カタン / Catan

レビュー記事
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デザイナー:Klaus Teuber
アートワーク: Michael Menzel
出版社Catan, GP(cited from)
参照 BoardGame Geek

25年経った今でも唯一無二の存在、カタン。ヒゲ

ボドゲレビュアーズによるオススメ度の一覧と平均値

ヒゲ
ヒゲ

1995年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作品。言わずと知れた有名ボードゲーム。
おうちのボードゲーム棚にもあるのではないでしょうか?

NEZ
NEZ

あります。ボードゲームを始めるきっかけがカタンでしたと言う人も結構いるんじゃないかな?かく言う僕もボードゲームとの馴れ初めはカタンでした。

やすやす
やすやす

遊んだことはなくとも、名前を知らない人はいないかもしれませんね。これはパブリッシャーさんだけではなく、愛好家さんたちを含むボードゲームシーン全体の力で、長年にわたり盛り上げてきてくださった成果ですよね。

ヒゲおすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
NEZおすすめ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
やすやすおすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
Average:5.7 out of 10 stars (5.7 / 10)

各レビュアーによる個別レビュー

ヒゲのレビュー

25年前の衝撃に思いを馳せる。

まずは、私のボードゲーム歴は7年目(2021年現在)。諸先輩方と比べると日が浅いひよっこだと思っています。つまり、私はリアルタイムでカタン(最初はカタンの開拓者か…)の登場の衝撃というものを感じていない人間です。なので、ここで1995年にカタンってゲームが出た時はすごかったんだ!…という話はできません。

もう一つ。私はいわゆるユーロゲームが好きなタイプのゲーマーです。
ついでに言えば、2000年~2010年前後のちょっと昔のユーロゲームが好きです。

いわゆる最先端のゲームのトレンドをバリバリ追いかけているタイプのゲーマーではありません。

そういうちょっと偏ったゲーマーである私の目線から見ても、カタンというゲームは発売から25年経った2021年にも『唯一無二のゲーム』だということを書き記しておきたいです。

カタンはボードゲームの歴史を語る上で非常に重要な位置づけのゲームだ、ということは概ね皆様に同意していただけると思います。
しかし、カタンというゲームが発売されて、その後『カタンみたいなゲーム』って出てきたのでしょうか? ここでいうカタンみたいなゲームというのはカタンと類似のシステムを持つゲームという意味で私の知る範囲では、答えはノーです。(無知なだけともいう) 

ドミニオンが発売され、その後ドミニオンクローンがたくさん発売され、約10年の時を経ても、デッキ構築というシステムは改良され、いわゆるフォロワーを多く生み出しています。
エポックメイキングなゲームが登場するとそのフォロワーが生まれ、そのシステムが成熟していくものだと思います。(結局原点が一番面白い的な例外はもちろんある。eg.バッグ構築のオルレアン) 

直接交渉+ヘックスタイルによるモジュラーボード+領土拡大による得点…ざっとこのくらいがカタンをカタンたらしめていると思うのですが、ボードゲームをたくさん知っていってもシステム面で『カタンみたいなゲーム』『カタンフォロワーのゲーム』って出会ったことがないように思います。

ボードゲームの歴史を語る上で『カタン以降』という言葉はよく使われますが、これは『類似ゲームを生み出した』というよりは『複雑なルールのゲームがメインストリームに登場した』という意味合いが強いと思っています。

数多くのゲームが出版されている現代において、これほど長い時間を経てもその独自性が色濃く感じられるゲームって本当に数えるほどしかないと思います。

ボードゲームの代表格としての地位を確立しながらも、唯一無二の存在であるカタン。改めてやってみませんか?

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
自分は好きですけ度:4 out of 10 stars (4.0 / 10)

NEZのレビュー

子供の頃から抱いていたボードゲームと言う物の概念を覆した革命的な作品。

僕は『ボードゲームと言えば?』と問われれば、人生ゲームなどのすごろくが真っ先に浮かぶ世代です。それ故に初めてカタンを遊んだ時は衝撃を受けました。

ダイスを移動に使わない、10点を集めると言う目的、そして資源を集め、それを元手に開拓を進め、進めることでさらに資源を獲得する所謂「拡大再生産」と言うシステム。全てが新鮮だったのを覚えています。
特にゲームの中で、実際にプレイヤー同士がコミュニケーションを取り合い、資源の交換をすると言うのは本当に目から鱗でした。

ブラボー。

カタンを遊んだ事が僕の人生のターニングポイントだった事は間違いありません。

さて、その当時はその魅力にどっぷりと浸かって夜な夜な遊んだものでしたが、今はどうかと言う話です。カタンは得点を獲得するための道筋が分かりやすく、カードの種類も多くはないので、比較的ボードゲームの経験が少ないプレイヤーでも、ルールに対する理解は問題ないように感じます。

しかし、資源のやり取りを行う交渉や、家や都市の配置などテクニックを要する部分が多くあると思います。特に交渉に関しては、慣れていないプレイヤーが上手く丸め込まれてしまって、不利な交渉に応じてしまう事がままあります。

交渉ゲームと言うもの自体が、プレイヤーにバランスを一部投げているシステムで、それを上手くコントロールする事が交渉ゲームの醍醐味だとは思いますが、その反面ゲームに慣れているプレイヤーとそうでないプレイヤーで実力差が大きく出ると言うのが弱点で、交渉をメインにしているカタンもまたそれが如実に表れると感じています。

個人的にはシステムの分かりやすさと目新しさから、ボードゲーム初心者の方でも楽しんで頂ける作品だとは思います。しかし、実力差が出やすいゲームである事から、初心者の方が遊ぶ場合は出来る限り同じくらいの経験値の方同士で遊ぶ事をお勧めします。

僕自身も交渉を含むゲームはどうしても一緒に遊ぶプレイヤーを選んでしまうので、カタンも気軽に「やりましょう!」とはならなくなってしまいました。また当時と違って、入門として機能するゲームも種類が増えてきた事で、初心者の方にカタンを選ぶ理由が薄れてきてしまったように感じます。

こんな人におすすめ

経験値が同じくらいの人同士で遊ぶと良いです。交渉とか好きな人。

ルールの複雑さ:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:7 out of 10 stars (7.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
自分は好きですけ度:5 out of 10 stars (5.0 / 10)

やすやすのレビュー

カタンの前にカタンなし、カタンの後にカタンなし、なのかどうなのか。

ボードゲームの初心者に勧めるゲームとして「良い」とか「悪い」とか、ルール説明やルールの理解が「簡単」だとか「複雑」だとか、ボドゲ界隈では未だにカタンをある種のスタンダードとしてとらえる向きもあり、そのため色々な話題で取り沙汰されるカタンですね。さて、これはいったいどういうことなのでしょう。

GPさんの紹介動画でも、ルールは「カンタン」であると繰り返し説明されています。たしかにルール量は少なく、複雑なところはないとぼくも思います。

せっかくのレビューの場なので、今回は、なんとなくぼくの感じているところを述べてみますね。従前の通りゆるゆるゲーマーのただの寝言ですから、聞き流していただいて大丈夫です~。

さて。
ぼくは、カタンをボードゲームの典型だとは思っていません。これについては他のレビュアーも言及しているようですが、カタンの直系の子孫のようなそのDNAを色濃く受け継いだような種が、現在のボードゲームシーンにおいて、ぼくにもあまり繁栄しているようには思えないからです。

やすやすが思うカタンのメカニズム

ダイス・交渉・建設・ネットワークビルディング・ランダムタイル配置

カタンのメカニズムは、オーソドックスと言えるのではないでしょうか。しかしそれら個々の要素に反して、実際のプレイ感として「カタンフォロワー」といった雰囲気を持つゲームは多く残っていない、と感じています。

不思議なのは、それが特有の地域のみに広がりそして滅びた「ガラパゴス固有種」であったのならともかく、世界的な広がりを見せた(もしくは今でも見せている)強大な種族にも関わらず、そのフォロワーが少ないということです、なぜなんだろう。

カタンフォロワーが少ない理由を想像してみた
  • 足し引き出来ないほどのルール完成度?
  • プレイ後の満足度が高すぎる?
  • 環境の変化?

ダイス運やタイル運による偏り・任意の相手を選択できる直接攻撃・制約の少ない対人交渉・キングメーカー、今ではどれも「完成度が高い」とは言えなさそうなルールを多く内包しているように思えます。これらのせいでプレーヤーは少々理不尽な体験を味わうことになるので、結果として満足度が低い人も現れるでしょう。このことから、先の2つの項目は除外されるように思います。

「環境」は通常、緩やかに変化をし続けるので、種族もそれに合わせて変化を重ね、適応と淘汰を繰り返します、それがいわゆる進化ですよね。
その変化の過程での成功や失敗から適応し、優性遺伝によりDNAを引き継ぐものが生じてもよさそうなものです。しかし当のカタンは、偉大すぎたのか異質すぎたのか、その遺伝子を誰にも遺すことなく時代に埋もれ姿を消そうとしているように、ぼくには見えています。

やすやす
やすやす

話を飛躍させ長くなってしまいましたね。「完成度高いルールを持つゲームほど完成度が高いゲームである、とは言えない」というのが、カタンに対する私見です。人・物・事の持つ魅力というのは、「バランス感覚」がその最終ラインを担っているに違いないのです。

カタンは、特に「初心者同士」にとてもオススメのゲームです。そしてルールは「カンタン」で、しかし面白さは「十分」です。あえて比較対象に挙げるならば、世にあふれるデジタルゲームの方がその数倍も複雑ですし、より理不尽な運や直接攻撃やゲーム外の力など、初心者のモチベーションを砕く要素にあふれています。

もし、カタンをプレイしたことがないボードゲーム入門者の方がいらっしゃるなら、ぜひ同じ程度の経験の友だちと遊んでみてください。ダイス運に一喜一憂し、熱くなり拳を握り、思わず笑顔がこぼれる最高のボードゲーム時間を体験することができることでしょう。

こんな人におすすめ

「デジタルゲームまで含めても全くゲームで遊んだことがない方には勧めません」が、スマートフォンなどで何らかのゲームを遊ぶ方には、ハードルが高くありません。同レベルのプレーヤーたちなら、幅広い層におすすめ。

ルールの複雑さ:5 out of 10 stars (5.0 / 10)
プレイヤー間の駆け引き:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
運の要素:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
おすすめ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
自分は好きですけ度:6 out of 10 stars (6.0 / 10)
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