎくらいに消灯。
よく考えたら、玄関に鍵がなかったな。
開けっ放しか・・・田舎とはいえ、ここはスペインだよーと思ったけど、
階段上ってすぐのベッドに体の大きな青年が寝ていたので、
彼が防犯になってくれると信じることにした。
しばらくするとアルベルゲの外で飼っている犬(シェパードみたいな大型犬)がものすごい勢いで吠えだす。
今まで巡礼上で見かけた同類の犬たちは、私たちを見つけると吠えまくっていたけど、
ここの犬は、私が近づいてもこちらをチラリと見るだけで全く吠えなかった。
あの犬が吠えたのは、ここに着いてから初めて。
犬の鳴き声はなかなか止まない。
ロミーも「なんかおかしくない?」と言う。
ドイツ人も気になるようでゴソゴソしている。
見に行ってみようかな、と思ったけど、やめた。
そのうちおさまるかな、と。
その後、ロミーの寝息。
犬の鳴き声は止んだし、そろそろ眠れると思った頃、
1階に誰かが入ってきた気配。
その後、少し歩いて階段を上ろうとしてやめる、ような音。
ドイツ人も気にしている様子。
えぇー泥棒?なに、めっちゃ怖い。
そのうち静かになって、ドイツ人はイビキをかいている。
そろそろ眠れるか、と思った頃、また犬が吠えだす。
こんなに人通りのない、道路に面してるだけの宿、夜中に誰が来るわけ!?
そしてまた1階に人の気配。
なぜか突然、カラーーーーーンと音を立ててペットボトルが落ちる。
誰も動いていないのになぁ・・・気のせいかなぁ・・・
そーいや寝る前にロミーと話していたことを思い出す。
2階に上る階段の途中、壁に飾ってあった仮面。
イタリアの祭りでありそうな、ピエロみたいな仮面が2つ。
そして怪しいあの大きな木箱。
「あの木箱なんで蓋開けてあるんだろ、
もしかして夜中にあの仮面が箱に戻るとか!?」
「じゃ、蓋閉じたら戻れなくなるから、蓋開けとこうかー」
箱の後ろにコンセントがあったので箱の蓋を閉じて、
そこに携帯を置いて充電していた私たち。
冗談でそんなことを話し、蓋を開けておいた。
「やっぱり一時的でも箱の蓋閉めてらいかんかったんだろうか・・・」
眠れないのでそんなことを本気で考えてしまう。
このかび臭さが、余計な想像を更にかきたてる。
そういえばアルベルゲの女性が私たちを案内したときの第一声が気になったな。
「カミーノは初めて?」
なんでいきなりそんなこと聞いたんだろう。
リピーターならここは怪しいって有名なのかな・・・
目に見えぬものへの恐怖や泥棒への恐怖と戦っていたら、
いつの間にか眠っていた。
翌朝、歩きながらロミーに話す。
「昨日、人が入ってきたような音がしてさ。」
ロミーも気づいていたらしい。
「私は刃物で刺されることをイメージしてたよ。」
そうなんだ。てっきり寝てるのかと思ってた。
ロミーはペットボトルが落ちたことも知っていた。
更に、犬を飼っているロミーは、
「飼い主にあんなに犬が吠えるわけないよ」と。
そうか。
では、オスピタレロが夜中に見回りにきたのかも?なんてことも
想像してたけど、それも違うみたいね。
朝、1階に行ったら玄関の扉が少し開いていた。
最後に入ってきたのはドイツ人青年だったから、
彼がしっかり扉を閉めなかっただけ?
彼は私たちが出発するときまだ眠っていたから謎のまま。
少人数の家庭的なアルベルゲもいいけど、もうあんな怖い思いは嫌だ。
今日のCeeのアルベルゲは同じ部屋に20人以上。
この方が私は安心。
個室も当分避けたい。
2014/06/20 ゆきーた
巡礼37日目
Portmarin(ポルトマリン)
今日からペレグリーノ(巡礼者)がものすごく増えた。
きれいなリュックにきれいな靴。
気持ちも高ぶってるみたいで「Buen camino!」と言われることもまた増える。
37日前の私だな。
サリアからは団体巡礼者が増えた。休憩中もビールを飲んで楽しむスペイン人巡礼者
サン・ジャンから出発した人達は途中皆疲れた表情をしていることが多く、
声をかけあうことは前半より減ったけど、今日からまた新しい仲間が増えた。
公営アルベルゲは若者も多い。
中高生くらいの子たちが団体で参加しており、部屋の中はコソコソ話の声と笑い声が響いている。
この空気の違い。
最近思うのは、ペレグリーノは一種の観光客とされている、ということ。
基本的にアルベルゲやオスピタレロはボランティアや寄付で成り立ってるらしいけど、バル併設のところはどうなんだろ?
観光地の宿みたいに客の呼び込みみたいなことをしているところもある。
本当に宗教心が強くて巡礼をしている人もいれば、友達作りの場としている人や、運命の人との出会いを求めている人もいる。
私が想像していた巡礼とはちょっと違うみたい。
でもこの巡礼路が世界遺産になったことで観光客が増え、この国の経済に役立っていることは確かだろうしいいことなんだろうなぁ。
ただの観光客となるか、出会いを求める若者となるか、本当の巡礼者となるか、それは気持ちのもち次第なんだろうなぁ。
私にとっての苦行・・・歩くこと、団体生活、英語。
あと少し、がんばろー!
2014/06/19 ゆきーた
巡礼36日目
Sarria(サリア)
今日はついにサリア。
巡礼証明書は残り100㎞の道のりを歩いても発行されるのでここから始める人も多いらしい。
そしてここから巡礼者が一気に増えるのでアルベルゲも増えるし、値段も上がる。
ガリシアはチーズも豊富。言葉もガリシア語に変わった
サリアの公営アルベルゲは6ユーロと安いけど40ベッドしかない。
しかもキッチンはあっても食器や調理器具がない。
ガリシアに入ってからそういう公営アルベルゲが多い気がする。
今日は7:30に出発して15時過ぎに着いたので、公営は満室。
なので私営の10ユーロのアルベルゲへ。
でもいい匂いがするし、バスタオル付き。
キッチン器具も整っている。
シャワー2つでトイレ一つっていうのが気になるが・・・。
トイレはあまり重要じゃないみたいだね。
ここからサンティアゴまであと1週間。
最近歩くことがおっくうでなかなか進まず、朝も起きれない。
景色を楽しむこともあまりない。
今日、セレブのうえちゃんが「あと少しで終わりだね。淋しいけー」
と言っていた。そうか、そういえば巡礼が近づくと淋しいって誰かが言ってたな。
私は早く終わりたくて仕方ないよ。
日本に帰りたいのではなく、早く巡礼生活から抜け出したいよー。
2014/06/17 ロミロミ
巡礼34日目
O cebreiro(オ・セブレイロ)
ガイドブックによるとフランス人の道の最後の難関とされているオ・セブレイロ峠。
上り坂が続くけど、それでも途中にバルがあったりして休みながら登った。
アルベルゲ争奪戦!バックパックで順番待ち
今思えばピレネー越えの時はバルもなかったし、一日で登りも下りもあったから、やっぱりあれは過酷だったんだよ!
今日もみんな別々にアルベルゲを出発したけど、途中でゆきーたに会い、そして神夫婦も合流。
4人一緒に巡礼路上の最後の州となるガリシア州に入った。
今日は出発から4時間かからずに到着。
ピレネー越えよりもすごく楽に感じた。今まで歩いてきたことで体力がついたのかな。
そうであって欲しいな。
多分10㎏はあると思われるバックパックの重さも気にならなくなってる。
ガリシアはプルポといわれるタコ料理が名物。みんなでガリシアに入ったら食べたいねって話してた。
魚介類も多い地方だ。早速オ・セブレイロに到着したらみんなでランチに出かけてプルポを堪能!
プリプリのタコ、おいし~い!!
村の中も散策。ガリシアは今までとは雰囲気が変わってケルト文化の雰囲気がある。また新しいスペインを発見した。
州によって国があると言われている理由がよくわかる。今まで自分が見てきたスペインとはまた違うのだ。
この村ではバグパイプを使った民族音楽も流れてきて、前に行ったスコットランドを思い出していた。
家の雰囲気も石作りのような感じ。
今日はこの峠の頂上の村に泊まる。でもアルベルゲは少ないからベッドは争奪戦!!
バックパックを置いて列を作ってアルベルゲのオープン待ちをする。
ここは雲海が見られる場所と言われている。
夕方、山の間に沈む太陽が空を一面ピンク色に変えて、どんどん紫色へと変化していった。
今夜はゆきーたは星を見たいって夜空を待っていた。
だけどスペインの今の季節はなかなか暗くならない。消灯時間だってまだ真っ暗にはならないから、
ゆきーたはずっと空が真っ暗になるのを待っていたね。
2014/06/08 ゆきーた
巡礼25日目
Leon(レオン)
昨夜なかなか寝付けず、眠いままレオンに向かう。
歩きながら「あー疲れた」「もう歩きたくないよー。」など独り言が多い。
レオンで二泊することになってるけど、一泊で去ろうかなぁ・・・1度1人になってみようかなぁ、などと考えたり・・。
矢印を見失いながらもレオンに到着!
レオン手前で疲れがピークに達し、橋の前の広場にあった木陰のベンチで休んでいた。
そしたらロミちゃん元気に登場。
少し一緒に休む。
その後、私の悩みについて話しながらレオンに入る。
話に熱中しすぎて街の中の矢印を見失い、迷いながらアルベルゲへ。
都会の矢印は見落としやすい。
道中、最近見かける日本人女子の話になる。
あまり群れにならないような印象なので声をかけてよいのかわからない。
ロミちゃんは昨日の宿で少し話したらしい。
じゃあ今夜ディナーに誘ってみようか!と2人で計画を立てた。
お昼は韓国人のBDさん、うえちゃん、ロミーと私でバルへ。
都会のバルは物珍しいものが出てきて見た目も楽しい。
BDさんにハングル文字を教えてもらったり、みんなで楽しく過ごした。
それにしても、うえちゃんはすごい。
ほぼ日本語のみでBDさんや他の外国人とも交流できている。
BDさんは最初少し厳しい印象があったけど、気さくなうえちゃんのおかげもあり、笑顔を見せてくれるようになった。
BDさんは「うえちゃんと会う為にカミーノに来た。」とまで言っていた。
そしてその後皆でカテドラルへ。
ステンドグラスが美しい。
スペイン三大カテドラルの一つ、レオンのカテドラル。
きちんと歴史の勉強してたらもっと楽しいのだろうな。
ぽかんと口を開けたまま、見学。
アルベルゲに戻ると、私の隣のベッドにはなんと話題の日本人女子。
こんなに大容量のアルベルゲで!
運命。
話しかけてみる。
反応いいな。
意外と話してくれるかも?
「こんなこと聞いていいですかー?」なんて言いながらグイグイ質問した。
彼女の名前はエリさん。
英語とフランス語が話せて、自然が好き。
そして単独行動を好む。
ロミちゃんも会話に参加。エリさんをディナーに誘うも彼女は明日また出発する予定なので遅い時間は避けたい様子。
そらそうだ。
その後、ひとまず私達は二泊目のアルベルゲの予約に出かけ、早い時間からやっているバルをチェックし、エリさんを誘った。
「コーヒーなら飲めるよ。」と言ってくれたので、3人でアルベルゲ前のバルへ。
エリさんは元々カナダにいて、その後フランスへ。
とにかく山や自然が大好きで「地図見てて、緑色のところがあったらここに山があるな、と思って行ってみる。」
と言っていた。山登りだけでなく、ハイキングしながら景色を見るのが好き。
おもしろい話が出てくる出てくる。
恐る恐る、私達の番組にゲスト出演して欲しいとお願いしたら、なんとかOKをもらうことができた。
収録終了後も、女子3人のお喋りは続く。
「ヒッチハイクでカナダを横断したことがあって・・・」
そんな話もあったの⁉
すごい人がいた。
えりさんの格言。
「生きて帰る。」
明日出発するエリさん。
私達の数倍健脚だから、きっともう巡礼路上では会えない。
淋しいなーなんて言ってたら、
「生きてたらまた会えるでしょ?今日で最後とは限らないよ。」
その言葉を信じて、私のメールアドレスをエリさんのノートに書かせてもらった。
エリさんは自由が好きだし、私から一方的にメールをするのは良くないと思ったから、エリさんの連絡先は聞かなかった。
きっと連絡をくれるはずだ、と信じて待つことにした。
2014/06/03 ロミロミ
巡礼20日目(休息日)
Carrion de los Condes(カリオンデロスコンデス)
今日は歩かない日。今まで毎日毎日歩き続けてきたけど、やっと休める。
基本的に同じアルベルゲには連泊できないので、同じ街だけど違うアルベルゲに移動した。
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2014/05/31 ゆきーた
巡礼17日目
Hontanas(オンタナス)
やっと嫌いなアルベルゲから脱出。
最近疲れがたまっているのかイライラしてしまうことが多い。
昨日の女宿主もそう。
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